はじめに
序 章 時代区分
Ⅰ キリスト教以前~神話の時代~
第一章 民族叙事詩「カレワラ」
(1)フィンランドの「古事記」
(2)カレワラの描く世界
第二章 もう一つの古代史
(1)フィン・ウゴル語族の世界
①フィン・ウゴル語族の起源
②その後の展開
③フィンランド人の「民族移動」
(2)フィンランド民族創成の二大要素としての民族叙事詩とフィン・ウゴル語族
Ⅱ 十字軍の時代
第三章 フィンランドへの十字軍
(1)十字軍のおさらい
(2)スウェーデンとロシアの勢力争い
第四章 フィンランドはスウェーデンの支配下に入り、どう変わったのか
(1)スウェーデン王国の対等で従順な臣民として順応
(2)フィンランドの「文明化」
(3)スウェーデンによるフィンランド統治の進展
第五章 北欧の統一国家、カルマル連合
Ⅲ 宗教改革の時代
第六章 ヨーロッパ近代という時代
(1)どういう時代だったのか
(2)宗教改革について二つの考察
①プロテスタント主義が資本主義を生んだのか
②新たな免罪符、あるいは「規制緩和」としてのプロテスタント主義
第七章 スウェーデンの近代~概観~
(1)国際関係~砂上の楼閣「バルト帝国」~
①デンマーク〜因縁の仇敵〜
②ロシア~永遠の敵~
③バルト地域、そして北ドイツ~バルト海支配と崩壊~
(2)内政~中央集権化の進展~
①王権と大貴族の主導権争い
②軍事~改革の成功~
(3)宗教改革~信仰ではなく、単なる政略としての宗旨替え~
(4)経済~後進国~
①都市~独立性のない欽定都市~
②貿易~スウェーデン本土の鉄、フィンランドのタール~
③農業~豊かでない土地の開拓~
第八章 バーサ王朝の諸王とフィンランド
(1)スウェーデンの独立~僭主グスタフ・バーサ~
①北欧王国(カルマル連合)を崩壊させる 97
②バーサ王の長寿~スウェーデンの徳川家康~
(2)棍棒戦争(第一次フィンランド内戦)~グスタフ一世の息子達の争い~
(3)「ハッカペリーッタ」~グスタフ・アドルフ軍の勇猛フィンランド人部隊~
(4)「大いなる憎悪」~カール十二世が招いたロシア軍のフィンランド占領~
(5)対ロシア復讐戦~その後の愚かな軍事的冒険~
Ⅳ フランス革命以降の時代~宗教の世俗化~
第九章 ナショナリズム~第二の宗教改革~
(1)国家観の大転換
(2)言語ナショナリズムについての考察
第十章 「フィンランド民族」の創成
(1)民族国家の建設開始~「行政区」から「国家」へ~
(2)フィンランド・アイデンティティーの創設
①フィンランド語主義者(フェンノマニアFennomania)
②スウェーデン語主義者(スベコマニアSvekomania)
③言語闘争
④どのようにフィンランド語化を進めたのか
⑤流血のない「民族紛争」
⑥フィンランド史の偉人(i)フィンランド語主義の元老、スネルマン
⑦自然~もう一つのアイデンティティー~
第十一章 「拡大する」フィンランド
(1)親戚言語の探求~シベリア探検~
(2)カレリア主義
①民族叙事詩カレワラの「故郷」
②カレリア主義の実態
(3)大フィンランド主義
(4)ソビエト連邦崩壊後の「フィン・ウゴル語族」
①「つきあってもいい親戚」
②「そうでもない親戚」
第十二章 独立の苦しみ
(1)内戦~分裂するフィンランド~
(2)生まれなかった「フィンランド王国」~王様はドイツからという不思議~
第十三章 「フィンランド人」とは
(1)人種~フィンランド人はモンゴル人か~
①「偏見」との戦い
②人種の優劣は軍事力で決まる
(2)言語~フィンランド語は日本語の親戚?~
①スウェーデン語もフィンランドの公用語
②ヨーロッパ語から排除されたフィンランド語
③言葉の特徴
④「絶滅危惧種」から「公用語」へ
⑤フィンランド史の偉人(ⅱ)フィンランド語文語の父、アグリコラ
Ⅴ ロシアとの関係
第十四章 隣に住む獰猛な熊
(1)ロシア皇帝の臣民となる
①ロシアの宥和政策、ペテルブルクでの可能性
②ロシア化に備えて
③戦間期に過激化する「ロシア憎悪」
(2)ロシアからの真の独立
①真の独立戦争としての「冬戦争」
②報復としての「継続戦争」
③クーシネン傀かい儡らい政権、そしてフィンランド共産党
④戦争裁判
⑤フィンランド史の偉人(ⅲ)若き日のマンネルヘイム将軍
(イ)ロシア帝国軍人として
(ロ)日露戦争従軍記
(3)独立維持の努力~「フィンランド化」と呼ばれた時代~
①真実、それとも西側の「でっち上げ」?
②フィンランドから垣間見たソ連の日常生活の断片
③フィンランド史の偉人(ⅳ)ケッコネン大統領
第十五章 スパイ大作戦
(1)筆者の断片的実体験
(2)レベルの高い諜報網
第十六章 金カネの生る木、ソ連貿易
Ⅵ スウェーデンとの関係
第十七章 かつての母国でもあり、目標でもあったスウェーデン 254
(1)スウェーデンから見たフィンランド
(2)人の交流~フィンランド語とスウェーデン語~
第十八章 フィンランドのスウェーデン人
Ⅶ フィンランドは、どう社会が回っているのか
第十九章 経済的繁栄~短期間で経済先進国~
(1)経済構造変遷の大筋
(2)「世界に冠たる」福祉国家
第二十章 独自の安定した内政
(1)「合理的」な政治・経済体制
(2)間近に見た大統領
①コイビスト大統領
②アハティサーリ大統領
③ハロネン大統領
④ニーニスト大統領
⑤ストゥブ大統領
第二十一章 変わる社会、変わらぬ社会
(1)宗教はまだあるか
(2)サーメ人(ラップ人)~もう一つの少数派~
(3)アルコール問題、すなわち、火酒の痛飲について
①フィンランドの「正しい」酒の飲み方
② 「百年河か 清せいを俟まつ」
Ⅷ フィンランド人のアイデンティティーは確立したか
第二十二章 フィンランド・アイデンティティーとは
(1)自画像
(2)外から見たフィンランド像
①近代から独立頃まで
(イ)イギリス
(ロ)ロシア
(ハ)ドイツ
②第二次世界大戦後からソ連崩壊まで
(イ)「フィンランド化」というレッテル
(ロ)対外イメージ向上戦略の成否
③一九九◯年代
(イ)ロシア
(ロ)ドイツ
(ハ)イギリス
④二十一世紀
終章 ヨーロッパ人としてのフィンランド人
(1)アイデンティティーの模索:フィン・ウゴル語族としてのフィンランド人
(2)アイデンティティーの危機:ロシアに飲み込まれ、民族が消滅する危機
(3)新たなアイデンティティーを求めて:北欧の一員として
(4)ヨーロッパ人になったフィンランド人
①EU加盟からNATO加盟へ
②再編されたアイデンティティーの具体例
(イ)違憲立法審査権
(ロ)三者協議、「官」も入った労使交渉
(ハ)汚職の撲滅
(ニ)遊技場・ゲームセンターは官営
(ホ)スラムのない都市
(ヘ)「育児パッケージ/ベビーボックス」
(ト)リナックス(linux)
(チ)「みんなの権利」
(リ)フィンランド野球「ペサパッロ」
③西欧の一員としてのアイデンティティーの確立
④伝統的アイデンティティーの保持をメインに掲げる政党
(5)まとめ
おわりに
(1)執筆の動機
(2)フィンランドにはまってしまった理由