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縄文鼻曲がり仮面

異形をめぐる顔学 人の顔または表情の識別について・補遺

著:池田 進

紙版

内容紹介

 本書は著者による既刊『人の顔または表情の識別上・中・下』(関西大学出版部1987~2015)の研究内容に関連しながら、題材の特殊性のために取り上げなかった項目についての研究を補遺したものである。
 その項目は①縄文期の鼻曲がり型土製仮面②歌舞伎の隈取③京都市中心部の民家の小屋根に飾られている鍾馗像、の三題である。①では東北地方の古代遺跡から出土した5面の鼻曲がり型土製仮面の観察を手始めに、話題を顔の左右非対称に拡張してその人文的社会的効果を推論した。②は昭和初期に、歌舞伎の隈取の効果を当時の生理学と心理学の展開に結び付けて考察した名著があるのでそれを紹介し、さらにその現代的意義を発掘して、それを歌舞伎鑑賞の今日的価値に関係づけようとした試みである。③はとりわけ京都市中心部に多く分布して厄除けの効果を期待されている鍾馗の瓦人形の観察である。今回の探索で確定することができた400体におよぶ鍾馗像の全画像を総集して、将来の研究へ向けての展開を期待した。

目次

グラビア(1)木彫面
はしがき

1章 仮面
東北地方出土の縄文期土製仮面に見られる歪みの造形―はじめに
第Ⅰ節 鼻曲がり型土製仮面の5 つの事例の観察
第Ⅱ節 顔貌の歪みの形をめぐるいくつかの論説
第Ⅲ節 仮面様土製品の形状について
第Ⅳ節 仮面の役割あるいは仮面のはたらき:先史時代における仮面の機能
ふたたび、東北地方の土製仮面に見られる歪みの造形について―おわりに
関連する事例研究/図像リスト/参考文献

2章 隈
歌舞伎の隈取をめぐる視覚論的雑攷―はじめに
第Ⅰ節 小林 勝の著作『歌舞伎隈取概觀』とその周辺の諸問題
第Ⅱ節 小林論文に顕著な2つの視点
第Ⅲ節 演劇的場における隈取の効果:「隈取の正面性」と「荒事の演技」との相互連関のロジック
荒事の奇と理と美―おわりに
図像リスト/参考文献

3章 鍾馗たち
京都市中心域に見出される小鍾馗像全探索調査―はじめに
第Ⅰ節 調査の方法
第Ⅱ節 調査の結果1
第Ⅲ節 調査の結果2
さらなる探索へ―おわりに

謝辞
グラビア(2)鍾馗三態

著者略歴

著:池田 進
池田進(いけだ・すすむ)
1932年5月7日 京都市生まれ

【経歴】
1945年 京都市立日彰国民学校卒業
1948年 京都府立京都第五中学校卒業
1951年 京都市立西京高等学校卒業
1955年 京都大学文学部哲学科卒業
1960年 京都大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了
1961年 ㈱日本リサーチセンター入社
1964年 京都大学文学部助手
1967年 関西大学社会学部専任講師
1969年 同助教授
1974年 同教授
1995年 関西大学博士(社会学)
2003年 同大学定年退職 2006 年まで同非常勤講師 現在 関西大学名誉教授

その他
1985年 ㈳日本大学基準協会 各種委員会幹事・委員・委員長 ~ 1995 年まで
1995年 日本顔学会 副会長  ~ 2004 年まで
1996年 ㈳日本私立大学連盟 研修委員会委員  ~…

ISBN:9784873547497
出版社:関西大学出版部
判型:B5
ページ数:180ページ
価格:5100円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JMA