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臨床医のための司法精神医学入門

改訂版

編:日本精神神経学会司法精神医学委員会

紙版

内容紹介

精神科専門医をめざす医師のための臨床研修用必携テキストが改訂されました。
難しい用語をできるだけかみ砕きわかりやすい解説が魅力の入門ガイドブック。

目次

第1章 司法精神医学への招待  中谷陽二
A 転ばぬ先の杖
B 司法精神医学とは
C 研修に活かす――鑑定は症例の宝庫
D 本書のねらい
E 腕試しコーナー

第2章 刑事精神鑑定  五十嵐禎人
A 刑事精神鑑定とは
  Column 1 精神鑑定の結果は食い違うのか?
  Column 2 ハンニバル・レクター
B 刑事責任能力鑑定の対象
C 心神喪失・心神耗弱とは
  1 心神喪失・心神耗弱の定義
  2 わが国における心神喪失者等の現況
D 法的判断と医学的判定――司法と精神医学の役割分担
  Column 3 最高裁昭和59年7月3日決定
  Column 4 最高裁昭和58年9月13日決定
  Column 5 最高裁平成20年4月25日判決
E 可知論と不可知論
F 刑事責任能力鑑定の種類とそれぞれの役割・意義
  1 刑事責任能力鑑定の種類
   a.公判・公判前鑑定
   b.起訴前鑑定
  2 それぞれの鑑定の役割・意義
G 刑事責任能力鑑定で鑑定人が行うべき作業
  1 「精神の障害」とは
  2 心理学的要素の分析
  3 総合的な評価
  4 事例提示
H 刑事責任能力鑑定において注意すべき点
  1 精神鑑定における精神科医の役割
  2 鑑定資料の取り扱いについて
  3 鑑定結果の報告方法
I 裁判員制度と刑事責任能力鑑定
  1 裁判員制度と法廷における審理のあり方の変化
  2 裁判員制度における精神鑑定の変化
   a.精神鑑定の行われる時期――鑑定資料の取り扱い
   b.鑑定作業と鑑定結果の報告――簡にして要を得た精神鑑定結果の報告
J 刑事訴訟能力鑑定

第3章 医療観察法  岡田幸之
A 法律とその背景
  Column 1 附属池田小事件の加害者と医療観察法
B 関連する用語等
C 医療観察法のシステム
  1 処遇審判の申立てと鑑定入院の開始
  2 初回の処遇審判とカンファレンス,審判期日
  Column 2 医療観察法と国際生活機能分類(ICF)
  3 初回の処遇審判決定
  Column 3 刑事司法のシステム
  4 入院処遇
  5 入院によらない処遇(通院処遇)
D 現状と課題
E 判例

第4章 精神保健福祉法  清水徹男
A 精神保健福祉法は複雑な法律である
B 精神保健福祉法の歴史
  1 精神病者監護法と精神病院法
  2 精神衛生法の誕生とその変遷
  Column 1 私宅監置制度
  3 精神衛生法から精神保健法へ
  4 精神保健法から精神保健福祉法へ
  Column 2 ライシャワー事件
C 精神保健福祉法の目的と対象
  1 精神保健福祉法の目的
  2 精神保健福祉法の対象者
D 精神医療の強制医療的側面と人権
E 入院患者の人権保護の仕組み
  1 精神保健指定医と精神科専門医
  2 精神医療審査会
  Column 3 国際人権B規約
  3 保護者制度の廃止
  4 監督・救済制度の概要
F 精神科入院形態
  1 任意入院
  2 医療保護入院
  3 応急入院
  4 措置入院(緊急措置入院を含む)
   a.申請・通報・届出
   b.措置入院の要件
   c.緊急措置入院
G 移送
  1 措置入院の際の移送
  2 医療保護入院,応急入院の際の移送
H 入院患者の行動制限について

第5章 民事精神鑑定  赤崎安昭
A はじめに
B 成年後見制度
  1 新旧制度の概要
  Column 1 成年後見制度パンフレットの検索方法
  2 法定後見
   a.後見の概要
   b.保佐の概要
   c.補助の概要
  3 任意後見の概要
  Column 2 任意後見契約
  4 成年後見制度の申立件数および手続き
  Column 3 「成年後見関係事件の概況」の検索方法
  Column 4 四親等内の親族
  Column 5 市区町村長の申立て
  5 成年後見人の役割・実務
  6 成年後見制度における診断書・鑑定書の作成
   a.診断書の作成
  Column 6 成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引の検索方法
   b.鑑定書の作成
  7 裁判所による監督
  8 高齢者を巻き込んでの犯罪
C 日常生活自立支援事業
  Column 7 日常生活自立支援事業の検索方法
  Column 8 「日常生活自立支援事業パンフレット」の検索方法
D 遺言能力
  Column 9 訴訟に発展する公正証書遺言
E 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  1 事例
  2 PTSDと鑑定する際の留意事項

第6章 虐待防止法・薬物規制法・道路交通法(運転免許制度)  大下 顕,森 裕
A 虐待防止法
  1 児童虐待防止法
   a.児童虐待の定義
   b.児童に対する虐待の禁止
   c.児童虐待の早期発見努力
   d.児童虐待の通告義務
   e.通告または送致を受けた場合の措置
   f.児童虐待に対する強制調査
   g.虐待児童への保護者の接触制限
  2 高齢者虐待防止法
   a.定義等
   b.在宅高齢者への虐待
  3 障害者虐待防止法
   a.定義
   b.早期発見,通報
   c.養護者による虐待の防止,養護者に対する支援
   d.障害者福祉施設従事者等による虐待の防止
  Column 滋賀サン・グループ事件
   e.使用者による虐待の防止
   f.学校・保育所等や病院等における虐待の防止
B 薬物規制法
C 道路交通法(運転免許制度について)

第7章 少年事件と鑑定  安藤久美子
A はじめに
B 少年法の概要
  1 少年法の理念と目的
  2 非行の類型
  3 適用年齢
  4 改正少年法
  Column 1 虞犯事由とは?
  Column 2 神戸連続児童殺傷事件
C 少年事件の法的手続き
  1 事件発生〜審判開始まで
  2 審判〜終局まで
  Column 3 少年鑑別所の役割
D 児童福祉機関送致決定(少年法第18条)
E 検察官送致
  Column 4 少年事件での死刑判決(石巻3人殺傷事件)
F 保護処分
  1 保護観察
   a.類型
   b.処遇の実際――遵守事項
   c.段階別処遇と処遇プログラム
  Column 5 保護司/保護司制度
  2 児童養護施設または児童自立支援施設送致
  3 少年院送致
   a.少年院の種類
   b.処遇区分
   c.矯正教育課程
   d.教育内容と方針
   e.出院
G 少年事件の精神鑑定
  1 鑑定事項と鑑定資料
  2 鑑定留置場所
  3 鑑定期間
  4 鑑定面接
  5 鑑定書作成
  6 鑑定人尋問

第8章 司法精神医学倫理  中谷陽二
A 司法精神医学倫理とは
B 司法精神医学倫理の特殊課題
C 精神鑑定と倫理
  1 中立であるためには
  Column 職権主義と当事者主義
  2 鑑定人と被鑑定人
  3 鑑定人は何を答えるか/答えてはならないか
D 触法精神障害者の医療と倫理
  1 刑事施設の医療
  2 医療観察法の医療
E 司法精神医学研究と倫理
  1 研究への同意
  2 鑑定事例の研究
F 倫理ガイドライン
G おわりに

あとがき
索引

ISBN:9784880028668
出版社:新興医学出版社
判型:A5
ページ数:196ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2017年06月
発売日:2017年06月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN