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DNA鑑定は魔法の切札か

科学鑑定を用いた刑事裁判の在り方

著:本田 克也

紙版

内容紹介

罪捜査や刑事裁判の切札として、DNA鑑定に期待が高まっている。しかし、DNA鑑定をその適用限界以上に用いることは、冤罪を生み出すことになる。DNA鑑定について、その原理・歴史をたどり、足利事件、袴田事件、飯塚事件など事例を踏まえて、有効性と限界を明らかにする。

第1章 DNA鑑定法とは何か
第2章 DNA鑑定はどのように行われるか
第3章 DNA鑑定法の技術的課題
第4章 DNAの検出技術の改良
第5章 DNA鑑定の解釈をめぐって
第6章 劣化試料と混合試料の鑑定
第7章 DNA鑑定をめぐる論争(足利事件、飯塚事件、袴田事件)
第8章 法医学から見たDNA鑑定
第9章 DNA鑑定の有用性と課題
第10章 袴田事件即時抗告審における検察側検証とはいかなるものか

目次

第1章 DNA鑑定法とは何か
 1 DNA鑑定で何がわかるか
 2 DNA鑑定はどこまで正確か
 3 試料の採取とDNAの抽出
 4 DNA鑑定時代の黎明

第2章 DNA鑑定はどのように行われるか
 1 DNA鑑定における最重要過程─検出段階
 2 PCR法とは何か
 3 マルチプレックスPCR法の応用
 4 DNA型の検出と判定

第3章 DNA鑑定法の技術的課題
 1 DNA鑑定における根本的な問題とは
 2 個人識別用キットの適用
 3 確率的影響とは何か

第4章 DNAの検出技術の改良
 1 DNA抽出法の選択と改良
 2 検出感度の向上への挑戦
 3 高感度PCR法の適用
 4 DNA精製への新たな挑戦
 5 ミトコンドリアDNA鑑定とは何か
 6 DNA鑑定はいかにあるべきか

第5章 DNA鑑定の解釈をめぐって
 1 DNA鑑定と数学
 2 数学の歴史と科学との関係
 3 検査の不完全性を解決する方法
 4 DNA鑑定に用いられる基礎的概念
 5 遺伝子の型は対になっている
 6 足すか、かけるか
 7 尤度(比)とは
 8 事後確率とベイズの定理

第6章 劣化試料と混合試料の鑑定
 1 混合試料と汚染試料の違い
 2 混合試料の解釈方法
 3 DNA鑑定における陥穽とは
 4 DNA鑑定において出力されるデータとは
 5 データはどう総合的に解釈すべきか
 6 混合試料の鑑定をめぐる危険

第7章 DNA鑑定をめぐる論戦─足利事件、飯塚事件、袴田事件
 1 足利事件─なぜ不完全とはいえバンドが出てしまったのか
 2 飯塚事件─誤解釈による誤鑑定はなぜ起こる
 3 捏造を疑わせるデータ
 4 袴田事件と飯塚事件とで判断がなぜ分かれたのか
 5 劣化試料の鑑定
 6 今市女児殺害事件─汚染試料をめぐって
 7 法医学的DNA鑑定への提言

第8章 法医学から見たDNA鑑定
 1 法医学とはいかなる学問か
 2 法医学における証拠とは何か
 3 法医学の裁判への貢献とは
 4 「足利事件」から何を学ぶべきか
 5 DNA鑑定を過大評価する危険

終章 DNA型鑑定の有用性と課題
 1 『科学的証拠とこれを用いた裁判の在り方』を読む
 2 この小冊子で取り上げられなかった最も重要な論題は何か
 3 DNA鑑定と裁判
 4 小冊子の早急な改訂を願う
 5 DNA鑑定を警察機関のみで行うことは避けよう

補章 袴田事件即時抗告審における検察側検証とはいかなるものか
 1 裁判と研究
 2 裁判における検証とはいかにあるべきか
 3 「本田鑑定」の何を検証しようとしたか
 4 「袴田事件」の検証はいかにして強行されたか
 5 鈴木鑑定人の検証とはいかなるものか
 6 鈴木検証最終報告書の提出をめぐって

事件解説
 1 兵庫アパレル店員殺害事件
 2 晴山事件
 3 大分みどり荘事件
 4 飯塚事件
 5 足利事件
 6 今市女児殺害事件
 7 袴田事件

ISBN:9784877986810
出版社:現代人文社
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2018年02月
発売日:2018年02月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN