まえがき(編者一同)
●序幕
序 章 中国民族誌学の回顧と現在の課題(河合洋尚・韓敏)
一 はじめに――目的と指針
二 中国研究と人類学理論――その関係史の概略
三 本書の内容と構成
第一章 二〇世紀前半の中国民族誌学――中国社会研究の系譜(中生勝美)
一 はじめに
二 二〇世紀初頭の人類学前史
三 西洋人類学の受容
四 中国民族学の三大学派と抗日戦争
五 満洲国と日本占領地における民族誌
六 おわりに
コラム① 戦前の台湾原住民研究(中生勝美)
一 はじめに
二 台湾総督府による原住民調査
三 専門の人類学者による調査
四 台北帝国大学文政学部土俗・人種学教室
五 戦後の継承
●第一部 家族・性差・民族
第二章 親族――中国社会を律する原理の解明に向けて(川口幸大)
一 はじめに
二 黎明期の人類学による親族研究と中国という対象
三 モーリス・フリードマンによるリニージパラダイム
四 ポストモダン状況下の親族研究批判、および中国本土の開放を受けて
五 現代的な親族の展開へのアプローチ
六 おわりに――人類学の親族研究との対話
第三章 ジェンダー――「家父長制」の軛を超えて(堀江未央)
一 はじめに
二 まだ見ぬ中国本土へのまなざし ――香港や台湾の親族研究におけるジェンダー
三 大陸中国での調査の始まりと深化
四 中国国内における近代国家建設と女性の位置
五 おわりに
第四章 エスニシティ――中国の「民族」カテゴリーをめぐる研究動向(稲澤 努)
一 はじめに
二 「民族」概念の導入と展開
三 中華民族多元一体とその後の展開
四 エスニック・バウンダリー論と中国
五 おわりに
コラム② 国内移動――移民国家・中国(包 双月)
一 はじめに
二 漢人の広がり
三 のべつ幕なし移動の連鎖
四 おわりに
●第二部 空間・環境・信仰
第五章 コミュニティ――ホリズムの実験と非集団論的転回(川瀬由高)
一 はじめに――コミュニティ論のフロンティアとしての中国
二 文明社会でのコミュニティ研究の実験
三 伏流としての非集団論
四 考察と展望――中国民族誌学における全体論と非集団論の可能性
第六章 都市――空間論的転回への系譜(河合洋尚・櫻井想)
一 はじめに
二 萌芽期の中国都市論
三 都市化の研究と都市人類学の危機
四 都市空間論の展開――空間と〈場所〉のアプローチ
五 考察と展望――都市人類学一般との対話
コラム③ 国外移動――チャイナタウンの研究動向から(辺 清音)
一 はじめに
二 中国系移民コミュニティとしてのチャイナタウン
三 空間論からのアプローチ
四 おわりに
第七章 風水――コスモロジーをめぐる研究の系譜(小林宏至)
一 人類学において風水を研究すること
二 疑似科学としての風水からオルタナティブへ
三 風水という研究領域の確立
四 中国における風水リバイバル
五 風水研究と人類学の新たな対話に向けて
コラム④ 景観――中国というフィールドをめぐる脱領域的展開(陳 昭)
一 景観人類学の生起とフィールド――「中国」の位置づけ
二 継承と革新――日本における発展
三 脱領域的展開――中国本土における動向
四 おわりに
第八章 信仰――漢人民俗宗教研究にみる「中国」の一体性と多様性(横田浩一)
一 はじめに
二 エリートの宗教、民衆の宗教
三 祭祀圏
四 「神・鬼・祖先」
五 ワトソンのオーソプラクシー論とその後の論争
六 国家と宗教という枠組みとその超克
七 考察と展望
第九章 宗教――制度宗教をめぐるポリティクスとグローバルな連関(奈良雅史)
一 はじめに
二 国家―社会間のポリティクスのアリーナとしての宗教
三 「国家―社会関係」枠組みの批判的検討
四 考察と展望――ポスト世俗主義、グローバリゼーション、マテリアリティ
コラム⑤ メディア――プレ・コロナからポスト・コロナの新展開(藤野陽平)
一 はじめに
二 プレ・コロナの中国メディア人類学としての『モノとメディアの人類学』
三 インターネット以降のメディアを扱った中国民族誌学
四 おわりに
●第三部 生命・創造・保護
第一〇章 食――つなぐもの、越えていくもの(櫻田涼子)
一 中国の食の人類学とその射程
二 中国の食文化を研究するための基本文献
三 総論から各論へ――中国社会を理解する切り口としての食研究
四 考察と展望
コラム⑥ 医療――民族医学を中心とする研究動向(磯部美里)
一 はじめに
二 中国での展開
三 民族医学の研究動向
四 民族医学研究の課題
五 おわりに
第一一章 観光――ホスト/ゲストからツーリズム・モビリティへ(田中孝枝)
一 はじめに
二 観光人類学の急速な発展
三 中国国内研究の特徴
四 ツーリズム・モビリティ研究へ
五 課題と展望
第一二章 芸術――資源・主体・協働の先へ(丹羽朋子・陳昭)
一 はじめに
二 モノからモノゴトへ――芸術をめぐる人類学の変遷
三 生活の芸術化と芸術の生活化――中国芸術人類学会による芸術の資源化
四 「民衆の芸術」の民族誌――芸術と権力の絡み合いの描き方
五 芸術郷建――主体から生のプロセスへ
六 中国で芸術になることの民族誌的探求――現代人類学理論との対話
七 おわりに――人類学/芸術の協働の先へ
第一三章 芸能――人類学的中国戯劇研究の展開と展望(清水拓野)
一 はじめに
二 西洋の演劇人類学の概要
三 中国本土の研究状況
四 台湾の研究状況
五 日本の研究状況
六 欧米の研究状況
七 おわりに
コラム⑦ 音楽――民族音楽学的研究の観点から(伏木香織)
一 はじめに
二 二つの民族音楽学―中華人民共和国における音楽人類学
三 台湾における音楽人類学的研究
四 日本における音楽人類学的な中国音楽研究
第一四章 文化遺産――遺産化の文化政治(周星・黄潔)
一 はじめに
二 文化遺産、文化遺産行政と「遺産保護運動」
三 人類学者の「運動」への関与
四 遺産実践の文化政治
五 遺産化の問題発見と批判的遺産研究
六 まとめ
コラム⑧ 博物館――中国における博物館人類学の展開(韓 敏)
一 はじめに
二 近代博物館の誕生と人類学
三 中国の人類学的博物館
四 主要な研究動向とその内容
五 結び
終章 「文明の人類学」をめぐる一試論(河合洋尚・奈良雅史)
一 人類学と中国研究
二 中国民族誌学における文明論の展開
三 文明を媒介とする人類学理論との対話
あとがき(編者一同)
参考文献
付録:中国および中国本土の人類学に関する略年表(近現代中心)
索引