出版書誌データベース

『孟子』は時代の課題や人々の問題意識に応えていく過程で、評価が変遷していった。
本書は、『孟子』という書がどのように時代・地域・人々の間を旅していったかを辿るものである。

はじめに　1
　第一章　孟子
　　1　孟子の修学 13
　　2　戦国時代 17
　　3　王道政治の心構え 24
　　4　王道政治の施策 29
　　5　責任感 38

　第二章　荀子の性説批判
　　1　出土文献 43
　　2　荀子 47
　　3　孟子の性善説 50
　　4　性善説の提唱時期 55

　第三章　前漢 　　 司馬遷・楊雄
　　1　漢代儒教と董仲舒 61
　　2　司馬遷 66
　　3　塩鉄論争 68
　　4　孟子の母 72
　　5　楊雄 74

　第四章　後漢 　　 趙岐
　　1　讖緯思想 79
　　2　王莽と王田制 82
　　3　後漢の 『孟子』 注釈書 84
　　4　趙岐 87
　　5　『孟子章句』 　　 出処進退・性説 90
　第五章　唐 　　 韓愈
　　1　六朝時代 99
　　2　唐代 101
　　3　韓愈 　　 異端弁正・古文運動 104
　　4　中唐以降 111

　第六章　北宋 　　 王安石
　　1　士大夫の誕生 113
　　2　欧陽脩 116
　　3　王安石 119
　　4　孟子の顕彰と批判 124

　第七章　道学 　　 程顥・程頤・張九成
　　1　程顥 129
　　2　程頤 137
　　3　張九成 139
　　4　 『孟子伝』 　　 舜と弟 142
　　5　 『孟子伝』 　　 孟子と斉宣王 146

　第八章　朱熹
　　1　朱熹 151
　　2　朱熹の学 　　 理気・心性 155
　　3　朱熹の学 　　 敬・格物 158
　　4　性善 166

　第九章　明清 　　 王陽明・戴震
　　1　明 171
　　2　王陽明 　　 致良知 173
　　3　戴震 　　 仁 178

　第十章　朝鮮・ベトナム
　　1　朝鮮の朱子学 187
　　2　李 191
　　3　李と 『孟子』 194
　　4　ベトナムの朱子学 199
　　5　ベトナム儒教と黎貴惇 203
　第十一章　ヨーロッパ
　　1　イエズス会士の中国布教 209
　　2　フランソワ・ノエル 　　 性善 213
　　3　クリスチャン・ヴォルフ
　　　　　 　　 『中国実践哲学講演』 221
　　4　プリュケ 225

　第十二章　日本 　　 伊藤仁斎
　　1　奈良・平安時代 231
　　2　鎌倉・室町時代 234
　　3　徳川幕府と朱子学 237
　　4　伊藤仁斎 243
　　5　仁斎の拡充 249

　第十三章　幕末 　　 吉田松陰
　　1　江戸時代の反孟子 255
　　2　吉田松陰 260
　　3　松陰と孟子 266
　　4　松陰が見る斉宣王・梁恵王 271
　　5　誠 276

　第十四章　 『孟子』 の編纂
　　1　諸国遊説 281
　　2　『孟子』 の編纂 292

　　　おわりに　303

　　　参考文献　307

著：松野　敏之
1976 年生。 早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。 博士 （文学）。 現在は、 国士舘大学文学部教授。 斯文会理事、 日本儒教学会理事、 全国漢文教育学会理事など。 専門は儒学を中心とする中国近世思想・日本近世思想。
〔主要業績〕
・『王夫之思想研究 　　 『讀四書大全説』 における 「作聖之功」 議論を中心にして 　　 』 早稲田大学出版部　2010 年
・『朱熹 『小学』 研究』 汲古書院　2021 年
・「吉田松陰の 『孟子』 解釈―梁恵王・斉宣王論に関して―」 『斯文』 139 号　2024 年