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ホモ・サピエンスと旧人

ホモ・サピエンスと旧人 2

考古学からみた学習

編:西秋 良宏

紙版

内容紹介

 2013年に刊行された『ホモ・サピエンスと旧人—旧石器考古学から見た交替劇』の続編。
本書では旧人の中でもネアンデルタール人に焦点をあて、ホモ・サピエンスとの間でおきた交代劇の二つ目の原因を追求する取り組みの一端を報告する。このプロジェクトでは作業仮説として、学習能力、学習行動の違いを原因の候補としてかかげ、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの学習について考古学を中心とした各種の証拠を点検する。
 第1部では両集団の学習がどのように違うのかを検討する際、遺跡や遺物という点でどんな証拠が利用できるのかを提示する。旧石器時代遺跡で最も普遍的な遺物、すなわち石器は学習の産物そのものである。石器文化の中身や変化のパタンを調べることで当時の集団の学習の様態にアプローチすることができる。また、保存の良い遺跡では、そこで行われた個人レベルでの学習行動を具体的に復元できることもある。旧人と新人について、そのような事例を紹介、検討する。

目次

Ⅰ 学習の先史考古学
門脇誠二「初期ホモ・サピエンスの学習行動―アフリカと西アジアの考古記録に基づく考察―」
佐野勝宏「ヨーロッパ旧人遺跡にみる学習の証拠―石器製作における技量差と子どもの石器―」
オラフ・イェリス「ネアンデルタール人の利き腕と学習行動―ドイツ,ブーレン遺跡出土中期旧石器時代削器の分析より―」
高橋章司「翠鳥園遺跡と豊成叶林遺跡にみる新人の石器製作の学習行動」
Ⅱ 学習の民族考古学
西秋良宏「弓矢学習の民族考古学―パプア・ニューギニア狩猟採集社会にみる先史考古学的示唆―」
石井龍太「民族考古学からみた狩猟具の製作と学習―カメルーン南東部の槍調査成果から―」
金子守恵「土器の製作と学習への民族考古学的アプローチ―エチオピアにおける土器のかたちと動作連鎖―」
中園 聡「「交替劇」後のホモ・サピエンスと土器」
Ⅲ 認知,身体,学習
松本直子「認知考古学から見た新人・旧人の学習」
日暮泰男「ネアンデルタール人の運動能力は推定できるか?」
山内太郎「ヒトとネアンデルタールの生活史と学習」
西秋良宏「ネアンデルタール人の成長と学習―子供期仮説をめぐって―」
西秋良宏「旧人・新人の学習行動をめぐる諸問題―あとがきにかえて―」

著者略歴

編:西秋 良宏
東京大学総合研究博物館教授

ISBN:9784864450584
出版社:六一書房
判型:B5
ページ数:187ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2014年12月
発売日:2014年12月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSX