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セクハラ・パワハラによって被害者は苦しみ、事業主は大切な従業員を失ったり傷つけ、企業イメージを低下させる。利益を受ける者は誰もいない。それにもかかわらず、セクハラやパワハラの事件は相変らず発生している。それは、個別労働相談窓口への相談件数の増加や、労災認定件数の増加などからもうかがえる。

ではなぜ、このような誰も望まない事態が数多く発生し継続しているのだろう。経済社会の閉塞感や、ノルマに追われ短期的に成果を上げようとして、つい部下等に対して過剰なまでの叱責をしたり、ストレス解消のため仕事と関係のないいじめやセクハラに走るのだろうか。しかし逆に、パワハラやセクハラによって職場に新たな閉塞感を産み出すことを認識しなければならない。

本書では、実際に裁判で争われた事例や相談事例を数多く学び、反面教師として活用することが、セクハラ・パワハラを減少させることにつながるという視点から前半は書かれている。後半ではそれを受け、セクハラ・パワハラの要因と発生を予防する人材マネジメントをいかに行うか、その根絶に向けて書かれている。　

序　章　高まるセクハラ・パワハラへの関心

第Ⅰ部　セクハラ・パワハラをなくすために
　第１章　セクハラとパワハラとは何か　 　 　
　第２章　セクハラ・パワハラは起こる背景　
　第３章　職場における不満・苦情の現状と対応
　第４章　セクハラ・パワハラを予防する人材マネジメント

第Ⅱ部　判例からみるセクハラ・パワハラの実態
　第５章　判例から見たセクハラの実態
　第６章　判例から見たパワハラの実態

結　び　セクハラ・パワハラの根絶に向けて

著：君嶋　護男
元 愛知労働局長、元（一財）女性労働協会専務理事ハラスメントや労働法制等に関する執筆、講演多数主な著書に、「キャンパス・セクハラ－そのとき学内で何が起きたのか」（女性労働協会：2010年）、「ここまでやったらパワハラです！－裁判例111選」（労働調査会：2011年）、「わかりやすい パワーハラスメント裁判例集」（21世紀職業財団：2011年）など。　　　　　

著：北浦　正行
（公財）日本生産性本部参事人事管理や労使関係等に関する執筆、講演多数主な著書に、「定年制廃止計画－エイジフリー雇用のすすめ」（共著、東洋経済新報社：2002年）、「介護労働者の人事管理」（介護労働安定センター：2010年）、「キャリアデザイン30講」（編著、生産性労働情報センター：2013年）など。