フクロウは、ギリシア神話では知恵の神・アテナ女神の従者とされています。アテナ女神は知恵の神であり学問や芸術を司る立場であったことから、フクロウが知恵・知識・学問・芸術のシンボルと言われるようになりました。現代では「学問の神様」とか「森の賢者」などという呼び方でも知られています。
神話の物語はともかく、実際に森の中でフクロウに出会うと、この呼び名が真実味を帯びて感じられるものです。フクロウはじっと人を凝視しますが、ふたつの澄んだ大きな黒い瞳で真正面から見つめられると、なんだか心の中まで見透かされているような気がしてきます。人知の及ばないこの世の全てを知り尽くしている鳥のように思えてくるから不思議です。
今、日本ではさらに転じて幸福を呼ぶ鳥とされ「不苦労」や「福郎」の字を当てて喜ばれる存在になりました。可愛らしい姿も手伝って、縁起ものとしての置き物やアクセサリーなどのフクロウグッズがよく売れているそうです。フクロウ類に対するこうした好意的な考え方は、ネズミを退治してくれる益鳥だという近代的科学知識が土台になっているものと考えられ、日本だけでなく世界的な一種のブームの様相を呈しています。