はじめに
序論
一 問題の所在と目的
二 先行研究および本書の理論的視座
三 調査地概要
四 調査概要――ラサにたどり着くまで
五 本書の構成
●第Ⅰ部 神仏の肖像
第1章 タンカを生みだすチベットという場所
一 チベットに関する諸概念
二 聖城ラサ
第2章 チベット・タンカの様式記述
一 タンカの誕生と様式――タンカを対象にする美術史研究
二 度量経
三 タンカの演劇的要素と没入的要素
四 小括
第3章 タンカを造る:Xタンカ技芸学院の制作と日常
一 功徳をめぐる諸概念
二 タンカを生み出す場所――ラサ市内にあるタンカ制作所
三 Xタンカ技芸学院
四 タンカの制作
五 タンカの制作特徴
六 絵師の宗教実践
七 小括
第4章 タンカの働き
一 タンカ、神仏、人間
二 タンカの効果
三 双子のタンカ――仏でありながら福田でもある
四 五感で認識するタンカの魅力――ショトン祭りと巨大なコク・タンカ
五 小括
●第Ⅱ部 近代化のなかで再編される「チベット・タンカ」
第5章 西蔵の近代化
一 チベットにおける近代化の歴史
二 「甜茶派」のモダンアート運動――チベット人がまなざす西蔵
三 「第二文連」――他者がまなざす西蔵
四 現代芸術に参加しなかったタンカ
五 小括
第6章 文化資源、文化産業、文化遺産──西蔵タンカにまつわる近代的な言説
一 西蔵におけるタンカの「産業化」
二 「非物質文化遺産」になるタンカ
三 タンカ伝承と絵師の育成――タンカ絵師大会
四 非物質文化遺産のタンカへの眼差し――ラサにおけるタンカ展示
五 タンカ言説・制度のズレ
六 小括
第7章 文化資本になるタンカ──産業化されたタンカの芸術的展開
一 西蔵タンカ画院――公認機関になる経緯と戦略
二 タンカの芸術化――アートの模擬
三 タンカを売る
四 小括
第8章 タンカのポスト産業化時代――「離れる」絵師たち
一 ラサにおけるタンカ産業の光と影
二 「蔵漂」生活
三 蔵漂の絵師たち
四 米の土産物用タンカ店
五 西蔵の初の近代的なタンカ学校――パンデタルジェ
六 新世代タンカ絵師の行方
七 小括
第9章 結論と今後の課題
一 タンカの身体美学
二 現代西蔵におけるタンカの変容
三 今後の課題
あとがき
参考文献一覧
●付録
付録1 タンカの制作手順
付録2 西蔵自治区非物質文化遺産名録項目申報書
付録3 西蔵自治区政府機構略
付録4 調査協力者・協力機関一覧
索引
写真図表一覧