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超限戦に敗れない方法 令和版・『闘戦経』ノートⅡ

著:池田 龍紀

紙版

内容紹介

結党百年を迎えた2021年の11月に、中国共産党は第19期6中全会を開催し、第三次の歴史決議を決定。
 第一次決議は、1945年4月に毛沢東の主導による。国共内戦を経て1949年10月に建国をしたものの、大躍進の失敗で数千万の餓死者を出し、さらに文革による混乱。鄧小平はなんとか収拾し、第二次の歴史決議を1981年6月に行い、毛沢東の軌跡を7分の功績、3分を錯誤と総括。
 今次決議の意図は、習近平率いる党支配と百年の党の歩みの正当化。その背景はGDP世界二位、軍事力でも米国に伍す構えである。その戦争学は超限戦。
 この中華帝国の台頭にどのように接するかで、今後の日本の運命も決まる。昭和の日本はシナ大陸での戦乱に巻き込まれて敗れている。なんでもありの超限戦に、サプライチェーンでつながる日本に対応方略はあるか。平安時代の日本文明が産み出した独自の戦争学である『闘戦経』思考で対処すれば、敗れない。
ちなみに超限戦とは、1999年に中共空軍の政治将校であった二人の佐官が、1991年1月から2月にかけてのイラクに向けた米国および多国籍軍による湾岸戦争での圧倒的な軍事力の行使とその結末を見て、中共党の支配する中国はいかに対処するかを考究した、戦略・戦術書である。『孫子』の現代版とも言われている。

目次

抜粋
『孫子』の現代版『超限戦』に対峙する『闘戦経』
まえがき 平和ボケした日本国及び日本人の危うさ
一部 いま、何故、『闘戦経』なのか
いわゆる日本学の営為について(前説一)
1945年の敗戦、占領下での日本学の運命(前説二)
昭和の将兵による忠誠に関わる戦時・戦後の生態(前説三)
超限戦の戦場と化した尖閣海域(前説五)
王毅外相・訪日中の言動が露わにした菅政権の危うさ(一)                      
中共の戦狼外交に日本は尖閣諸島と海域を守れるか(二)
「兵は詭道なり」の定理は「懼の字を免れざるなり」(三)
孫子・超限戦で往く果ては人類の滅亡(五)
孫子・超限戦による戦狼外交にどう対抗するか(六)
日本が1945年9月2日に降伏した敗因(七)
鬼滅の刃・「竈門炭治郎のうた」を読み解く(間奏)
昭和の戦争は「半端な将帥しかいなかった?」(八)
知と情報は表裏一体・活かすも殺すも将帥の襟度(九)
鬼智を発揮する一つの想定(十)
四体未だ破れずして心先ず衰ふるは天地の則に非ざるなり(十一)
闘戦経が戦後日本で無視・排除された背景(前奏)(十二)                           
死者への畏敬・鎮魂の不在が基調の戦後日本(十三)
死者との黙契を顧みる回路を失った日本思想(十四)
再びの敗戦を迎えないための日本思想への回帰(十五)
我が武は天地の初めに在り(十六)
日本人たるを忘れたために(十七)
いま、何故「闘戦経」なのか(十八・補遺一)
近代日本戦争学の反省(十九・補遺二)
本来の日本人の心の持ち方(二十・補遺三)
時機に備える工夫を考える(一)(二十一・補遺四)
戦後意識の呪縛から自由になるために(二十四・補遺七)
戦後意識の呪縛を脱げば超限戦に敗れない(二十五・補遺八)
超限戦思考に闘戦経が優位の理由(二十六・補遺九)
オウム・サリン散布と東日本大震災(二十七・補遺十)
日本の安全保障の鍵を握るのは台湾(二十八・補遺十一)
日本人が日本人に再びなるため(一)(二十九・補遺十二)
いま、何故、『闘戦経』なのか(あとがき)

二部 超限戦の攻勢に直面している日本文明
前置き いま、何故、『闘戦経』なのか(外説一)
はじめに:「緩慢な自殺の過程」での超限戦に備える(外説一)
(1)米に次ぐ工作対象である日本は気づいているのやら(外説一)
(2)2021年4月の日米共同宣言の読み方(外説二)
(3)超限戦という概念の提起を軽視するな(外説二)
(4)「非軍事の戦争」の渦中にある現在の日本(外説四))
(5)闘戦経に至る思索が深められた半面での創成(外説五)
(6)東京オリンピック2020の総括 ― 日本文明を貶める日本人(外説六)
(7)超限戦思想下の取り組み方あるいは読み方
(8)超限戦の背後にある密教
(9)核兵器に囲まれた非核国に棲む日本人の闘戦経の読み方
(10)9・11 20周年と超限戦
(11) 超限戦に優(まさ)るか、「我武」
(12)日本が超限戦の言う「偏正式構造」に敗れ続けたわけ
(13)偏正式構造とは文辞上の防衛手段
(14)超限戦・認知戦争に対処する「遅攻」
終わりに 宰相は自国を守るために部下に死を命じねばならない(外説 終)
特論 中共党・第三次「歴史決議」を超限戦から読む
闘戦経・笹森順造釈義による仮名混じり読み下し文
あとがき 言葉ないし言語だけでは観えない世界がある

著者略歴

著:池田 龍紀
1941(昭和16)年生。南京で終戦を迎え佐世保に引揚げ。旧清水市(現静岡市清水区)に居住。高校を卒業し上京して大学に進学。20代の半ばに西欧に遊学。ケニヤ、スーダン、エジプト、テヘラン、カブール、インド、ネパール、マレーシア、タイ、香港、台湾を経て帰国。
30代半ばから政府系の公益法人で東南アジア、主にインドネシアでの地域開発事業計画に従事。
天安門事件の1989年の末に、北京大学から旧満洲のハルピンに行き、その後に主要都市の大学を歴訪。1993年春に北京経由でモンゴルのウランバートルへ。帰国後に、ウズベキスタンのタシケント、カザフスタンのアルマータ(当時は首都)を訪問。1998年以後は、モンゴルに集中した。ソ連の影響下でも僧伽が死んでいなかったから。武漢肺炎(コロナ)で鎖国状態のために、2019年11月を最後にて訪問できない。

ISBN:9784884718237
出版社:高木書房
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB