文化とまちづくり叢書
「間にある都市」の思想
拡散する生活域のデザイン
著:トマス・ジーバーツ
監:蓑原 敬
内容紹介
大都市、中小の都市が規模に応じて機能分担をし、ネットワークをつくる。中心部と郊外がありその狭間に農地や山林が介在する。このような歴史的に形成されてきた都市のイメージが崩れ中心部はシャッター街、自動車の利用が街を拡散し、郊外を貫く幹線道路沿いに都市機能が展開する現在、人口減少と進む高齢化から「都市をたたむ」ことが差し迫った課題となっている。
技術革新により、産業構造もライフスタイルも大きく変化し、従来の認識の枠組みでは、現代の広域生活圏を捉えきれなくなり、そのため質を高めることもできなくなってきている。本書はドイツの豊富な都市計画の事例を基に、今までとはまったく違った広域空間イメージ、 Zwischenstadt (間にある都市)という概念により、この事態に対応し、空間デザインに焦点を当てることによって、新しい広域計画、地区の計画の可能性を引き出す。
目次
まえがき
まえがき(日本語版の初版、2006 年)
英語版(題名は「都市なき都市」)へのまえがき
第1章 人類の大半が暮らす生活空間
― 特徴がなく名前の付けようもない空間
1 国際的な現象である「間にある都市」
個々の合理的行動の結果である「間にある都市」
「間にある都市」のユニークな性格
「間にある都市」と田園地域
冗長性を組み込んでおくべきなのか、あるいは適応能力や資源の保全を優先するのか
◇大都市連担市街地における定住地のパターン
2 古い都市の神話が私たちの視野を遮っている
3 概念の再吟味
都会性
中心性
密度
用途混合
エコロジー
◇ケルンの周縁地帯にて
第2章 「間にある都市」とは
1「間にある都市」の全体像と疑問点
2 文化と政治の領域での都市の解体
3「間にある都市」を理性で理解できるようにする
ことの意義に関するいくつかの命題
◇ゲルゼンキルヘン・ビスマルク
第3章 日常生活空間の構成
1「システム」と「アゴラ」の葛藤
2 日常生活がばらばらに分化される
3「間にある都市」の「きめ細かい粒子」における日々の取り組み
◇ライン・マイン広域公園
第4章 デザインの焦点となる「間にある都市」
1 文化の解釈とデザインに対するアプローチ
2 美しいものと美しくないもの
3 建築と都市計画の専門家の貢献
4 精神的イメージへの働きかけ
知覚と記憶
画像化による手段 コンピューターの利用と情報キャンペーン
5 都市デザイン、文化、そしてスポーツ政策:エムシャーパーク国際建築博覧会(IBA)の例
◇「間にある都市」を文化的活動で占拠した事例:
エムシャーパーク国際建築博覧会
第5章 新しい形の広域計画の展望
1「間にある都市」の発展のための概念モデル
2 広域レベルにおける行政改革の必要性
◇シュツットガルト広域都市圏
3 計画・活動分野とツール
4 残された課題
ローカルとグローバルの「間にある都市」
空間と時間の「間にある都市」
都市と自然空間との「間にある都市」
注
第二の近代における都市―第2版へのあとがき
都市開発における「不確実性―決まらないこと」との付き合い方―第3版へのあとがき
監訳者あとがき(日本語版の初版、2006年)
日本語版再版への監訳者あとがき―この本の再版の意味
ISBN:9784880654355
。出版社:水曜社
。判型:A5
。ページ数:214ページ
。価格:3200円(本体)
。発行年月日:2017年12月
。発売日:2017年12月04日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS。