巻頭特集 棟方志功「板画」の極意
■志功の「装飾性」
版画を始めた最初期の作品から、モチーフや文字を模様のように表現する独自のスタイルを獲得していった時期の作品を紹介します。
■志功の「怪物性」
「民藝運動」の指導者・柳宗悦らに見出され、仏教という新たな画題を得た棟方は、さらにオリジナリティを加えることで、唯一無二の作品世界を生み出します。
■志功の「巨大性」
浮世絵の時代から、版画は手に取って楽しむ「卓上芸術」と考えられてきました。しかし棟方は、版木を何枚も組み合わせて摺り、額に複数の作品を入れたり、巻物のように繋げたりすることで、巨大な作品を制作しました。
■志功の「国際性」
これまでの版画には無かった特徴をもつ棟方の「板画」は、戦後、海外の国際展で受賞を重ね、やがて「世界のムナカタ」として世界中に知られるようになりました。
■志功の「意匠性」
棟方はデザイン感覚に優れ、書籍の挿絵や装幀の仕事も多くこなしました。その仕事は生涯に1,000点を超えると言われています。
■志功の「郷土愛」
棟方は生まれ故郷の青森に、生涯特別な愛着を持ち続けました。とりわけ晩年に青森を題材とした作品を多く制作しています。
特集総論
「棟方志功 登場」の背景 談・西山純子(千葉市美術館学芸員)
棟方志功 その人と「板画」 談・石井頼子(棟方志功研究者)
棟方志功 略年譜
特集関連展覧会
生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ/富山県美術館・青森県立美術館・東京国立近代美術館
生誕120年記念特別企画展 「二菩薩釈迦十大弟子」への道/南砺市立福光美術館
棟方志功を楽しめる美術館
棟方志功記念館(青森)/南砺市立福光美術館(富山)/青森県立美術館
版画家ヒストリー 上野 遒(木版)
上野 遒―人間像の表面と内面 文・松山龍雄(小誌編集主幹)
「版画アートコレクション」の作家 武田あずみ
武田あずみのシニカルな「日常劇場」考 文・坂爪厚生(銅版画家)
写真芸術の世界 「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容
瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄
とある写真史をつむぐ試み―新たな角度から「前衛」写真を見る 文・庄子真汀(千葉市美術館学芸員)
連載 フランス近代の傑作版画集
第3回 『レスタンプ・オリジナル』第5号/第6号 文・杉山菜穂子(三菱一号館美術館主任学芸員)
展覧会スポットライト
・芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル(三菱一号館美術館)
・生誕110年 木版画家 星襄一展―光を求めて― 文・熊谷めぐみ(新潟・星と森の詩美術館学芸員)
・アルフォンス・ミュシャ展 文・渋谷展子(八王子市夢美術館学芸員)
・スペインのイメージ 版画を通じて写し伝わるすがた(長崎県美術館)
・チェンマイ美術版画 C・A・Pスタジオ作品展(銀座・ギャラリー枝香庵)
・中林忠良 銅版画展―腐蝕の旅路・60年の軌跡(京都・ギャラリーヒルゲート)
展覧会レポート
・第47回 全国大学版画展を終えて 文・小笠原 正(長野・上田市立美術館学芸員 館長補佐)
木口木版画を作ろう 第4回 マスキング法 講師・栗田政裕(木版画家)
今すぐ買える版画の逸品 版画マーケットプライス2023年3月~5月版
版画展覧会スケジュール 2023年3月~5月版
公募展受賞作品/公募展募集要項
版画インフォメーション/読者プレゼント
HANGA GEIJUTSU English Summary