季語になれなかった疱瘡
著:辻 敦敏
紙版
内容紹介
古来、疱瘡は、はしかと共に人びとを震撼させた死に至らしめる疫病であった。その流行の悲惨な有り様は、洋の東西を問わず多くの文芸作品の題材ともなっている。
江戸時代には、松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶を始め、蕉門の人々により疱瘡とそれにまつわる句が詠まれている。しかし現在、植疱瘡、疱瘡痕、はしかは季語として残っているが、疱瘡は季語ではない。
疱瘡という病と、その病と人類の闘いを、多くの資料を元に説明し、なぜ疱瘡は季語になれなかったかという疑問に迫る。
目次
日本史上の疱瘡とはしか
疱瘡の初めての記載と名称の推移
疱瘡は何処から来たのか
わが国の疱瘡の疫史
地方における疱瘡の流行
疱瘡の正体
医学的見地からみた疱瘡とジェンナーの業績
微生物とは
ポックスウイルス科
ウイルスは何処から来たのか
疱瘡とはしかの鑑別
疱瘡予防の歴史
エドワード・ジェンナーの業績
明治・大正・昭和時代の種痘、植疱瘡
ゲノム時代の疱瘡ウイルスと疱瘡ワクチン
疱瘡と文芸作品
文芸作品に書かれた疱瘡
疱瘡の句
疱瘡神の句
疱瘡とはしかの句
はしかの句
季語というもの
まとめ