圧迫療法を学ぶ人へ 弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター資格取得のためのテキスト
本書の前身である『弾力性ストッキング・コンダクター 静脈疾患患者さんへの適切なアドバイスのために』は,2000年12 月に刊行されました。その後,2002 年に日本静脈学会が弾性ストッキング・コンダクター認定制度を発足させたことに伴い,本書は同制度における講習会のテキストとして活用され,制度の進展や保険制度の改正に合わせて,内容の改訂が重ねられてきました。2019 年には大幅な改訂を加えた第2 版を発刊し,2020 年には「慢性静脈不全症による静脈性下肢潰瘍」の章を追加した増補版を出版しました。
今回,第3回目となる改訂にあたり,講習会および認定資格の名称変更に合わせて,書名を新たに『弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター 静脈疾患・リンパ浮腫における圧迫療法の基礎と臨床応用』とし,刊行の運びとなりました。新たな書籍ではありますが,四半世紀にわたる歴史を有し,圧迫療法の要点と必要な知識を,わかりやすく,かつコンパクトにまとめた専門書として位置づけられます。
本書は改訂のたびに内容を深化させてきましたが,「実用的でわかりやすい記載」「コンパクトで携帯しやすい教科書」という創刊以来の理念は一貫して変わりません。本書が,日本における圧迫療法のさらなる普及と発展に寄与することを,心より願っております。
<改訂点>
新たな臨床試験の成果や最新のガイドラインおよび推奨も積極的に反映し,図表も大幅に増補しています。
① 圧迫療法に関する内容の充実
静脈疾患・リンパ疾患の診断や一般的な治療法については,必要最小限の記載にとどめ,その分,圧迫療法に関する記述を各項目で充実させました。「第4章 各種圧迫装具とIPC を学ぶ」では,とくに弾性包帯,調節型圧迫装具,IPCの記載を大幅に増やしました。
②合併症とアドヒアランスについて新項目の追加
実臨床で圧迫療法の課題とされる合併症やアドヒアランスの問題に対処するため,新たに「第5章 圧迫療法の合併症とアドヒアランスの問題を学ぶ」を追加しました。
③ 圧迫療法に関する国内・海外のガイドラインの内容を解説
『静脈疾患における圧迫療法ガイドライン2025』(2025年1月刊行)を反映し,海外のガイドラインも含めた内容を「第6章 圧迫療法のガイドラインを学ぶ」としてまとめています。
④実用的な巻末資料の掲載
「圧迫療法関連の企業と製品情報」を巻末資料に再構成しました。インターネット環境の普及を踏まえ,最小限の記載とし,QRコードによる情報提供を取り入れています。加えて,圧迫療法に関連する保険請求等の資料も「参考資料」として掲載しています。
※弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター講習会(座学編Z)の受講には、お手持ちの第2版(増補版)を引き続きご利用いただけます。