著:ダリオ・フォー
ダリオ・フォー(Dario Fo, 1926-2016)
現代イタリアを代表する劇作家・俳優。戯曲執筆だけでなく、演出、舞台美術、衣装、振付け、音楽など演劇に関わるほとんど全ての仕事をこなした。
妻のフランカ・ラーメと劇団を結成、『天使たちはピンボールをしない』Gli arcangeli non giocano a flipperなどのヒット作を生み出す。一九六九年、ヨーロッパ中世の道化芸を現代に蘇らせたモノローグ劇『ミステーロ・ブッフォ』Mistero Buffoで多くの若者の支持を得、カウンターカルチャーの旗手と目される。以後も『アナーキストの事故死』Morte accidentale di un anarchicoや『払えない! 払わない!』Non si paga! Non si paga!『法王と魔女』Il Papa e la Stregaなどを発表、イタリア演劇界において「反体制」「異端」の姿勢を貫いた。
一九九七年、ノーベル文学賞を受賞。
著:フランカ・ラーメ
フランカ・ラーメ(Franca Rame, 1929-2013)
イタリアの俳優・劇作家。仮面即興劇コンメディア・デッラルテの伝統に連なる大衆演劇の俳優の家に生まれる。
ダリオ・フォーと結婚して劇団を結成、実生活と演劇活動の両方において生涯にわたるフォーのパートナーとなった。二人は劇作においても常に協力し、フォーの喜劇作品の大半はラーメとの共同作業から生れた。また、フォーの戯曲は全てラーメによる監修を経て出版社から刊行された。代表作として、『家とベッドと教会と』Tutta casa, letto e chiesa『開かれたカップル』Coppia aperta, quasi spalancata『よくある一日』Una giornata qualunqueなどがある。
フェミニズムや弱者救済のための社会活動に積極的に関与し、二〇〇六年から二〇〇八年まで上院議員を務めた。
訳:高田 和文
高田和文(たかだ・かずふみ)
東京外国語大学大学院外国語研究科修了。静岡文化芸術大学名誉教授。元ローマ日本文化会館館長。
専攻はイタリア演劇、イタリア語、比較演劇。特に、ノーベル賞劇作家ダリオ・フォーの研究、翻訳。狂言とコンメディア・デッラルテの比較研究。
主な著書に、『話すためのイタリア語』(白水社)、『NHKスタンダード40イタリア語』(日本放送出版協会)、『イタリアの文化と日本』(共著、松籟社)など。訳書・翻訳に、ウーゴ・ロンファーニ『ストレーレルは語る』、アンドレア・ボチェッリ『沈黙の音楽』(いずれも早川書房)、ダリオ・フォー『払えないの? 払わないのよ!』(劇団民藝上演台本)、カルロ・ゴルドーニ『ミランドリーナ・宿の女主人』(劇団櫻花舎上演台本)などがある。
一九九九年、優れた翻訳劇に贈られる湯浅芳子賞を受賞。