序論「レコンキスタ」の歴史と「境域」史―中世スペイン史研究の回顧と中世後期「境域」研究への視座―
第一章 「レコンキスタ」の歴史解釈
第一節 「レコンキスタ」を主軸とする中世スペイン史/第二節 「レコンキスタ」の解釈をめぐる研究上の問題
第二章 「レコンキスタ」概念の実態と「境域」研究
第一節 中世カスティーリャ王国における「レコンキスタ」概念/第二節 再・「レコンキスタ」の解釈をめぐる研究上の問題/第三節 「境域」への眼差し/第四節 本論の構成と使用史料
第一部 中世後期におけるカスティーリャ王国・グラナダ王国間関係(1246-1492一)―「戦争と平和」という観点から―
第三章 戦争期間と和平期間
第一節 問題の所在/第二節 戦争期間と和平期間の二元性
第四章 対グラナダ戦争の特質
第一節 「消耗戦」と「拠点奪取戦」/第二節 「境域」が担う戦争
第五章 王国間休戦協定
第一節 異教徒間における和平の構築/第二節 カスティーリャ=グラナダ間の王国間休戦協定の特質
第六章 王国間休戦協定の締結状況と時代的変遷
第一節 休戦協定の締結状況(1246-1481)/第二節 戦争の経緯と休戦協定交渉の実態
第七章 王国間休戦協定と「境域」の接合点―「外交」使節―
第一節 「外交」使節と「全権大使」/第二節 カスティーリャ王国の「外交」使節と「境域」
第二部 「境域」における「戦争と平和」―カスティーリャ=グラナダ「境域」社会の複合性―
第八章 地域史としての「境域」社会史の成立
第一節 アンダルシーア・ムルシア地域史の新展開/第二節 中世後期「境域」の特質/第三節 「境域」社会の二元性
第九章 戦争を軸とする「境域」の相貌
第一節 「戦争遂行型社会」としてのカスティーリャ=グラナダ「境域」/第二節 越境暴力の恒常化/第三節 「境域」の防備体制/第四節 「境域」の入植状況/第五節 軍事貴族の台頭/第六節 「境域」における暴力と経済
第十章 和平を希求する「境域」の相貌
第一節 「平和維持型社会」論/第二節 「境域」における越境騒擾の解決―平和を維持する社会―/第三節 「境域」における「隣人関係」
第三部 細分化される「境域」―最前線に居住するひとびとの振る舞い―
第十一章 和戦を個別に展開する「境域」
第一節 「中央」と「境域」の認識の乖離/第二節 静態的かつ動態的な「境域」社会
第十二章 和戦を個別に担う「境域」の各地域―十五世紀後半を中心とする西方部域―
第一節 グラナダ王国内乱事件をめぐる「外交」の錯綜―1450年―/第二節 地域的利害の共有―1450年代―/ 第三節 地域間休戦―1460年代―/ 第四節 粘り強い交渉―1471年の地域間休戦―
第十三章 和戦を個別に担う「境域」の各地域―十五世紀後半を中心とする中央部域―
第一節 ナスル朝宮廷と直接交渉する都市―アルカラ・ラ・レアル―/第二節 都市ハエン議事録の証言―1476年から1480年まで―第三節 大貴族の「外交」―フェルナンデス・デ・コルドバ家―
第十四章 和戦を個別に担う「境域」の各地域―十五世紀後半を中心とする東方部域―
第一節 ムルシア王国における和戦の地域化 /第二節 オリウエラにおける和戦の地域化
第十五章 和戦を慣習化する「境域」
第一節 和戦の混在と逆転/第二節 統制される暴力、限定的な和平―「報復権」―
第十六章 生存を旨とする「境域」
第一節 「境域」の戦争と略奪行為をめぐる慣習 /第二節 捕囚者をめぐる慣習/第三節 境域「外交」をめぐる慣習/第四節 境界画定をめぐる交渉/第五節 交易を慣習化する「境域」/第六節 家畜放牧契約慣行の共有/第七節 「中心」の命令に対する不服従/第八節 明確かつ曖昧な境界線 ―越境する人々の慣習―
終章 「レコンキスタ」の完遂へ向けて―対異教徒認識の変遷と「中心」の決断―
第一節 「中心」における対異教徒認識の変遷/第二節 大局的な政治情勢の変化とグラナダ王国の滅亡
結論
註・参考文献