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次期戦闘機開発をいかに成功させるか

編著:森本 敏
編著:岩﨑 茂
他著:山﨑 剛美

紙版

内容紹介

2018年12月、安倍政権下、次期戦闘機(F‐X)は「日本主導の国際共同開発」との方針が決定され、2021年、三菱重工のもとにIHI、川崎重工、三菱電機など協力会社7社が集まり本格的に開発が始まった。今後15年かけて開発するのは2035年頃に退役が始まるF‐2戦闘機の後継機である。次期戦闘機にはステルス性だけでなく、高度な電子戦、ネットワーク戦を制する能力が要求され、将来的には無人機との連携も求められる。F‐2戦闘機開発での苦い教訓から自主開発の道を選んだ日本。2009年から研究が始まっていた開発計画の経緯と今後の展望を戦闘機開発に関わった専門家6人が語りつくす!

目次

はじめに 森本 敏 1

資料 次期戦闘機(F‐X)研究開発の経緯 17
略語集 25

第1章〈討論〉次期戦闘機開発、その経緯と展望 33

 討論のはじめに 33
 FS‐X開発のトラウマ 35
 新戦闘機実用化への過程と教訓 38
 次期戦闘機は第5世代機か? 42
 有人戦闘機プラス無人戦闘機共同運用の可能性 44
 次期戦闘機の基礎研究と先進技術実証機X‐2 48
 F‐2後継機国産化を後押しした「ビジョン」49
 次期戦闘機開発に関する政府の体制と開発構想 57
 国際協力による共同開発か、純国産開発か 59
 拡張性、改修の自由度への対応 61
 開発計画が遅れた背景と理由 63
 RFIの提示と米国企業の反応 65
 F‐22生産打ち切りの影響 67
 採用されなかったF‐22+F‐35派生型機構想 70
 次期戦闘機開発方針の転換期は2019年末 72
 日米双方の思惑と認識の差 76
 リスクとコスト低減のための検討 79
 日英共同開発のメリット 82
 国際共同開発における日本の選択肢 84
 次第に固まっていった日本主導の日米共同開発 87
 相互運用性の重視とビジネスの両立 90
 次期戦闘機開発の諸問題─システム・インテグレーション 93
 英国との協議、交渉の行方 96
 データリンク開発に欠かせない米国の協力 100
 システムに関する2つの考え方 102
 次期戦闘機が備えるべき機能 105
 米国にどのような支援を求めるか 108
 試験・評価に欠かせない米国の設備と支援 110
 次期戦闘機の生産機数と開発コスト 114
 次期戦闘機の所要機数 117
 調達機数と量産価格の適正化 120
 次期戦闘機の海外輸出 124
 実績のない戦闘機は売れない 126
 次期戦闘機開発のための企業連合と防衛産業 130
 オールジャパン体制の理想と現実 133
 責任の所在とリスク回避 136
 開発計画と技術者の持続性の構築 139
 防衛産業を維持育成する環境作りが急務 143
 企業が防衛産業から撤退する理由 144
 次期戦闘機開発事業の本格化─日米企業協議とISP 148
 相互運用性の実現と課題 151
 日本だけですべての開発は困難 155
 インテグレーション支援パートナーの役割 157
 共同開発と情報管理 160
 米・英両国との協議の現況と課題 164

第2章 日本の戦闘機開発と次期戦闘機の運用構想 168

 1、航空防衛力の意義─多次元統合作戦を牽引 168
 (1)戦争における航空機の役割 168
 (2)航空防衛力の重要性 172
 (3)航空防衛力における戦闘機の役割 173
 2、今後の航空防衛力に対する期待 199
 (1)我が国を取り巻く軍事環境 199
 (2)科学技術の進化・発展 205
 3、F‐2後継機の運用構想 207
 (1)F‐2後継機(F‐X)に求められる能力 209
 (2)開発にあたり考慮すべき事項 215


第3章 F‐2開発の経緯と教訓 田中幸雄、山﨑剛美 220

 1、FS‐X(F‐2)日米共同開発の概要 220
 2、FS‐X開発の経緯 221
 (1)共同開発までの経緯 221
 (2)F‐16改造案決定と実務協議 224
 3、FS‐X共同開発からの教訓 240
 (1)日本側の反省・教訓 241
 (2)米国側の反省 248
 4、FS‐XからF‐Xプロジェクトへ 249


第4章 次期戦闘機開発の技術的課題(1) 250

 1、次期戦闘機の開発構想 250
 (1)将来戦闘機研究開発ビジョンの概要 250
 (2)31中期防における目標 252
 (3)令和2年度行政事業レビュー 255
 (4)次期戦闘機の開発構想 255
 2、技術開発のプロセス 259
 (1)防衛省における技術開発のプロセス 259
 (2)次期戦闘機における先行研究 260
 (3)ソフトウェアオリエンテッド開発 261
 (4)改修の自由度 269
 3、リスクとコストの削減 272
 (1)技術活動 272
 (2)プロジェクト管理 275
 (3)スマート・ファクトリー 279
 4、システム・インテグレーション 280
 (1)システム・インテグレーションとは 280
 (2)システム・インテグレーションの観点から押さえておくべきこと 283
 5、機体・エンジンの開発設計 284
 (1)エンジンの機能と機体とのインターフェース 284
 (2)機体とエンジンの開発プロセス 286
 6、次期戦闘機のエンジン設計 292
 (1)エンジンの研究開発と実績 292
 (2)飛行環境下のエンジンの運転試験 294
 (3)エンジンの耐久性 295
 (4)代替エンジンの検討 296

第5章 次期戦闘機開発の技術的課題(2) 298

 1、次期戦闘機のための国内研究開発の実績と成果 298
 (1)次期戦闘機の研究開発ビジョン 298
 (2)次期戦闘機に必要な技術 300
 (3)ステルス性に関する研究 302
 (4)機体に関する研究 310
 (5)エンジンに関する研究 316
 (6)アビオニクスに関する研究 324
 (7)機体構想に関する研究 330
 (8)ウエポンに関する研究 332
 (9)2019~21年度のシステム・インテグレーションなどの研究 335
 2、次期戦闘機開発にあたっての基本的な事項 339
 (1)次期戦闘機はどのような機体か 340
 (2)戦闘機の世代区分 341
 (3)航空自衛隊の戦闘機体系と次期戦闘機の役割 344
 (4)次期戦闘機の要求性能 346
 3、独自開発と共同開発をめぐる議論 350
 4、日本主導開発の課題 356
 (1)開発技術者人材の確保 356
 (2)新たな効率的開発態勢の構築 358
 (3)開発インフラの不足 361
 (4)日本主導開発を追求する意義 363


第6章 次期戦闘機の運用上の課題 366

 1、インターオペラビィリティ(相互運用性)の確保 366
 (1)MADLとの連接 367
 (2)ミサイル、弾薬の相互運用性と国産装備品の運用 371
 (3)ステルス性能 372
 2、ミッション・システム 373
 3、電子戦 378
 4、無人機運用 379
 5、オープン・システムズ・アーキテクチャ(OSA)381
 (1)OSA規準の選択 381
 (2)次期戦闘機のOSA 385
 6、ソースコード 389
 7、維持整備体制 390
 (1)後方情報システム 390
 (2)搭載装備品の共用化 390
 (3)サプライチェーンの確保 391
 (4)3Dプリンターを利用した部品製作 392


第7章 次期戦闘機開発の運営管理上の課題 394

 1、開発経費、生産機数及び量産単価 394
 (1)開発経費 394
 (2)生産機数 398
 2、開発のプロセスの概要と開発期間 407
 3、企業連合と契約制度 411
 (1)要求性能の検討 411
 (2)開発・生産体制の構築 413
 (3)企業連合体運営上の課題 419
 4、国際装備移転 423
 (1)防衛装備移転三原則 423
 (2)海外輸出の可能性 425
 (3)輸出の形態とその課題 427
 (4)輸出に必要な要件 433
 (5)装備品輸出管理の制度と運用 436
 5、情報管理 446
 (1)企業に求められる情報セキュリティ 446
 (2)情報セキュリティ上の米国との関係 451

おわりに 岩﨑 茂 455
執筆者のプロフィール 461

著者略歴

編著:森本 敏
森本 敏
防衛省を経て外務省に入省し、在米日本国大使館一等書記官、情報調査局安全保障政策室長などを歴任。退官後、慶應義塾大学等で教鞭を執る。平成12年から拓殖大学教授、同大学総長を経て現在、同大学顧問。初代防衛大臣補佐官、第11代防衛大臣、防衛大臣政策参与などを歴任。
編著:岩﨑 茂
岩﨑 茂
防衛大学校卒、元航空自衛官、空将。航空自衛隊では戦闘機パイロットとして勤務、約100回に及ぶロシア・中国機などに対する対領空侵犯措置任務の経験を有し、第2航空団司令、航空総隊司令官、第31代航空幕僚長、第4代統合幕僚長、防衛大臣政策参与などを歴任。

ISBN:9784890634156
出版社:並木書房
判型:4-6
ページ数:464ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN