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ソバとシジミチョウ

人-自然-生物の多様なつながり

著:宮下 直

紙版

内容紹介

生態学と生物多様性を専攻する著者は、フィールドワークで訪れた上伊那郡飯島町で、ミヤマシジミが群をなしてとぶ光景に驚嘆する。近くには白い花を一面に咲かせるソバ畑があった。本書は、人-自然-生物の相互依存的な関係がいかにして生じ、どんな問題に見舞われてきたかをわかりやすく綴ったエッセイ。

目次

はじめに
第1章 人と自然の歴史 生物としての「ヒト」から社会を創る「人」へ
「自分とは」の問から始めよう
ヒトという生物の一種
氷期のヒト、自然、メガファウナ
縄文期の人と森、草原
稲作がもたらした自然と社会
明治維新からの近代化の波
脱自然とアンダーユース
脱自然が人にもたらしたもの
衛生仮説とその発展
あらためて脱自然化の功罪を問う

第2章 里山の多様な生物 景観-生物-人間活動の相互作用について
親自然の暮らし
「生態系」とはなんだろう
里山という景観、モザイク性
米の生産力
里山の生物
モザイク性と鳥類
里山と野生動物
房総のシカ
シカはなぜ減らないのか?
里山の外来種
生息地のネットワーク
下総台地のジャノメチョウ
ネットワークの影
島のネコ問題と景観

第3章 ソバとシジミチョウ 共に生き活かされる「つながり」の不思議
記憶の場所での新たな出会い
ミヤマシジミとは何者?
ソバの実りとのコラボ
ミヤマシジミの生息地はどこに
ミヤマシジミの見つけ方
アリとの共生
寄生バエ
もう一つの寄生者センチュウ
最適な草刈りを探る
適切な管理の成果
生息地のネットワーク
河川の生息地
再導入の挑戦
偽穀物としてのソバ
ソバの花に来る昆虫たち
多様な昆虫の意味
畔の植物とソバの実り
景観モザイク性の意味
ソバとミヤマシジミ

第4章 人と自然のリアルな関係 人工資本で充満した世界からの脱却
小さな持続性に気づくこと
SDGsとハーマン・E・デイリー
自然と社会の関係図
「場」としての自然-生物-人

著者略歴

著:宮下 直
2016年から長野県上伊那郡飯島町でのミヤマシジミの棲息地の本格調査を開始し、町民や行政・関連団体との連携により保全のための研究活動が継続している。2023年1月には、NHKスペシャル「生きもの超・進化論」で紹介された。
自らも南信州飯田市の出身。1985年、東京大学大学院農学系研究科林学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻教授(農学博士)。生態学を専門分野とし、主な研究テーマは「生物多様性」。日本生態学会会長(2022-2024)、日本蜘蛛学会会長(2012-2017)。著書に『群集生態学』(共著、東京大学出版会2003)、『生物多様性と生態学』(共著、朝倉書店2012)、『となりの生物多様性』(工作舎2016)、『人と生態系のダイナミクス 1農地・草地の歴史と未来』(共著、朝倉書店2019)ほか多数。

ISBN:9784875025573
出版社:工作舎
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSAF