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ロマ 「ジプシー」と呼ばないで

著:金子 マーティン

紙版

内容紹介

ナチスによる大量虐殺、戦後も続いた迫害・差別と貧困。あたりまえの人権を求めて立ち上がった、「ジプシー」の蔑称で呼ばれたロマ民族のほんとうの姿とは。世界各地に生きる著者と交流のあるロマ一人ひとりの人生に光を当てつつ、民族のルーツから近年のロマに対するヘイトスピーチ、ヘイトクライム頻発化による「再難民化」まで、その歴史的背景と現在の問題を追う入門書。偏見をのりこえ、レイシズム、歴史修正主義に抗するために。

目次

第1章 ロマ民族に対する根強い偏見とロマの立ち上がり
1 中世から現在までつづく偏見、子ども誘拐犯としての「ジプシー」
2 ロマとの出会いを探し求めて
3 ぞくぞくと結成されたロマ組織とその法的成果

第2章 わたしの先生や友人であるロマの履歴と思い出
1 チャイヤ・シュトイカー:ナチ強制収容所の体験を語りつづけたロムニ
2 ハリ・シュトイカー:「悪の代名詞」を拒否するジャズ・ギタリスト
3 イリア・ヨヴァノヴィッチ:永遠によそ者と見なされない世界へ引っ越した詩人
4 ミショ・ニコリッチ:ロマの生活を赤裸々に描いた「放浪者」
5 ギッタ・マーテル:決してくじけないスィンティツァ
6 ロマニ・ローゼ:あたりまえの人権を求めて闘うロマのリーダー
7 ロナルド・リー:『ロマニ語辞典』を編纂したカナダ生まれのロム
8 イヴォンヌ・スリー:オーストラリアへ移住した誇り高きスィンティツァ
9 ムアレム・アブディ:ロマの子どもの教育支援に奔走する若きロム
10 エルナ・ラウエンブルガー(ウンク):ホロコーストの犠牲となった児童文学の主人公

第3章 ドイツ敗戦後のロマ民族
1 ロマ・ホロコーストの責任者たちは敗戦後どうなったか
2 ロマ民族の戦後補償
3 戦後も継続した「ジプシー特別把握」と「ジプシー特別法」
4 ロマ民族の生活実態――ドイツ連邦共和国を中心に

第4章 「反ジプシー主義」の台頭とロマの難民化
1 EU圏内で強まる「反ジプシー主義」
2 ロマ民族大量移住の第3波

第5章 ホロコーストの歴史を繰り返さないために
1 「歴史修正主義」勢力が唱えるインチキを見抜き、史実を知る
2 継続するロマ民族迫害の現実を知る

著者略歴

著:金子 マーティン
1949年イギリス・ブリストル市に生まれる。
83年オーストリア国籍を取得。78年ウィーン総合大学で哲学博士号を取得。91年から日本女子大学人間社会学部現代社会学科教員。
主な著書:『「ジプシー」と呼ばれた人々―東ヨーロッパ・ロマ民族の過去と現在』(共著、学文社)、『神戸・ユダヤ人難民1940-1941―「修正」される戦時下日本の猶太人対策』(みずのわ出版)、『「ジプシー収容所」の記憶―ロマ民族とホロコースト』(岩波書店)、『ジャーナリズムと歴史認識―ホロコーストをどう伝えるか』(共著、凱風社)ほか
主な日本語の訳書:アレクス・ウェディング著『エデとウンク 1930年ベルリンの物語』(訳・解題、影書房)、ロナルド・リー著『ロマ 生きている炎 少数民族の暮らしと言語』(訳、彩流社)、ミショ・ニコリッチ著『あるロマ家族の遍歴―生まれながらのさすらい人』(訳、現代書館)、ロマニ・ローゼ編『ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺―アウシュヴィッツ国立博物館常設展示カタログ日本語版』(訳・解放出版)、『スィンティ女性三代記(上・下)』(訳・編著、凱風社)ほか

ISBN:9784877144654
出版社:影書房
判型:4-6
ページ数:252ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2016年09月
発売日:2016年10月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH