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知的障害・自閉の人たちと「かかわり」の社会学

多摩とたこの木クラブを研究する

著:三井さよ

紙版

内容紹介

ただ異なる存在を歓待せよというだけではどうにもならないことがある……

解など見つからない中でひたすら「かかわりの捉えかえし」を繰り返す日々、その先に何が見えるのか…
多摩とたこの木クラブ、その40年をこえるストーリー、そして自らの15年におよぶ「かかわり」の中から、
「他者」とともにあるということ「ともに生きる」ということ、その困難とそれでもの希望を根源から問いかける。

目次

やや長いまえがき

第1章 やりとりを重ねながら
1 何を目指し、何をなしてきたのか
2 たこの木クラブと多摩地域の「ともに生きる」運動
3 やりとりとして捉えかえす
4 「ともに生きる」試みの内実へ

第2章 就学運動は何を問うていたか
1 多摩の支援ネットワークの出発点
2 養護学校義務化と就学運動
3 発達保障論と共生教育論の論争
4 学校をどう捉えるか――エンパワメントか再生産か
5 サブシステムの生成と、その批判と
6 その後の展開
7 排除に抗するとはどういうことか
8 排除への別様の抵抗を求めて

第3章 自立生活の始まりと展開
1 子どもから大人へ
2 知的障害や自閉の人の自立生活と支援――身体障害との違い
3 「情報」「伝達」「理解」のズレ
4 「生活をまわす」
5 「生活を拡げる」
6 地域とのコンフリクトに向き合う
7 生活や日常の意識化と「待ったなし」

第4章 やりとりを通して折り合いを探る
1 支援会議では何がなされているのか
2 「人」とみなしたとしても
3 ダブル・コンティンジェンシーのかかわりと幅を拡げる
4 目に見える「人格」や意思のむこうがわ
5 捉えかえす訓練と経験知の生成
6 やりとりに引き戻す
7 「最終ライン」の存在があってこそ
8 「ともに生きる」試みの軌跡

第5章 生活モデルの時代に
1 生活モデルへの転換
2 専門家だけでなく――支援者像の豊饒化
3 システム化しきらない制度設計
4 「ともに」ある場づくり
5 制度のありようと社会のありようと

第6章 それでも「社会」であり続ける
1 「暴力」をどう考えるか
2 「わからない」人たちの排除
3 「暴力」は偏在する
4 「社会」であり続けることなら
4 「ともに生きる」とはどういうことか
5 おわりに――引き継がれるものは何か

補遺 「調査」の概要

あとがき

文献

著者略歴

著:三井さよ
三井さよ(みつい・さよ)
1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了(博士(社会学))。法政大学社会学部教員。
著書に『ケアと支援と「社会」の発見――個のむこうにあるもの』(生活書院、2021年)、『はじめてのケア論』(有斐閣、2018年)、『看護とケア――心揺り動かされる仕事とは』(角川学芸出版、2010年)、『ケアの社会学――臨床現場との対話』(勁草書房、2004年)など。編著書に『支援のてまえで――たこの木クラブと多摩の四〇年』(児玉雄大と共編、生活書院、2020年)『ケアのリアリティ――境界を問いなおす』(鈴木智之と共編、法政大学出版局、2012年)、『〈支援〉の社会学――現場に向き合う思考』(崎山治男・伊藤智樹・佐藤恵と共編、青弓社、2008年)、『ケアとサポートの社会学』(鈴木智之と共編、法政大学出版局、2007年)など。雑誌『支援』の編集委員。

ISBN:9784865001587
出版社:生活書院
判型:B6
ページ数:472ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS