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パスカルと身体の生

著:山上浩嗣

紙版

内容紹介

パスカルの思索の中心にあるのは、人間の思考や知性の卓越性ではなく、つねに身体の影響をこうむる人間の精神、精神のはたらきを妨害する人間の身体である。身体は罪の源泉であり、真理の認識の障害であるが、他方でその身体の存在こそが、人間に罪の自覚を促し、真理への到達を希求させる。そうした希求を信と呼ぶならば、信はまさに身体という桎梏を必要とする。本書は、「愛」「習慣」「直感」「中間」「賭け」など、『パンセ』の中心主題をめぐるテクストの精読を通じて、パスカルのキリスト教弁証の試みにおける人間の身体、および身体をともなう人間の生の両義的な価値を明らかにする。

目次

はじめに

第一章 愛と邪欲
  1.神への愛
  2.邪欲
  3.自己愛
  4.他者への愛

第二章 習慣と信
  1.信仰の起源としての習慣—実践から信心へ
  2.信仰の障害としての習慣
  3.習慣の必要性

第三章 sentiment−直感、感覚、繊細さ
  1.宗教的直感
  2.自然的直感
  3.身体を起源とする「感覚」
  4.繊細の精神

第四章 「中間」の両義性
  1.「中間」の主題とその意味
  2.「人間の不均衡」の断章
  3.中間者のモラル

第五章 病と死
  1.パスカルの病気
  2.病の象徴的意味と身体の神学的価値
  3.死への態度とキリスト者の位置

第六章 人間の尊厳
  1.「思考」と「気晴らし」
  2.「気晴らし」の倒錯性
  3.死を考えること
  4.「賭け」
  5.来世を望むこと

第七章 無知
  1.正義の無知
  2.学問的真理の無知
  3.自己の運命に関する無知

おわりに

著者略歴

著:山上浩嗣
大阪大学大学院文学研究科准教授。1966年大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。パリ・ソルボンヌ大学にて文学博士号取得。
専門はパスカルを中心とするフランス近世文学・思想。

ISBN:9784872594775
出版社:大阪大学出版会
判型:A5
ページ数:334ページ
定価:6300円(本体)
発行年月日:2014年10月
発売日:2014年10月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DDF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1DDN