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双脚輪状文の伝播と古代氏族

著:加藤 俊平

紙版

内容紹介

古墳や埴輪に描かれる双脚輪状文の起源や分布、各地の特性や伝播の実態について、主に軍事や水運に携わった多氏に着目しつつ追究する。

目次

第1章 スイジガイと双脚輪状文
 第1節 スイジガイ製利器より生まれたスイジガイ釧
   1. スイジガイ製利器
   2. スイジガイ釧
   3. スイジガイ文様埴輪とスイジガイ釧との関連
 第2節 スイジガイの腹面構図より案出された双脚輪状文
   1. 釜尾古墳石屋形左袖の双脚輪状文
   2. スイジガイ腹面を描く双脚輪状文
 第3節 スイジガイ・双脚輪状文の呪術的効能
   1. スイジガイの呪的利用
   2. 双脚輪状文の成立過程
   3. 双脚輪状文の呪術的効能を象徴する部位
 第4節 本論の論証方法

第2章 双脚輪状文研究の過程
 第1節 双脚輪状文研究の足跡
   1. 1945年以前の研究
   2. 1946年から1980年代の研究
   3. 1990年代以降の研究
 第2節 個別研究の問題点と課題
   1. 研究対象古墳等の選定方法
   2. 事実の誤認
   3. 研究対象物の誤認
   4. 発想の飛躍
   5. 総合的研究の必要性

第3章 壁画双脚輪状文の実態と特徴
 第1節 双脚輪状文考察上の前提事項
   1. 石屋形について
   2. 肥後の葬制
   3. 肥後型横穴式石室-6世紀の菊池川流域と坪井川・井芹川流域を中心に-
   4. 肥後における火君一族の分布
 第2節 壁画双脚輪状文
   1. 壁画双脚輪状文古墳の概要
   2. 双脚輪状文壁画
   3. 文様の描画場所とその意味
   4. 各古墳の文様の特徴

第4章 西日本型双脚輪状文形埴輪について
 第1節 西日本型双脚輪状文形埴輪の概要
   1. 双脚輪状文の分類
   2. 双脚輪状文壁画・双脚輪状文形埴輪の概要
   3. 西日本型双脚輪状文形埴輪の実態把握
 第2節 双脚輪状文形埴輪の観察
   1. 各個体の分類
   2. 各個体別観察
 第3節 呪術的観点を加味した埴輪の特徴
   1. スイジガイの特徴を受けついだ双脚輪状文形埴輪
   2. 文様面での呪的表現の淵源
   3. 新内古墳例と公文山1号墳例との類似性

第5章 東日本型双脚輪状文形埴輪の特質
 第1節 西日本型の派生型としての東日本型
 第2節 東日本型双脚輪状文形埴輪にみる諸形態
   1. 盤状双脚輪状文埴輪
   2. 冠帽双脚輪状文埴輪
 第3節 東日本型双脚輪状文形埴輪の分布とその背景
   1. 3タイプの分布状況
   2. 埴輪分布と対応する上毛野氏系豪族の領域
   3. 埼玉政権の領域

第6章 神谷作101号墳の双脚輪状文形埴輪
 第1節 出土埴輪片の観察
 第2節 文様の復元
   1. 文様の上下中心線の設定-復元作業上の基準線-
   2. 盤状部の円孔の有無について
   3. 文様の復元
   4. 文様の構成
 第3節 文様の特徴
   1. 文様の図柄について
   2. 中心文様の三角文に円文を付加することで、辟邪の効果を高めた図柄
   3. 各種双脚輪状文図柄のなかで簡略化が最も進んだ図柄
   4. 双脚輪状文の系譜における位置づけ
   5. 文様の表現方法
 第4節 神谷作101号墳例成立の背景
   1. 王塚古墳からの影響
   2. 磐城地域と中北部九州との関係

第7章 双脚輪状文の伝播の背景
 第1節 双脚輪状文の伝播に影響を及ぼした社会的背景と自然環境
   1. 朝鮮出兵・朝鮮外交
   2. 氏族の出自(紀氏と上毛野氏)
   3. 火君や紀氏が置かれた自然環境・文化的側面
 第2節 豪族間の多角的交流-火君、紀氏、上毛野氏-
   1. 火君と紀氏の交流痕跡
   2. 阿蘇凝灰岩製石棺にみる火君と紀氏
   3. 火君と上毛野氏
 第3節 各豪族の地域基盤
   1. 火君・大分君(多氏)の拠点
   2. 紀臣の大和の拠点とキドノ地名
   3. 大和以外の紀氏の拠点
   4. 上毛野氏
 第4節 磐井の乱
   1. 磐井の乱の原因
   2. 筑紫君磐井の滅亡の意義
   3. 筑紫君磐井と火君

第8章 多氏の東国への移住
 第1節 考古資料からみた中北部九州と東国との類似性
   1. 横穴式石室
   2. 横穴墓
   3. 神谷作101号墳出土の双脚輪状文形埴輪と中北部九州の壁画文様との類似性
   4. 肥後と常陸・磐城の壁画の類似性
   5. 珠文
 第2節 葬制における肥後と東国との類似
   1. 屍床と棺
   2. 横穴式石室・横穴墓の閉塞方法
   3. 石枕
 第3節 文献・神社・地名にみる肥国と東国
   1. 文献に記載された多氏
   2. 神八井耳命を祭神とした神社と鹿島神社
   3. 地名からみた肥後と東国との類似性
 第4節 多氏の東国への移住
   1. 移住の目的とその契機
   2. 移住ルート
   3. 移住の年代
   4. 移住者の階層

第9章 東国の多氏について
 第1節 東国と九州の「サク」地名と火君多氏
   1. 東国の「サク」地名
   2. 鹿児島と熊本の「サク」地名
   3. 「サク」地名の東国と鹿児島・熊本における相違点
   4. 東国の「サク」地名内訳
 第2節 多氏同族の分布状況と各地域拠点の概要
   1. 東国における多氏分布の概要
   2. 各地域における多氏社会の類型
   3. 多氏関連事象の分布より判明した地域別多氏社会
 第3節 多氏の分布上の特徴とその性格
 第4節 古代氏族の広域展開とスイジガイ釧および双脚輪状文
   1. おじょか古墳と関行丸古墳の石室
   2. スイジガイ釧について

第10章 双脚輪状文考察にもとづく知見事項
 第1節 本書に通底する3つの事項
 第2節 双脚輪状文の検討から見えてきたもの
   1. 壁画双脚輪状文と双脚輪状文埴輪
   2. 双脚輪状文の伝播の背景

付表

引用・参考文献

挿図出典

ISBN:9784886217714
出版社:同成社
判型:B5
ページ数:240ページ
定価:9000円(本体)
発行年月日:2018年01月
発売日:2018年01月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ