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ちょっと変わった校長式辞集 教育哲学者からのメッセージ

著:山内 紀幸

紙版

内容紹介

(「はじめに」より)
私自身、幼稚園から高校までこれまで何度も聞いてきた校長式辞。
大変失礼ながら、何も記憶に残っていない。いい話もあったかと思うが、形式的で退屈だったという記憶しかない。児童生徒にとっては当該学校での一生に一度の入学式・卒業式。校長にとっても、一年でもっとも保護者のビデオがまわり、スポットライトの当たる瞬間である。せっかくやるなら記憶に残るメッセージを子どもたちと保護者に贈りたいと考えるようになっていった。
そのために、ちょっと変わった校長式辞の方針を立てた。

ちょっと変わった校長式辞の方針
1 来賓への挨拶は一切やめる→入学式も卒業式も来賓のためにあるのではない。主人公のことだけを考える。
2 卒業式ではつらつらと学校生活の思い出を語らない→たいていは送辞・答辞で児童生徒が語ってくれる。
3 時候の挨拶をしない→桜がつぼみでも咲いていてもそんなものは本質的なことではない。
4 祝意の後、一つのテーマを冒頭からストレートに語る→時短のため。
5 8~10分を目安にする→いい話も長いと嫌がられる。経験上。
6 覚えてほしいキーワードを繰り返す→とにかく子どもたちの記憶に残るように。
7 学術的知見(哲学・心理学他)に触れる→ただの説教にしないために。
8 学術的知見をわかりやすい言葉に替える→難しすぎては記憶に残らない。
1~7は比較的容易に実行できたが、いつも苦労したのは8であった。

目次

はじめに 
1聞く 小学校で賢くなるために 
2争い 『Dragon Night』より 
3幸福 アレクサンダー大王の逸話から 
4伝える 伝えることと伝わること 
5夢 のび太は素敵な少年 
6探求 ホーキング博士の言葉から 
7友達 アリストテレスの3つの友情 
8一流と二流 紙一重の心の持ち方 
9GRIT 「やりぬく力」とは 
10才能 「しなやかマインドセット」 
11 針路 風はすべて追い風 
12最初の一歩 石山次郎という男の生き方 
13 贈与 羽生選手と大谷選手の共通点 
14 感謝 アスリートはなぜその言葉を口にするのか 
15宿命 ショーペンハウワーに学ぶ 
16顔 レヴィナスの他者論 
17悔い 反省すれど後悔せず 
18存在肯定 「ええねん」とニーチェ 
19悪 ハンナ・アーレントの抵抗 
20笑い 笑い方に表れる人間性 
おわりに 奥付

著者略歴

著:山内 紀幸
1972年生まれ。1999年、広島大学大学院教育学研究科博士課程後期単位取得退学。現在、神戸女子大学文学部教授、東京大学大学院教育学研究科兼任講師。博士(教育学)。専攻は教育学(教育哲学、教育課程論)。これまで、山梨学院小学校校長・校長補佐、山梨学院中学校校長、山梨学院高等学校校長を歴任。この他、教育思想史学会理事、教育哲学会編集委員会常任編集委員など務める。主な書作に、『教育思想事典 増補改訂版』(共著)勁草書房、2017年/『大正新教育の思想』(共著)東信堂、2015年/『現代教育の争点・論点』(共著)一藝社、2015年/『教育課程論』(編著)一藝社、2013年/『学びを支える活動へ:存在論の深みから』(共著)東信堂、2010年/『グローバルな学びへ:協同と刷新の教育』(共著)東信堂、2008年など

ISBN:9784863592377
出版社:一藝社
判型:A5
ページ数:130ページ
定価:1750円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JND