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優美な剣道 出ばな一閃

著:谷勝彦

紙版

内容紹介

剣道の歴史的・文化的考察や、各種学会における学術的な発表または論文などを目的としたものではありません。私個人の半世紀以上にわたる剣道経験の中で、特に八段取得以降の考え方や実践方法に基づいた対人的・技術的考察に過ぎません。人それぞれの剣道に対する考え方や実践方法があることは当然でありますが、本書が皆様ご自身の剣道をさらに深める・高めるために少しでも参考となればありがたい限りです。さらに付け加えて、皆様から何らかの機会に本書に関するご質問やご意見、あるいはご感想などをいただければ幸いと存じます。(「はじめに」から)

目次

はじめに
第一章 昇段審査対象
 上達の着眼点 正しく美しい剣道を求めれば自ずと強さとなって現れる
  稽古での掛かり方を工夫することが正しい剣道を身につける術となる/左拳を動か
  すのは打つときのみ。如何に竹刀が振れるかを意識して構える/基本稽古は肩を柔
  らかくできるだけ大きな技で正しく打つ
 高段者への道 打たせない相手をいかに基礎基本に忠実に打つか
  振りかぶりで振り幅を作るのではなく振り下ろしで振り幅をつくり出す/自分を崩
  すことなく僅かな竹刀操作で自分に有利で強い状態をつくり出す/基礎基本に忠実
  な打突を求める
 崩さずに打つ 崩れを最小限におさえ会心の一本を打つ4つのポイント
  構え 耳・左肩・左腰を一直線で結ぶ/素振り 構えた両腕の形を維持して振り上
  げる/攻め 物見の位置を変えないで平行移動する/打突 できるだけ構えた状態
  を維持して打つ
 打ち切る 打突前・打突時・打突後 気剣体の作用を意識する
  気力の弛みは中途半端な攻め、打突に直結する/必要最小限の竹刀の振りで力強い
  一本を打つ/腰の平行移動で間合を詰める。間合いの詰まりすぎに注意/突きの軌
  道を意識して小さく鋭く面を打ち切る/打突後は体当たりの覚悟。勢いのある小手
  を鋭く打つ
 出ばなを打つ 「攻める」「溜める」「捨てる」三つのプロセスで出ばなを打つ
  構えと攻め 左拳を中心から外さず、竹刀を平行移動させるように動かす/出ばな
  面 中心を取りきり、攻め返しや出てくるところを狙う/出ばな小手 下を攻めて
  面をを意識させ、手元が浮いたところを狙う
 素振りの要諦 目的を明確に、相手を想定して刃筋と手の内の習得に努める
  肩甲骨と肘を意識して振りかぶる/両拳で押し手と引き手を意識し、打突に冴えを
  生み出す/「刃筋」「手の内」「体さばき」。一本一本意識を高めて振る

第二章 剣道上達講座
 攻めの基本 二種の攻めで相手を崩す
  上半身の構え 脇を締めて肘を曲げ、無理なく構える/下半身の構え 自在にさば
  くことのできる足構えを保つ/二種の攻め 自分を崩さずに相手を崩す/二種の攻
  め 自分を崩すことでさらに相手を崩す
 仕かけて面 攻め崩して隙をつくり出してから打つ
  崩さずに崩す 中心を制し、腰を平行移動させて打つ/崩してさらに崩す① 面を
  意識させ、刃筋を変えて打つ/出ばな面 溜をつくって相手の崩れを誘う/崩して
  さらに崩す② 突き心で攻めて相手の崩れを誘う
 仕かけて小手 迷いを生じさせて手元を浮かせる
  崩さずに崩す 突きから面を攻め、避けたいところを打つ/崩してさらに崩す 下
  攻めから、面の軌道で小手を打つ/かつぎ小手 突きから面を攻めてかつぎ、手元
  を浮かす
 突き技 突き心を持って攻める
  崩さず崩す① 中心をとり、剣先をすり込むように突く/崩さず崩す② 取り返し
  てきたところを裏から突く/崩してさらに崩す 小手を攻めて剣先が開いたところ
  を突く
 応じ技 良い状態を維持しているところに技を出させる
  面返し面 相手との間合いを充分に保って返す/面すり上げ面 振り上げと振り下
  しの交差部分ですり上げる/小手打ち落とし面 面に行く過程で小手を打ち落とす
  /小手すり上げ面 裏鎬を若干ふくらませてすり上げる
 稽古法 初太刀をどのように捨てるか
  素振り 何のために素振りをするのかを考える/切り返し 剣道の総合的な稽古で
  あることを意識する/打ち込み稽古 元立ちが主体となり、元立ちに正しく打ち込
  んでいく
 修業論 絶対的評価と相対的評価
  審査や試合の位置づけや意味について/「修証不二」ということ/「三摩(麿)の
  位」と「PDCAサイクル」の観点から/師弟同行の大切さとは

第三章 剣道談義
 香田郡秀範士八段 同じ剣の道を求めて
  剣道の本質を学んだ筑波大学/「師弟同行」を実践する/自分の剣道を表現する/
  質の高い基本を求める
 中田勝巳教士八段 現在の段位をまっとうできているか
  いかに自主性、主体性をもって剣道に取り組めるか/恩師のアドバイスでリラック
  スして臨めた八段審査/段位合格は、合格した段位の修業が許された証/相手と合
  気になる、同調する 打たれる稽古にこそ上達はある
 渡辺正行(タレント) 剣道と正面から向き合い楽しむ
  稽古と試合と審査に同一性を/結果よりも過程を大事に/「理合」に適った剣道を
  心がける/良いも悪いも含めて剣道を楽しむ

おわりに

著者略歴

著:谷勝彦
昭和32年生まれ、群馬県出身。新島学園から筑波大学へと進学し、卒業後、群馬県の高校教員となる。47歳で八段昇段、教員として校長職まで勤め上げた。主な戦績として、全日本選抜八段優勝大会優勝(2位2回)、全日本選手権大会出場、全国教職員大会団体優勝、全日本東西対抗大会出場などがある。現在、慶應義塾體育會剣道部師範。剣道範士八段

ISBN:9784884584375
出版社:体育とスポーツ出版社
判型:B5
ページ数:132ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年04月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:SR