はじめに 1
農耕民族だから「情報に弱い」は正しいか/「情報」は日本人の造語/インフォメーションとインテリジェンス
序章 インテリジェンス前史 19
『日本書紀』に登場する日本初の情報機関/新羅から来たスパイ/情報収集のスペシャリスト「忍者」
第1章 日本陸軍のインテリジェンス機関 28
1、建軍前後の状況 29
海主陸従/軍の行政機関の名称の変遷/陸軍における参謀本部設立まで
2、陸海軍統合の「参謀本部」創設 37
理想的な組織に近づいた参謀本部/先駆的な陸海軍の統合機関の設立と破綻
3、作戦と情報部門の統合と独立 44
日清戦争の戦訓に基づく参謀本部の改編/日露戦争に備えた参謀本部の改編/情報業務における日露戦争の戦訓/参謀本部の改編により情報部再び独立
4、参謀本部創設の立役者 51
参謀本部創設の父・川上操六/軍政の桂太郎/モルトケの思想を日本に植え付けたメッケル少佐
【第1章のポイント】57
第2章 明治陸軍のインテリジェンスはどこが優れていたか 60
1、日清・日露戦争を勝利に導いたインテリジェンス 60
日本インテリジェンスの父「川上操六」/「天下の逸材」荒尾精/「シベリア単騎横断」福島安正/一人で「陸軍一〇個師団に相当」の明石元二郎/僧侶「清水松月」となり活動した花田仲之助/現地に溶け込み活動した石光真清/報国六烈士
2、明治期インテリジェンスの先見的な取り組み 80
情報伝達手段(海底ケーブル)の充実/日英同盟と日英軍事協商による情報の入手/ロシア側の日本軽視の風潮/ロシア側の情報収集の失敗
3、陸軍のインテリジェンスの問題点 84
日露戦争開戦時から解読されていた日本軍暗号/プロイセン参謀本部の問題点を継承した日本陸軍
4、主要国の趨勢から取り残された日本のインテリジェンス 89
第一次世界大戦への参戦とシベリア出兵の影響/大戦から学べなかったインテリジェンスの役割/陸海軍の英語教育への取り組み不十分/日清・日露戦争の成功体験が仇に
【第2章のポイント】94
第3章 陸軍に遅れた海軍インテリジェンス機関 99
1、海軍情報組織の設立は、なぜ陸軍より遅れたか? 99
英国式を採用した海軍/建軍から日清戦争までの海軍情報機関/日露戦争前後の海軍のインテリジェンス機関
2、日露戦争時の海軍情報活動体制 109
インテリジェンス・サイクル/情報収集から配布まで/欧州における在外公館の状況/武官による情報収集/海軍駐在員等の派遣による情報収集/極東以外のロシア海軍の情報収集/第3班の部屋の配置/情報の配布
3、バルチック艦隊の動向を探る 118
国民総動員で情報収集/必要な情報(情報収集項目)/情報収集地域・地点と収集源(手段)/バルチック艦隊の実際の動向/実際に収集された情報/情報収集成果(プロダクト)/情報活動の教訓
【第3章のポイント】137
第4章 陸海軍の秘密情報活動と防諜 140
1、通信情報収集能力の充実 141
陸軍の特殊情報/海軍の通信諜報
2、人的情報収集能力の向上 149
日本の在外大公使館付武官制度/在外大公使館付武官の管轄や派遣先/在外大公使館付武官の人選/在外大公使館付武官の軍における影響力/陸軍の特務機関/(海軍)軍令部特務部
3、カウンター・インテリジェンス 164
陸軍のカウンター・インテリジェンス(防諜)/海軍のカウンター・インテリジェンス
【第4章のポイント】168
第5章 インテリジェンスの成功と失敗 173
1、真珠湾攻撃(成功事例1)173
情報上の成功要因/米国側の情報上の失敗
2、フィリピンの戦い(成功事例2)177
情報上の成功要因
3、マレー沖海戦(成功事例3)180
マレー沖海戦の成功要因/英国側の情報上の失敗
4、潜水艦暗号漏洩事件(失敗事例1)182
オーストラリア軍による暗号書の回収
5、ミッドウェー海戦(失敗事例2)184
情報上の失敗要因
6、海軍甲事件(失敗事例3)186
情報上の失敗要因
7、海軍乙事件(失敗事例4)189
情報上の失敗要因
8、陸海軍インテリジェンスの問題点 192
組織上の問題点/情報の軽視/情報の保全/不十分な情報共有/米軍による日本軍の情報部の評価
9、軍以外のインテリジェンス機関 206
外務省のインテリジェンス機関/内閣情報部と情報局/日本の中央インテリジェンス機関
【第5章のポイント】213
第6章 戦後日本のインテリジェンス機関の再建 218
1、自衛隊のインテリジェンス機関 220
陸上幕僚監部第2部/防衛省情報本部/情報本部の編制/情報本部の任務と業務
2、外務省のインテリジェンス機関 226
国際情報統括官組織の設立/国際情報統括官組織の任務と業務
3、公安関連のインテリジェンス機関 229
公安警察(警察庁警備局)/公安警察(警察庁警備局)の編制と業務/サイバー警察局の編制・業務/公安
調査庁/公安調査庁の編制/公安調査庁の任務と業務
4、中央情報機構 236
内閣情報調査室/内閣情報調査室の編制/内閣情報調査室の任務と業務
5、インテリジェンス・コミュニティーの構築 242
ICの二つの型/主要な改革の流れ/官邸をスタートにするインテリジェンスサイクル/日本版NSCと
NSSの創設/国家安全保障会議(NSC)の構成員/国家安全保障局(NSS)の組織と業務
【第6章のポイント】253
第7章 日本のインテリジェンスの課題と対策 259
インテリジェンス機関の戦前と戦後の比較/秘密工作活動とカウンターインテリジェンス/戦前戦後を通じて不十分だった情報の共有と集約・統合/情報軽視による人材不足・情報教育不足/情報共有を阻害する「組織文化」/情報共有を阻む「行き過ぎた秘密主義」/情報共有を妨げる官僚制/情報共有のためには/戦前と比較して向上している機能/主要国にはあるのにわが国にはないか不十分な組織・機能/不十分な人的情報活動/公開情報(オシント)の収集機能の不足と情報共有意識の不在/インテリジェンス機関における不十分なサイバー戦能力/インテリジェンス機関監視機能の不在/インテリジェンス共通教育/情報組織の規模・予算から見て不十分
【第7章のポイント】284
おわりに 287
主な参考文献 293
コラム1 ペンタゴンの始まり 36
コラム2 陸海の考え方の違いに関する体験談 42
コラム3 石光真清旧居(石光真清記念館) 77
コラム4 陸上自衛隊における指示棒の使い方 198
コラム5 組織の縦割り「ストーブパイプ」248
コラム6 組織文化を変えるのは容易ではない 269