パリの街並みを愛した画家―荻須高徳のリトグラフ
荻須高徳(1901-1986)は、26歳で渡仏し、戦時中の数年を除き、84歳で亡くなるまでパリに暮らし、描き続けました。油彩作品で評価を手にした荻須は、晩年になってリトグラフの制作を開始します。リトグラフは油彩画のように絵の具を厚く塗り重ねることはできず、版の作成にあたって主題を少ない色数に置き換えなければなりません。その簡潔さをきわめた荻須のリトグラフは、豊かな色調に彩られ、人々を魅了してきました。本図録には、カラー・モノクロのリトグラフ作品114作品を収録。長い坂道や色鮮やかな店の外観など、荻須高徳が愛したパリのワンシーンが詰まっています。