文化とまちづくり叢書
社会化するアート/アート化する社会
社会と文化芸術の共進化
著:小松田 儀貞
内容紹介
「芸術」「美術」から、よりカジュアルに「アート」という言葉を用い始めて久しい。アートと社会は、それぞれが他方の一部となり「アートの社会化」「社会のアート化」が進む。本書はこうした状況を「社会とアートの共進化的動態」として捉えた。そこには地域、参加、多様性などの関連、さらに地域経済、市民社会論にまでかかわる「問題群」が浮上する。
著者はこれらの群を確認し、われわれがこの現実から何を学び得ることができるかを抽出、整理し、考察した。アートの社会的実装による社会課題の解決の契機や道筋を探る、野心的試みが結実した1冊。
目次
第1章 アートプロジェクトの生成と展開
第1節 アートプロジェクトをめぐる状況
第2節 アートプロジェクトとは何か —「共創」と「サイト・スペシフィック」
第2章 「地域」とアートプロジェクトの模索
第1節 「ゼロダテ」の挑戦 —地域社会とコミュニティ・アートプロジェクトの展開
第2節 地域アートプロジェクトの設計と実装 —中村政人の実践
第3章 地域を超えるアート、地域をつなぐアート —地域とアートの関係再考
第1節 アートにとっての場所/場所にとってのアート
第2節 アートにとって「地域」とは何か —コミュニティとしての地域
第4章 コミュニティと向き合うアート —参加、協働、共創
第1節 コミュニティデザインとアートの可能性 —「参加」の社会実装
第2節 アートにおける参加の可能性と隘路 —ワークショップという手法
第5章 地域社会と文化資源のゆくえ —文化と経済の間
第1節 地域資源としての文化財 —秋田の円空仏をめぐって
第2節 地域社会と文化資源——文化の資源化と文化遺産
第6章 震災とアート —「3.11」から見えてくるもの
第1節 震災・復興・アート
第2節 「アートと社会」をめぐる問い——震災の現場から考える
第7章 文化芸術の効用と社会実装 —地域で活きるアート
第1節 文化芸術と地域経済
第2節 アートの社会実装 —社会化するアート/アート化する社会
第8章 市民社会と文化芸術 —社会とアートをめぐる課題と展望
第1節 市民社会と文化芸術をめぐる課題
第2節 社会と文化芸術の共進化