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『教訓抄』に語られる中国音楽説話の研究

著:王 媛

紙版

内容紹介

鎌倉前期の雅楽家・狛近真は、仏教的解釈を通じて唐代音楽文化をいかに本朝(日本)へと伝え受容しようとしたか。『教訓抄』と唐代文献の照合から解明する。

目次

序 章 『教訓抄』と古代中国の音楽文化 1
第一節 『教訓抄』の内容と研究意義 2
第二節 先行研究と本書の目的 6
第三節 本書の構成と概要 13
注 17

第一章 唐代宮廷音楽の伝来と日本における受容 21
第一節 唐代宮廷音楽の内容 23
第二節 唐代九、十部楽の主な構成要素―四方楽 27
第三節 遣唐使と唐代宮廷音楽の伝来 40
第四節 古代中世における日本雅楽の伝承の担い手 50
注 56

第二章 『教訓抄』の成立と内容 63
第一節 狛近真の生涯 64
第二節 『教訓抄』著述の動機と背景 66
第三節 『教訓抄』と仏教説話集 71
第四節 『教訓抄』の概要 81
第五節 『教訓抄』の古写本と版本 83
注 87

第三章 「迦陵頻」にまつわる伝承 91
第一節 仏典に説かれる迦陵頻伽 92
第二節 浄土変相図に描かれる迦陵頻伽―敦煌壁画と絹絵を例に 98
第三節 迦陵頻伽が手にした楽器―唐代饗宴楽の反映 105
第四節 日本における浄土変相図の伝承 113
第五節 『教訓抄』に伝えられる「迦陵頻」 122
注 133

第四章 「蘭陵王」にまつわる伝承 137
第一節 中国の歴史に書かれる蘭陵王高長恭の生涯 139
第二節 唐代に伝承されていた「蘭陵王」―物語性を有する散楽 143
第三節 『教訓抄』に伝えられる「蘭陵王」 150
注 160

第五章 「春鶯囀」にまつわる伝承 165
第一節 大曲分類の学説検討 167
第二節 唐代大曲の日本における受容 171
第三節 「春鶯囀」の中国における伝承 176
第四節 「春鶯囀」の日本における受容をめぐる説話 179
注 187

第六章 「蘇合香」にまつわる伝承 191
第一節 西域からきた香料 193
第二節 蘇合香の効果と宗教の場での使用 201
第三節 唐代に現れた楽舞「蘇合香」 209
第四節 日本に伝承されていた「蘇合香」 216
注 222

第七章 「甘州」にまつわる伝承 225
第一節 甘州の歴史的位置 227
第二節 唐代における楽舞「甘州」の伝承 233
第三節 『教訓抄』に記される「甘州」 240
注 248

終 章 251
第一節 各章における論点の整理 252
第二節 本書の成果と課題 259

参考文献 263

あとがき 273

著者略歴

著:王 媛
王 媛(Wang Yuan)
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
専門分野は東アジア文化交流史。
明海大学・多摩大学・桜美林大学非常勤講師等を経て、現在、立教大学異文化コミュニケーション学部助教。
主な論文に、「遠くて近い“他者”―唐宋期の日本人像を探って―」(立教大学異文化コミュニケーション学部『ことば・文化・コミュニケーション』第12号、2020年)、「唐代の文学に描かれる外国人僧とその文化的イメージ―『酉陽雑俎』を通して―」(東洋大学『エコ・フィロソフィ研究』第13号、2019年)、「悲劇の皇子・時空を超えた旋律―蘭陵王と“蘭陵王入陣曲”をめぐって―」(『比較文化学の地平を拓く』開文社、2014年)など多数。

ISBN:9784883035106
出版社:三元社
判型:4-6
ページ数:284ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2020年06月
発売日:2020年06月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AV
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ