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見直そう!再審のルール

この国が冤罪と向き合うために

編著:安部祥太
編著:鴨志田祐美
編著:李怡修

紙版

内容紹介

そもそもどうして冤罪が生まれるのか、その原因に迫り、そして、ひとたび間違って有罪判決を受けると、そこから救済されるのに何十年もかかってしまう現在の日本の再審制度の問題点を解説。日本の再審制度は機能不全に陥っており、「再審法(刑事訴訟法の再審に関するルール)」の改正が必要である。日本の法制度に倣って刑事司法制度を構築した隣国である台湾と韓国の、再審をめぐる改革の動きも紹介。

目次

小説「えんざい」

Part1 冤罪はどうして起きるの?
○「冤罪」とは何か?
○小説「えんざい」に見る日本の刑事司法手続とその問題点
1 捜査段階
2 公判段階

○冤罪事件・誤判研究が示す冤罪原因
1 虚偽自白
2 共犯者供述により引っ張り込み
3 誤った目撃供述
4 誤った科学的証拠・科学鑑定とその過信
5 その他

○日本の冤罪事件
1 冤罪事件を分類する難しさ
2 再審事件の概況

Part2 日本の再審はどうなっているの?
○再審制度
1 再審とは何か?
2 再審手続の流れ
3 再審手続の構造――再審請求審を中心に
4 再審を請求するための要件
5 再審請求事件と再審事件の概況

○再審制度の問題点
1 規定の不備に起因する問題
2 証拠開示
3 検察官抗告
4 その他

○実際に起こった問題
1 はじめに
2 再審における証拠開示のリアル
3 再審開始決定に対する検察官抗告のリアル
4 その他、現実に起こった「不具合」の数々

Part3 台湾と韓国に学ぼう
○台湾の再審制度
1 陳龍綺事件
2 2015年台湾刑訴法「再審編」の改正――再審請求理由
3 確定判決後DNA鑑定法の成立
4 2019年台湾刑訴法「再審編」の大幅な改正
5 法務部有罪確定事件審査委員会の成立
6 おわりに

○韓国の再審制度
1 韓国の再審法制の歴史と特徴
2 「過去事」とその清算
3 刑訴法による再審
4 特別法による再審
5 裁判所の積極姿勢と再審
6 検察改革と再審
7 刑訴法上の再審への影響――法改正へ向けた動き
8 おわりに

○台湾と韓国から日本が学ぶべきこと
1 はじめに――なぜ、台湾と韓国の動きが重要なのか
2 台湾の「ここに注目」
3 韓国の「ここに注目」
4 変わる台湾・韓国と、変わらぬ日本との違い

Column 死刑と再審 (高平奇恵 たかひら・きえ 一橋大学准教授・弁護士)
Column 大正刑事訴訟法と「再審」 (春日 勉 かすが・つとむ 神戸学院大学教授)
Column 再審制度に関心を寄せる高校生 (山室浩二 やまむろ・こうじ 京都府立嵯峨野高等学校教諭)
Column アメリカにおける誤判救済制度 (笹倉香奈 ささくら・かな 甲南大学教授)
Column ドイツにおける誤判救済制度 (斎藤 司 さいとう・つかさ 龍谷大学教授)

巻末付録
○冤罪被害体験を語る(徳島弁護士会「大崎事件と再審法改正」トークセッション)
○日本弁護士連合会「刑事法再審に関する刑事訴訟法等改正意見書(要約版)」(2023年2月17日)
○台湾刑訴法の再審関連改正条文と日本の現行規定
○本書で取り上げた重要事件一覧表

ISBN:9784877988425
出版社:現代人文社
判型:A5
ページ数:236ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNAA