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犬が殺される

動物実験の闇を探る

著:森 映子

紙版

内容紹介

知られざる動物実験の闇を追う!
杉本彩さん推薦!(女優/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva 理事長)

「毎日開腹して縫って、また腹を切る――」
ある獣医大学では近年まで、
同じ犬を複数の手術で5日間使うという実習があったという…

医薬品、健康食品、化学製品、農薬などの研究開発、安全性確認、毒性の評価など、
あらゆる分野で人類に関係している動物実験。だがその実情はほとんど知られていない。
著者はときに取材拒否に直面しつつも、日本の動物実験の現状を粘り強く追う。
獣医大学や製薬会社などの動物実験施設の関係者や
行政、国会議員への聞き取りから得た貴重な証言。

はたして犠牲になる実験動物はどのような環境で飼育されているのか。
痛みを和らげる処置は受けているのか。安楽死は適切に行われているのか。
その動物実験は必要不可欠なのか。代替法開発はどうなっているのか。
ペットとして譲渡された実験犬との出会い――。渾身のルポルタージュ!

目次

第1章 獣医大学の実習
外科実習で犬を5日使い続け…/「犬を救うために」入学したが…/麻酔せずに解剖/実験計画出さず/麻酔せずに牛を放血死/「安楽死」だったのか/一部の獣医大の問題?/実験計画は未提出――子宮頸がんワクチン副作用/狭いケージでぐるぐる回る犬――英団体が動画公開/一六獣医大に質問/外科実習の実験計画が未提出?――東京大/「猫が下痢、自傷行為」――岐阜大/保護犬猫の不妊手術で実習/同じ犬に三回手術/参加型臨床実習を見学/犬以外の生体使用は?/外科実習の実験計画が未提出――北海道大/「地域猫活動の利用を検討」――私立大学間で対応に差/犬猫、マウスの施設を見学――帯広畜産大/犬はドッグランで毎日二回遊ばせる――鹿児島大/動物モデルを寄付でそろえ――山口大/犬以外の動物は…基礎系の実習に課題/実験犬「しょうゆ」がペットに


第2章 国が把握しない実験施設
理念に過ぎない実験動物福祉/使用数すら不明/実験犬猫の輸入数は/EUは実験目的別など詳細に公表/淘汰された遺伝子改変動物も――英国/「コストや便宜を優先しない」――実験反対運動と科学界/内輪で点検、国際基準からかい離/具体性乏しい「自己点検・評価項目」/「書類が整備されているか」/「実態は全て把握」/短い鎖でつなぎ飼い/企業も「はい」「いいえ」方式/繁殖業者は認証受けず/施設の総数把握せず/組織内で構成する動物実験委員会/医大の犬・サル施設見学/人道的エンドポイント/「カツカツカツ」と上下の歯ならす/「キャンキャン」大騒ぎ

 コラム◎生体解剖反対運動を主導した女性作家


第3章 手術後の動物を看護
「看護的飼育ケア」の実践/順化で恐怖心取り除く/極端にえさを減らさない/犬もほめたり、なでたり/「具体悪い動物をほったらかしにしない」――中外製薬/実験を監視する活動/ミニブタ生産・受託試験のオリエンタル酵母/動物実験委員会


第4章 痛みは軽減されているのか
ブタ、犬、サルは6割、マウスは1割――英国/鎮痛薬使わない実験/死ぬ寸前まで引っぱる/食品メーカーの動物実験「廃止宣言」?/日系施設がサル虐待で処分――米国/「犬、サルを虐待」―日本企業のカナダ実験施設


第5章 犬の一年農薬毒性試験が廃止
1年試験廃止に、国際基準並みに/農薬メーカーも「歓迎」/「嘔吐」「下痢」――試験の症状


第6章 進化する代替法 ――化学物質、医薬品
  動物のデータは人に当てはまらず/先行する化粧品分野――日本発ガイドラインも/生活用品、医薬品でも開発進む/イン・シリコでの成果は/新薬候補の安全性、ヒトiPS細胞で/大型プロジェクトには予算付くが…/業界の8割「代替法使ったことない」/化粧品団体「啓発はしない」/3Dプリンターで臓器、オンチップで病態解明


第7章 倫理面で問題「ヒト動物キメラ研究」
  動物体内でヒト用臓器作成/個体作成認める報告案/主に臓器作りを想定/反対派の研究者が増加/倫理面への言及消える

第8章 抗う業界と議員
  医系議員の暗躍――動物愛護法改正/関係者から苛立ちの声も/法改正で超党派議連が骨子案/国際シンポで認識の差を実感/実験施設に立ち入りを

著者略歴

著:森 映子
1966年京都市生まれ。上智大学卒業。91年時事通信社入社。英文部、社会部、名古屋支社などを経て、98年から文化特信部の記者として、衣食住、ジェンダー、エシカル消費、動物福祉など幅広く取材を続けている。

ISBN:9784886838520
出版社:同時代社
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年03月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD