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剣道審査員の目3

新装版

編:剣道時代編集部

紙版

内容紹介

本書は、日本最難関の試験と言われる剣道八段審査員を経験した二十五人の剣道範士に、各人が重視している重要項目と、受審の心構え、修行の姿勢などを詳しく解説していただいたものである。
剣道を志す人にとって、この書が単に段位取得のための指針になるだけでなく、剣道そのものの修行の過程に、また指導のためにも参考になることを願ってやまない。

目次

◎長野武大
 〇機会に応じて溜めのある一本を打つこと
  ・着装、礼法は適切で美しい構えになっているか
  ・構えの隙、動作の隙、心の隙を打て
  ・剣道形の審査ではここを見ている
◎藤井 稔
 〇勝って打つ一本を求め続けること
  ・『称号・段位審査規則』等をよく理解しているか
  ・丹田を鍛えて剣道の肚をつくっているか
  ・限られた時間内で自分の絵を描いているか
◎中里 誠
 〇自分主導になること。自分本位にならないこと
  ・偶然の打突と必然の打突違いを理解しているか
  ・打ち合いよりも攻め合いを見る
  ・歩合で負けない稽古を心がけているか
◎田中信行
 〇審査員の心に写る修行態度が備わっているか
  ・厳しい修行から得る。 一枝千本の覚悟が技の習得につながる
  ・左半身の安定で得る。 体に合った足幅を身につけているか
  ・謙虚な気持ちで得る。 礼法・所作も審査の対象と認識しているか
◎篠塚増穂
 〇引きつけて打ち切っているか
  ・左手、左足のおさまりを見ている
  ・立会に気のつながりがあるか
  ・謙虚な気持ちで注意に耳を傾けているか
◎長尾英宏
 〇「気で攻めて、乗って、崩して、破って打つ」を実践してきたか
  ・竹刀の持ち方が悪い人は審査の対象にならない
  ・偶然の技ではなく、必然の技が求められている
  ・気勢に満ちた構えで攻守のバランスが取れているか
◎下村 清
 〇剣の理法を求めての修錬か、竹刀の技法を求めての修錬か
  ・二分間、平素の修錬披露に徹することができたか
  ・つくりものは真実性に欠け、心気力の調和を崩す
  ・手の内さわやかな一撃と妙味あふれる応じ技を期待している
◎後藤清光
 〇左拳のおさまりで打ち切った一本を出せたか
  ・蹲踞した時点から生きた構えができているか
  ・適正な間合と機会が重要。無理無駄打ちは極力なくせ
  ・打って勝つより勝って打て。明確な目標設定が向上につながる
◎有馬光男
 〇地力があるか。練った強さがあるのか
  ・形ばかりにとらわれるな。充実した気勢がまず欲しい
  ・打ち切った後、突き抜けるような勢いがあるか
  ・迷ったら初心にかえれ。技にこだわるな。攻めにこだわるな
◎千葉 仁
 〇臨機応変に技を出しているか
  ・上懸かりの稽古でいつでも打てる構えが備わっているか
  ・理のある一本を求めよ。その積み重ねが質向上につながる
  ・規則正しい日常接活を心がけているか。充実した気迫は道場だけでは養えない
◎太田友康
 〇有効打突につながる攻めがあるか
  ・崩れない構えを体得しているか
  ・腰から攻め込み、左足が残っていないか
  ・合気の剣道を心がけているか
◎鈴木康㓛
 〇打つ前の仕事が重要である
  ・打ちたい、当てたいでは評価の対象にはならない
  ・腕の使い方、腰の使い方、刃筋を見ている
  ・平素から剣道形の修錬に努めているか
◎清藤幸彦
 〇攻められたら攻め返せ。気のやり取りから技を発しているか
  ・無駄打ちは禁物。刃筋正しく打突しているか
  ・隙があったら逃さない。隙がなければ気攻めで崩せ
  ・正しい姿勢、正しい心構えで修行に励んでいるか
◎石田榮助
 〇審査では晴れやかな姿を見ていただくことが大切
  ・所作に美しさがあるか
  ・打ち込み、掛り稽古で先の気を練っているか
  ・絶対に合格する! という覚悟が必ず立会に映る
◎忍足 功
 〇内面からほとばしる気の勢い、迫力があるか
  ・主導権を握っているのはどっちか
  ・限られた時間で自分の剣道をやりきれるか
  ・アドバイスを整理集約し、ポイントをしぼって稽古すること
◎遠藤勝雄
 〇気崩れ、打ち崩れ、打たれ崩れがないこと
  ・審査上の着眼点を認識しているか。たとえば着装、礼法は……
  ・自己主張ばかりの打突は不可。打たせ打ちを身をにつけているか
  ・大野操一郎先生「腰に力がないと八段は受からない」
◎根岸一雄
 〇攻め勝って間髪を容れずに打っているか
  ・攻めない打突は審査員に響かない
  ・審査は無意識、稽古は意識。打ち切った一本が出せているか
  ・気本の積み重ねが機会に反応する身体をつくる
◎中田琇琇士
 〇迷いのない一本を打っているか
  ・普段から相手を敬い礼を尽くして稽古をしているか
  ・観の目で相手を捉え、味のある打突を出しているか
  ・心を残さず打ち切る稽古に徹すること
◎目黒大作
 〇序・破・急の活気ある立会を求めたい
  ・序‥‥‥礼法に寂とした活気を感じさせるか
  ・破‥‥‥立会に凛とした活気があるか
  ・急‥‥‥打突に裂帛の活気が宿っているか
◎島野泰山
 〇いかに自分を表現するか、出し切れるかが大事
  ・着装の乱れは心の乱れ。準備万端整えて審査に臨むこと
  ・攻めて打ったら相手にわかる。攻めて勝って一本を打っているか
  ・短く、激しく、数をかける稽古で先の気を養っているか
◎岡田一義
 〇機会・打突・残心で審査員に迫力を伝えよ
  ・露の位‥‥‥好機をつくる、好機を打つ
  ・石火の位‥‥‥鋭い打突を出しているか
  ・梵鐘の位‥‥‥仕上げの残心があるか
◎川本三千弘
 〇姿勢よく、気の充実をもって隙を打っているか
  ・打ち切ること、乗り勝つこと
  ・基本に忠実な稽古をやり通したか
  ・気位の高さが感じられるか
◎小高終八郎
 〇躍動的な剣道か
  ・構えに勢いがあるか
  ・技を出す前の階段を見ている
  ・無理、無駄、無法は禁物。打つべく機会に打っているか
◎網代忠宏
 〇呼吸、構え、攻め、打突、残心までの構造を理解しているか
  ・構えがよくなければ、どんなにいい技を打っても評価されない
  ・攻めから打突、残心までの一連の動作が円滑に行われているか
  ・審査の前日はよく眠れ。相手はともに合格を目指す協力者である
◎宮川英俊
 〇気と位で攻め、相手を崩してその機会を逃さず打ち切ること
  ・着装は襟首袴腰になっているか。礼法の前から審査は始まっている
  ・元立ち稽古をやめて先をかけた稽古に切り替えよ
  ・素直な心で指導を受け入れたときにおのずと道は開けてくる

ISBN:9784884584429
出版社:体育とスポーツ出版社
判型:4-6
ページ数:268ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SR