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モルモン書は現代の偽典

ジョセフ・スミスが19世紀アメリカで霊感によって著した

著:ロバート・M・プライス
訳:沼野 治郎

紙版

内容紹介

「偽典」(シューデピグラファ) は、民衆が持つ敬虔な好奇心に答えようとして書かれた側面があり、日本語が与える印象よりずっと宗教的で徳性を養うもの、正典につながっていくものとして重視されている。旧約聖書の申命記、ダニエル書、新約聖書のペテロ後書が偽典視されている。

末日聖徒イエス・キリスト教会(通称モルモン教会)の最も重要な書物、「モルモン書」がフィクション(創作)であると気づくことは、天動説が間違っていて地動説が正しいことを受け入れたコペルニクス的転回に相当する、と一部の理知的な教会員は見ている。

モルモン書に批判的手法を適用することは、末日聖徒にとって馴染みのないことであっても、創始者と末日聖徒の聖典の意義が非モルモンに認識されることになる。そして、モルモン書が欽定訳聖書に広範に依存していることが分かれば、共通の聖書的遺産を受け継いでいることになり、モルモンと非モルモンが和解の方向に向かうことが期待される。 (著者R.M.プライス)

目次

はじめに

1 ロバート・M・プライス「『モルモン書』はジョセフ・スミスが霊感によって著した」
 よみがえった文書
 先行例に続く新参者ジョセフ・スミス
 際限のない物語の世界
 「なぜわたしの名を聞くのですか」(創世32:29)
 「変形エジプト文字」は「異言」に相当
 後期預言者を受け入れた後期聖徒(日本語では末日聖徒)
 預言とその改訂・加筆
 ニーファイ人の菩薩(涅槃に到達できるが、苦しむ衆生を憐みこの世に留まる人)
 「もし遅くなっても、それを待て」(ハバクク2:3)
 黙示と弁明

2 「モルモン書」を現代の偽典と見なした研究者・学者

3 「モルモン書」理解に参考となる19世紀初頭の背景資料

著者略歴

著:ロバート・M・プライス
ロバート・M・プライス(新約学博士、神学博士いずれもドリュー大学より取得)は、ニューヨーク、アムハーストにある探索研究所(Center for Inquiry Institute) 聖書批判学教授であり、「高等批評学術誌」 (Journal of Higher Criticism) の編集長であった(2003年廃刊まで)。彼の著書には Deconstructing Jesus, Paul as Text: The Apostle and the Apocrypha, The Widow Tradition in Luke-Acts: A Feminist-Critical Scrutiny などがある。また次のような学術誌に発表している。American Rationalist, Dialog, Evangelical Quarterly, Journal of Psychology and Theology, Hervormde Teologiese Studies, Reformed Journal 他。
訳:沼野 治郎
沼野治郎(言語学修士、ブリガムヤング大学)は、1941年中国上海生まれ。大阪外国語大学中国語科(現大阪大学)卒、1974年から1976年までBYUに学ぶ。1980年以降、徳山大学、広島国際学院で英語教育に従事。1988-2000年、季刊「モルモンフォーラム誌」を刊行。著書に『私が接した言葉とその文脈』、『モルモン教をどう見るか:第三の視点をさぐる』、『現代中国語訳の聖書』がある。その他、ダイアログ誌、モルモン歴史学会報などに論文を投稿している。

ISBN:9784884162580
出版社:せせらぎ出版
判型:A5
ページ数:120ページ
定価:1200円(本体)
発行年月日:2017年07月
発売日:2017年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRMB