序章 青嵐会はいかにして生まれたか 6
広がる政治的閉塞感/五五年体制とは何だったか/青嵐会への評価/本書の視点と構成
第一章 五五年体制の形成と展開 19
第一節 敗戦と占領 19
初期対日占領政策/日本国憲法第九条/冷戦の波及と占領政策の転換/サンフランシスコ平和条約と日米安保条約
第二節 主権回復と政界再編 29
反吉田勢力の台頭/保守合同
第三節 自民党単独政権時代の始まりから「政治の季節」へ 32
「独立の完成」を目指した鳩山一郎/岸信介と「日米新時代」/安保改定
第四節 経済大国への道と自民党政治の完成 37
池田内閣と開放経済体制への移行/佐藤内閣と日韓・日米関係/「ニクソン・ショック」と「保守の危機」
第二章 田中内閣の成立から青嵐会の結成へ 45
第一節 時代背景と人的構成 45
党内状況への危機感/一九七二年の自民党総裁選挙/中ソ対立から日中国交正常化へ/青嵐会結成に向けた動き/役職者に見る派閥分布
第二節 五人の代表世話人 68
中川一郎/湊徹郎/渡辺美智雄/藤尾正行/玉置和郎/『朝日新聞』による報道/保守勢力からの期待/青嵐会の中心メンバーは誰だったのか
第三節 外交・安全保障と憲法への認識 90
「青嵐会趣意書」/「青嵐会の外交の基本方策」/中山正暉の憲法論/「青嵐会は許さない」/「青嵐会は主張する国民集会」
第三章 青嵐会の先鋭化と失速 128
第一節 田中内閣の崩壊過程と三木内閣の成立 128
存在感を増す青嵐会/『人民日報』が報じた青嵐会/第二次田中内閣発足と第二九回自民党大会/日中航空協定締結問題の浮上/自民党総務会を揺るがす青嵐会/「金権政治批判」の高まり/三木内閣の成立と青嵐会/政綱改正をめぐる河野グループとの対決
第二節 政府主催憲法記念式典糾弾国民大会 160
ロッキード疑惑から「三木おろし」へ/玉置和郎と三島由紀夫/「政治といふものはハネ上がつてやれるものぢやない」/渡辺美智雄と「スト権スト」問題/青嵐会を去った山崎拓と松永光/新自由クラブ結成と第三四回衆議院議員総選挙/青嵐会の問題点はどこにあったか
第四章 青嵐会の終焉 196
第一節 福田内閣の成立 196
中川一郎と渡辺美智雄の軋轢/日中平和友好条約の調印/中山正暉の抵抗/青嵐会解散を決定した赤坂会合
第二節 青嵐会以後 215
派閥の体をなしていなかった自由革新同友会/米価問題と元号法制化/四〇日抗争/ハプニング解散/小林興起が見た中川一郎
第三節 一九八二年の自民党総裁選挙 228
「スルメになるな」/浜田幸一とラスベガス事件の真相/玉置和郎の衆議院鞍替え問題/中川一郎の焦りと落胆
第四節 祭りの後 239
中川一郎の自裁/中曽根内閣に見るポピュリズム/中曽根政治が残した禍根
第五節 政策集団青嵐会はなぜ消滅したか 250
補論 『日本列島改造論』と青嵐会に見る国土開発の思想 263
第一節 問題の所在 263
第二節 『日本列島改造論』とその背景 266
第三節 『日本列島改造論』の挫折 270
青嵐会から見た『日本列島改造論』/自民党内と業界団体の反対/田中角栄と日ソ関係/第一次石油危機と高度経済成長の終わり
第四節 中川一郎 278
北海道と国の媒介役を目指して/北海道第五区と中川一郎後援会/北海道振興への視点
第五節 浜田幸一 287
党人政治家への道/東京湾アクアラインと房総半島振興
第六節 玉置和郎 294
宗教界からの政界進出/半島振興法の制定/半島地域の現状と「地域主権」という幻想
第七節 渡辺美智雄 302
インフレ抑制と地方分散を目指して/中曽根内閣と国鉄民営化/広域行政への視点
第八節 小括─国が果たすべき役割と責任─ 315
終章 現代政治が失った青嵐会の精神性と行動力 326
一九七〇年代の教訓/厳密に一元化されていなかった青嵐会の対外認識/「侍」がいなくなった時代と自民党の行方
あとがき 340