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ジャン・ルーシュ

映像人類学の越境者

編著:千葉 文夫
編著:金子 遊
他著:伊藤 俊治

紙版

内容紹介

想像の右眼、現実の左眼、複眼のシネアスト
シネマ・ヴェリテの創始者にして映像人類学の巨人、ジャン・ルーシュ。フランスとアフリカを往還しながら、フィクション、ドキュメンタリー、エスノロジーの枠を越え、撮影対象との「共有」のなかから作品を創り上げる手法はヌーヴェル・ヴァーグの潮流を生み出した。そのカメラは、ファインダーを通して想像と現実を融解させ、呪術や魔術、憑依儀礼に入り込むシネ・トランスとなる。
本書は、「カメラと人間」をはじめとした作家自身による代表的な著作の翻訳と、多彩な研究者、作家による論考、詳細な資料からジャン・ルーシュの広大な世界を探る。

目次

まえがき=金子遊
[Ⅰ]
1 シネ・トランスの彼方へ──ジャン・ルーシュの憑依儀礼映像を中心に=伊藤俊治
2 挑発と笑い──ジャン・ルーシュと仲間たち=港千尋
3 エスノフィクションの方法=金子遊

[Ⅱ]
4 銛とカメラ──『大河での闘い』をめぐって=佐久間寛
5 神々が息づく映画──ルーシュとアフリカ的自然=箭内匡
6 グリオールとレリスのあいだに──ドゴンの儀礼をめぐるルーシュの映像誌=千葉文夫
7 神々との終わりなきインプロヴィゼーション=川瀬慈

[Ⅲ]
8 交差する視線──ジャン・ルーシュとクリス・マルケル=東志保
9 未完のまま、どこかあるところに──ジャン・ルーシュの映画におけるパリを舞台とする出会いのポエジー=ガブリエラ・トゥルジーリョ[千葉文夫=訳]
10 「シネ・トランス」と生成変化──ジャン・ルーシュにおける客観的偶然と憑依の映画的作用=谷昌親

[Ⅳ]ジャン・ルーシュ著作
11 ジャン・ルーシュ──接触カメラを手にした人=アンドレア・パガニーニ[千葉文夫=訳]
12 他者と聖性──聖なる遊戯、政治的なる遊戯 [千葉文夫・柳沢史明=訳]
13 カメラと人間 [谷昌親=訳]
14 真と偽と [吉田隼人=訳]
15 人格の変化について──憑依者、魔術師、呪術師、映画作家、民族誌家における [吉田隼人=訳]

[Ⅴ]資料編
16 ジャン・ルーシュ インタヴュー[1988]──一九三七年、私はアンリ・ラングロワのシネマテークの最初の会員の一人でした [武田潔=聞き手・構成・訳]

 あとがき=千葉文夫
 ジャン・ルーシュ 著作&関連書籍
 ジャン・ルーシュ フィルモグラフィー&作品名索引
 執筆者紹介

著者略歴

編著:千葉 文夫
早稲田大学名誉教授。
著書に『ファントマ幻想──30年代パリのメディアと芸術家たち』(青土社、1998)、『ミシェル・レリスの肖像』(みすず書房、2019)、分担執筆に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社、2014)、『ストローブ゠ユイレ──シネマの絶対に向けて』(森話社、2018)、『文化解体の想像力──シュルレアリスムと人類学的思考の近代』(人文書院、2000)、訳書に『ミシェル・レリス日記』(1・2、みすず書房、2001–2002)、ミシェル・レリス『縫糸』(平凡社、2018)、ミシェル・シュネデール『グレン・グールド──孤独のアリア』(ちくま学芸文庫、1995)など。
編著:金子 遊
批評家、映像作家。多摩美術大学准教授。
『映像の境域──アートフィルム/ワールドシネマ』(森話社、2017)で、第39回サントリー学芸賞<芸術・文学部門>を受賞。ほかの著書に『辺境のフォークロア──ポスト・コロニアル時代の自然の思考』(河出書房新社、2015)、『ドキュメンタリー映画術』(論創社、2017)、『混血列島論──ポスト民俗学の試み』(フィルムアート社、2018)、『悦楽のクリティシズム──2010年代批評集成』(論創社、2019)など。編著書に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(共編、森話社、2014)、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(共編、森話社、2016)ほか。
他著:伊藤 俊治
美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。
著書に、『裸体の森へ──感情のイコノグラフィー』(筑摩書房、1985)、『20世紀写真史』(筑摩書房、1988)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社、1992)、『東京身体映像』(平凡社、1990)、『アメリカン・イメージ』(1990)、『バリ島芸術をつくった男──ヴァルター・シュピースの魔術的人生』(平凡社新書、2002)、『唐草抄──文様生命誌』(牛若丸、2005)など。

ISBN:9784864051422
出版社:森話社
判型:A5
ページ数:416ページ
価格:4300円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF