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がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン 2016

他編:日本腎臓学会
他編:日本癌治療学会
他編:日本臨床腫瘍学会

紙版

内容紹介

がん薬物療法の進歩に伴い,がん患者の予後が改善し,抗がん化学療法や分子標的薬治療を受ける患者数が増加している。がん薬物療法の有害事象である腎毒性は有効ながん治療の遂行を妨げ,がん患者のQOL を低下させる。従ってがん薬物療法時における腎障害のマネジメントはOnco-nephrologyという新しい診療領域として,高い専門性と正確なエビデンスの構築が期待されている。しかし,これまで腎機能低下者へのがん薬物療法の投与設計や腎障害予防,および薬剤の腎毒性への対応は,伝承や経験則,治験情報に基づき臨床現場で行われてきたものの,そのエビデンスの確かさは定かではなかった。
 この10年間で,腎機能の評価にクレアチニン・クリアランスに代わり,eGFR が用いられるようになり,さらに慢性腎臓病(CKD)および急性腎障害(AKI)の病態やその危険因子が明らかになってきた。この臨床腎臓学の成果を抗がん薬物療法のマネジメントに応用し,エビデンスに基づく診療を行うことで,がん薬物療法の効果と,がん患者のQOL をさらに高めることを支援することが,本ガイドラインを作成した目的である(序文より)。

目次

○はじめに

○本ガイドラインについて

○ガイドラインサマリー

○推奨
1. がん薬物療法前後の腎機能評価
【CQ1】 抗がん薬投与における用量調節のための腎機能評価にeGFR は推奨されるか?
【CQ2】 抗がん薬によるAKI の早期診断に,バイオマーカーによる評価は推奨されるか?

2. がん薬物療法時の腎機能低下予防
(1)総論
【CQ3】 腎機能の低下した患者に対して毒性を軽減するために抗がん薬投与量減量は推奨されるか?

(2)白金製剤
【CQ4】 シスプラチンによるAKI を予測するために,リスク因子による評価は推奨されるか?
【CQ5】 シスプラチン分割投与は腎障害の予防に推奨されるか?
【CQ6】 シスプラチン投与時の補液(3L/日以上)は腎障害を軽減するために推奨されるか?
【CQ7】 シスプラチン投与時のshort hydration は推奨されるか?
【CQ8】 利尿薬投与はシスプラチンによる腎障害の予防に推奨されるか?
【CQ9】 マグネシウム投与はシスプラチンによる腎障害の予防に推奨されるか?
【CQ10】 腎機能に基づくカルボプラチン投与量設定は推奨されるか?

(3)その他の薬剤
【CQ11】 大量メトトレキサート療法に対するホリナート救援療法時の腎障害予防には尿のアルカリ化が推奨されるか?
【CQ12】 血管新生阻害薬投与時にタンパク尿を認めたときは休薬・減量が推奨されるか?
【CQ13】 ビスホスホネート製剤,抗RANKL 抗体は腎機能が低下した患者に対しては減量が推奨されるか?

(4)維持透析患者
【CQ14】 維持透析患者に対してシスプラチン投与後に薬物除去目的に透析療法を行うことは推奨されるか?

(5)特殊な合併症
【CQ15】 腫瘍崩壊症候群の予防にラスブリカーゼは推奨されるか?
【CQ16】 抗がん薬によるTMA に対して血漿交換は推奨されるか?

ISBN:9784897753447
出版社:ライフサイエンス出版
判型:A4
ページ数:68ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2016年06月
発売日:2016年06月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MNC