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オーソンとランチを一緒に

著:オーソン・ウェルズ
著:ヘンリー・ジャグロム
編:ピーター・ビスキンド

紙版

内容紹介

キネマ旬報 映画本大賞2022 第1位(2023年4月上旬号発表)

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ハリウッドに嫌われた伝説の天才監督兼スター、ウェルズが最晩年、若い親友と愉快にランチを頬張りながら語った会話音源を発掘。40年近い歳月を経て今あかされる、恨みつらみ、ゴシップ、珠玉の名言の玉手箱。

A5判並製函入・本文2段組424頁・図版170葉掲載・特製栞つき
装丁 服部一成 装画 前田ひさえ 翻訳アドヴァイザー 矢田部吉彦

(函裏の紹介文より)
映画が撮れなくなった晩年、オーソン・ウェルズはハリウッドの名物レストランで友人と会食しながら、新作を監督する期待を語り続けた。ヘンリー・ジャグロムは知る人ぞ知る映画監督だが、ウェルズに信頼され、その最晩年にほぼ毎週ランチの席を一緒に囲んでいた友人のひとり。
2人の会話音源はウェルズの没後、約30年も公表されずにきたが、近年、映画史家であるピーター・ビスキンドの尽力で書籍に集成されるや、生前は謎に包まれてきた天才の人格と芸術観をあかす格好の一書と評価され、〈ウェルズ自身が語るウェルズ〉の言葉の宝庫と謳われた。
ここには知られざるウェルズの姿がある。栄光と悲惨が交錯するキャリア、晩年の失意の日々が語られ、ルーズベルト、チャップリン、マレーネ・ディートリッヒ、リタ・ヘイワースなどとの交友が率直な口調で回想されている。
映画、舞台、ラジオ、芸術、本の感想、友情、政治と話題は尽きることがなく、時に傲慢で自己破壊的な発言も見られるが、ウェルズの映画に寄せる情熱は醒めやらず、人生の最後まで復帰作を監督すべく、悪戦苦闘していたさまが浮かびあがる。

帯表
『市民ケーン』『第三の男』──
映画史の頂点を極めた天才監督にしてスター
生前最後に遺された会話音源を発掘
人生と作品の秘密をあかす「語りの玉手箱」
【日本語版付録】監督/ 出演/ 遺稿脚本など映画96作品、舞台・ラジオ11演目を紹介 

帯裏 
オーソン・ウェルズの悲劇は、巨大な才能と
汚い未熟さが混ざり合っているところにある。
デイヴィッド・フィンチャー

かくも幅広い知識と経験をもつ人物が
再び映画界に現れることはまずないだろう。
スティーヴン・ソダーバーグ

*本書は映画・人物・事項など470項目に脚注を記し、ウェルズが手がけた映画・舞台・ラジオなど107作品、関連作も含めると150本近い作品の紹介を付録に網羅した一冊です。
*海外の最新研究の成果を踏まえ、赤狩りの脅威や業界の人種差別的価値観の犠牲となってハリウッドを排斥された事実、NHKの特別番組を乗っ取ろうとしていた新事実をも発掘し、天才の知られざる人物像を提供します。

目次

凡例 
序文 ヘンリーがオーソンと知り合ったのは ピーター・ビスキンド 
本文のおぼえがき 

第一部 一九八三年
1 誰もが頑迷になるべきだ 
2 タルバーグは悪魔だ! 
3 君と私はアメリカの二大名優だ 
4 誰とでも寝まくってたのに 
5 説教好きのカトリック女だから股蹴りを 
6 誰もマリリンには目もくれなかった 
7 『嘆きの天使』は安ピカの大作だ 
8 『市民ケーン』はコメディだからだ 
9 好意的な伝記作家なんかいない 
10 カンヌの連中は私の奴隷だ 
11 ファシスト式敬礼はデミルが発明した 
12 コメディアンはおっかない連中だよ 
13 スカーフ売ってる? 
14 バックウォルドがロニーにケツを捲った 

第二部 一九八四 - 八五年
15 交通規制される大スターになった瞬間 
16 友だちの差し出口には閉口したよ 
17 あらゆる観点から弁護は成り立つ 
18 ロートンはホモの自分に苦しんでいた 
19 クーパーは一瞬でオレを乙女にさせちまう 
20 ジャック、超天才のウェルズだぜ 
21 アメリカで唯一の国立劇団だったわれら 
22 監督クサイ 
23 墓から冷たい死の風が吹きつける 
24 コットンがヘッダの尻を蹴とばした 
25 作品を称賛するかしないかだろ 
26 深刻な財政難の最中にあっても 
27 大鎌をもつ死神を欺こうと 

跋文 オーソン最後の微笑み ヘンリー・ジャグロム

編者による補筆
ウェルズが最後に完成を望んだ新作と未完作 
会話で話題にされる人物の抜粋紹介 
謝辞 

日本語版付録──作品紹介
1 オーソン・ウェルズ 
   舞台 ラジオ 映画(監督作・撮影作・遺稿脚本・出演作)
2 ヘンリー・ジャグロム 
  監督作・コンサルタント・出演作
3 ピーター・ビスキンドが携わった映像作 
4 オーソン・ウェルズに関する映像作 
  フィクション ノンフィクション

訳者あとがき 

索引(人名・題名・事項)

著者略歴

著:オーソン・ウェルズ
オーソン・ウェルズ 
1915年生まれ。21歳でオール黒人キャストによる「マクベス」をブロードウェイ初演出。22歳のとき、社会派オペレッタ「ゆりかごは揺れる(クレイドル・ウィル・ロック)」を合衆国政府の反対を押しきり上演。翌年、ラジオドラマ「宇宙戦争」を放送して全米をパニックに陥れる。25歳で映画史上の最高傑作『市民ケーン』に監督・主演。その後も『上海から来た女』『黒い罠』『審判』などの名作に監督兼主演で名を連ね、『第三の男』に出演して映画スターとして活躍した。日本ではニッカウヰスキーのCM、イングリッシュ・アドベンチャーの英語教材「家出のドリッピー」の出演でも知られている。1985年70歳で急逝。
自己破壊的な傾向が強く、晩年は新作をつくれず、B級映画やCMの出演ばかりとなったが、2018年、Netflixの資金援助で生前未完成だった『風の向こうへ』が完成して以降欧米で再評価する機運が高まり、近年、『Mank/ マンク』に天才ならではの傍若無人な姿が描かれた。2022年6月発売の「MONKEY」vol.27に「宇宙戦争」の台本が柴田元幸氏の翻訳で掲載。
著:ヘンリー・ジャグロム
ヘンリー・ジャグロム
1941年生まれ(38年説もある)のアメリカの映画監督。裕福なロシア系ユダヤ人の家系に生まれ、アクターズ・スタジオでリー・ストラスバーグに学ぶ。1969年『イージー・ライダー』の編集に参加。翌年、ジャック・ニコルソン主演、ウェルズ共演の『安全な場所』で監督デビュー。デニス・ホッパー主演の『トラックス』(76)を監督以降、自社製作のインデペンデント映画を多く手がけ、主演も兼ねた『デイブとジュディ 二人の離婚記念日』(85)等これまでに22本の監督作がある。
ウェルズより20歳以上年齢が下だが最晩年の彼と友情を育み、ハリウッド・セレブ御用達のフレンチレストランで毎週のようにランチの席を囲みながら、本書にある会話の録音を続けた。
編:ピーター・ビスキンド
編/ 序文 ピーター・ビスキンド
映画史家。批評家。ジャーナリスト。著書に「イージー・ライダー、レイジング・ブル〜セックス・ドラッグ・ロックンロール世代は如何にしてハリウッドを救ったか」「ダウン・アンド・ダーティー・ピクチャーズ〜ミラマックス、サンダンス、インデペンデント映画の台頭」「スカイ・イズ・フォーリング〜ヴァンパイア、ゾンビ、アンドロイド、スーパーヒーローは如何にしてアメリカを過激主義の国にしたか」(いずれも未邦訳)。「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」「ローリング・ストーン」に寄稿。「アメリカン・フィルム」の編集主幹、「プレミア」の上席編集者を務めた。
主著である「イージー・ライダー、レイジング・ブル」は世界30か国以上で翻訳されており、日本でもかつて翻訳が刊行される予定であったが、残念ながら今日まで未刊となっている。

付属物

日本語版付録として50頁、総計149作品、62,000字の作品紹介を巻末に掲載。ウェルズの出演作を日本で初めてリスト化し、これまで主に撮影技法の面からしか語られてこなかったその監督作について、簡単な筋書きと作品ごとの主題を明記しています。

ISBN:9784877461201
出版社:四月社
判型:A5
ページ数:424ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF