青島麻子 池田節子 今井久代 鵜飼祐江 太田敦子 大津直子 勝亦志織 河添房江 川名淳子 木谷眞理子
久富木原玲 倉持長子 栗本賀世子 斉藤昭子 清水婦久子 スエナガエウニセ
鈴木宏子 鈴木泰恵 相馬知奈 高木和子 高橋麻織 中川正美 長瀬由美 西本香子 橋本ゆかり 畑恵里子 林悠子 原岡文子
平林優子 堀江マサ子 松本美耶 三村友希 本橋裕美 山本淳子 湯浅幸代 吉井美弥子 吉野瑞恵
はじめに 原岡文子
Ⅰ ことばへの展望
紫式部の表現―源氏物語・紫式部日記・紫式部集― 高木和子
はじめに/一 「癖」「宿世」―源氏物語、紫式部日記/二 女房の詠歌を促す場面―紫式部日記、源氏物語/三 「鏡の神」「水鶏」―紫式部集、紫式部日記、源氏物語
方法としての袍の色―『源氏物語』正編の束帯姿― 吉井美弥子
はじめに/一 「四位五位こきまぜに」考―若紫巻の袍の色/二 方法化される当色㈠―澪標巻の住吉参詣/三 方法化される当色㈡―少女巻の夕霧と光源氏/四 「黒」の袍と柏木―若菜下巻の住吉参詣の場面から/おわりに
『源氏物語』の婿取婚―婚儀における婿と舅の関係性― 青島麻子
一 「婿取婚」とは何か/二 省筆される婚儀/三 夕霧の結婚と藤花の宴/四 薫の結婚と藤花の宴/五 避けられる「婿」
『源氏物語』の―若菜下巻〈論〉における「なまなま」の語と、〈仲哀記〉 西本香子
はじめに/一 「なまなま」の語義と用例/二 近世読本『西山物語』の「なまなま」/三 との親和性/結語
源氏物語のことば―「つつまし」による関係表現― 中川正美
一 時代性と創造性/二 「つつまし」の語誌からみる源氏物語/三 平安貴族の環境と「つつまし」/四 源氏物語の方法―時代性から創造性へ
源氏物語の日付―月の描写との関わりから― 平林優子
はじめに/一 あいまいな日付と月の描写/二 具体的な日付と月の描写/おわりに
『源氏物語』の「年ごろ」と「月ごろ」 林 悠子
一 問題の所在―浮舟巻の「年ごろ」/二 年をまたいだ数ヶ月間は「年ごろ」か「月ごろ」か/三 「年ごろ」と「月ごろ」の境目―光源氏の須磨・明石流離と「年ごろ」「月ごろ」/四 話者の誇張表現としての「年ごろ」/五 結語に代えて―再び薫と浮舟の「年ごろ」
Ⅱ 正編から続編へ
光源氏の好色の叙述法―〈色好み〉〈すき〉の二面から― 今井久代
はじめに―光源氏の愛情生活、〈色好み〉と〈すき〉/一 〈色好み〉の罪と贖罪―藤壺物語の描き方/二 〈すき〉の情―「筑紫の五節」と花散里/五 まとめ
空蝉巻の垣間見場面について―「奥の人」の表現から― 川名淳子
一 垣間見場面の多元的視点/二 全知の視点が導くもの/三 場面のフレームから飛翔する感覚
光源氏と葵の上との結婚
―「問はぬはつらきものにやあらん」という言葉の意味するもの― 大津直子
はじめに/一 光源氏の反駁/二 宮腹の姫君の結婚/三 実態のない同居婚に生じたひずみ―若紫の登場/おわりに
藤壺中宮の筆跡―「ほのかに書きさしたるやうなる」をめぐって― 太田敦子
一 藤壺中宮の筆跡/二 姫君の「墨つき」/三 書きさす文/四 「ほのか」なる藤壺中宮
花散る里の女御―麗景殿のイメージをめぐって― 栗本賀世子
一 『源氏物語』の麗景殿の使用者たち/二 花散里巻の麗景殿女御/結び
「明石」という呼称―一族の物語を内包する呼称― 鵜飼祐江
一 明石君の呼称用例の整理と「明石」呼称の問題点/二 歌語「明石」と語の変容/三 「明石」呼称の創作課程―入道の介入と三首の「明石」歌/四 「明石」呼称が喚起するもの/五 「明石」系呼称と六条院系呼称
唐物派の女君と和漢意識―明石の君を起点として― 河添房江
一 明石の君にまつわる唐物/二 海運から見た明石の地/三 唐物派の女君と和漢の関係/四 末摘花と女三の宮にみる唐物評/五 他の平安文学の唐物評との比較
藤典侍の出仕をめぐって 本橋裕美
はじめに/一 惟光の娘について/二 「典侍」をめぐって/三 典侍任官の史上の例/四 藤典侍の物語/おわりに
『源氏物語』柏木の女三の宮憧憬について―「あて」の語をてがかりに― 松本美耶
はじめに/一 女三の宮の降嫁問題と柏木―野心から恋の情熱へ/二 柏木の女三の宮憧憬―「あて」へのまなざし/三 柏木と「あて」(Ⅰ)―女三の宮をめぐって/四 光源氏と女三の宮/五 柏木と「あて」(Ⅱ)―東宮、落葉の宮をめぐって/結
女三の宮の「煙くらべ」の歌が意味するもの―解釈の揺れをめぐって― 吉野瑞恵
はじめに/一 「煙くらべ」の歌はどのように解釈されてきたか/二 古注を手がかりとした「煙くらべ」の歌の解釈/三 柏木は「あはれ」を得られたのか/四 結
薫の生育儀礼の政治的意義―産養・五十日の祝い・元服をめぐって― 高橋麻織
一 はじめに―生育儀礼の研究の動向/二 薫の誕生と光源氏の苦悩/三 薫の生育儀礼(1)―産養/四 薫の生育儀礼(2)―五十日の祝/五 薫の生育儀礼(3)―元服
『源氏物語』「夕霧」巻の「玉の箱」―死・美・愛執― 畑恵里子
はじめに/一 玉手箱の増殖/二 玉手箱を装飾する死と美/三 開封されない玉手箱/四 愛執の玉手箱/おわりに
暗転する「今日」―紫の上に関わる時間表現の一手法― 堀江マサ子
はじめに/一 幻巻の暗転する「今日」/二 紫の上登場と葵祭の「今日」/三 紫の上の死が噂される葵祭の「今日」/四 紫の上が自覚した「今日」/おわりに
『源氏物語』と「長恨歌」―正編から続編へ― 長瀬由美
はじめに/一 『源氏物語』と「長恨歌」/二の一 桐壺巻の桐壺帝と「長恨歌」 /二の二 幻巻の光源氏と「長恨歌」/三 宇治十帖世界の「長恨歌」
「数ならぬ」「数まへられぬ」中将の君―浮舟を導くことば― 三村友希
はじめに/一 「数ならぬ」中将の君の「幸ひ」への問いかけ/二 明石の君・玉鬘の「数ならぬ」物語/三 「世に数まへられたまはぬ古宮」から始まった
Ⅲ 『源氏物語』と平安文学のことば
歌合から源氏物語へ―題詠と巻名― 清水婦久子
一 源氏物語の巻名と歌合/二 歌語・歌題から巻名「螢」へ/三 歌語・歌題から巻名「篝火」へ/四 歌語・歌題から巻名「常夏」へ/五 歌合から「野分」「行幸」「藤袴」巻へ/むすび
源氏物語の中の古今和歌集―引歌を回路として― 鈴木宏子
一 『源氏物語』に引かれる『古今集』歌/二 『古今集』各巻の引歌/三 引歌となる回数の多い歌とは―普遍的な「こころ」と機智的な「ことば」/四 哀傷からの引歌―さまざまな「死」のかたち/五 春上からの引歌―梅香の引歌は薫に集中する
和歌を「書きつく」ことが示す関係性―『うつほ物語』から『源氏物語』へ― 勝亦志織
はじめに/一 歌集における「書きつく」/二 歌物語における「書きつく」/三 『うつほ物語』における「書きつく」/四 『源氏物語』の「書きつく」―「扇」に書き付けられた贈答歌/おわりに
平安文学における食表現―『源氏物語』と『宇津保物語』を中心に― 池田節子
はじめに/一 食物一覧/二 『宇津保物語』において、食品名が登場する場面/三 どこで、誰が調達したものを誰と食べるか/四 食べ物に執着することは下品という言説/五 「さかな」と「くだもの」/おわりに
描かれざる楼―『源氏物語』が沈黙する言葉― 相馬知奈
はじめに/一 楼の構造/二 高層建築の先駆け―祭祀儀礼の場/三 権力の象徴―神仙世界の具現化/四 描かれざる楼―楼から「二階」へ
皇后定子と桐壺更衣―辞世に見る準拠― 山本淳子
はじめに/一の一 「別れ路」と「別るる道」/一の二 二語の出現頻度と使用状況/一の三 「別れ路」と「別るる道」の置き換え可能性/二 定子の遺詠とその遺し方/三 定子の古典化
『源氏物語』「雪まろばし」の場面、野分巻や蹴鞠の折の垣間見に共通するもの
―繰り返される『枕草子』「野分のまたの日こそ」の構図― スエナガエウニセ
はじめに/一 「雪まろばし」の場面における『枕草子』の影響/二 『枕草子』一九〇段「野分のまたの日こそ」と「雪まろばし」の場面の共通点/三 野分巻に繰り返される『枕草子』「野分型の構図」/四 蹴鞠の折の垣間見に見られる「野分型の構図」/おわりにかえて
『源氏物語』絵合巻から『狭衣物語』へ―タナトス突出への回路を求めて― 鈴木泰恵
一 狭衣と光源氏/二 光源氏の不安と狭衣の不安/三 罪の在処―『源氏』の場合/四 罪の在処―『狭衣』の場合/五 タナトス突出への回路
Ⅳ 源氏享受の諸相
国宝「源氏物語絵巻」柏木グループにおける登場人物の言葉 木谷眞理子
はじめに/一 柏木(一)段の詞書を読む/二 相手の表情を見て話しているか/三 柏木(一)段の絵は何を描いているか/四 柏木グループは登場人物の言葉を描いているのか/おわりに
葵巻の言説と能《葵上》の方法―存在と不在のキアスム、分裂の舞台的表象― 斉藤昭子
はじめに/一 存在と不在のキアスム―物語言説と現在能《葵上》の特殊な関係/二 「時めく東宮妃」としての造型と物語の暗黙知(3段~5段)/三 分裂した内面の表象―シテとツレの掛け合いの意味(6段前半)/四 「枕之段」―内面の劇、表れる葛藤(6段後半)/五 六条御息所「ではないもの」、人々のイノリ―後場の成仏(9段)/おわりに
能〈朝顔〉の構想をめぐって 倉持長子
はじめに/一 〈朝顔〉の構想① ―一条大宮仏心寺をめぐって/二 〈朝顔〉の構想② ―正徹『草根集』の一首をめぐって/三 〈朝顔〉と『源氏物語』/おわりに
謡曲「野宮」、六条御息所の伝えるもの 原岡文子
はじめに/一 「辛きものには さすがに思ひ果てたまはず」をめぐって/二 忘れえぬ愛執の時間へ/三 「葵上」「車」「火宅止め」をめぐって/「おわりに」に代えて―謡曲「野宮」、六条御息所の伝えるもの―
『源氏鬢鏡』への一視点―発句をめぐって― 久富木原玲
はじめに/一 先行研究について/二 『源氏鬢鏡』の発句について/三 なぜ発句を付けたのか
江戸中期の源氏物語注釈書・土肥経平『花鳥芳囀』について
―明治大学日本古代学研究所所蔵本の紹介とその位置づけから― 湯淺幸代
一 土肥経平『花鳥芳囀』/二 明治大学本『花鳥芳囀』と先行研究について/三 『花鳥芳囀』の特異性―和歌への注目―/四 土肥経平の生涯と研究/五 『花鳥芳囀』と『源氏物語聞録』
宝塚歌劇『あさきゆめみしⅡ』と『源氏物語』―文学と舞台と― 橋本ゆかり
はじめに/一 読むことと観ること/二 舞台構成と語りの視点/三 段差という空間構成による視覚表象/四 変更された台詞/五 「形代」だと気づいた紫の上と「陵王の舞」/おわりに
あとがき