出版書誌データベース

日本の精神科医療の現場で生まれ，丹念に練り上げられてきた認知症ケアメソッドであるカンフォータブル・ケア。その構成は次の10項目。1．常に笑顔で対応する，2．常に敬語を使う，3．相手と目線を合わせる，4．相手にやさしく触れる，5．相手をほめる，6．こちらから謝る態度をみせる，7．不快なことは素早く終わらせる，8．演じる要素をもつ，9．気持ちに余裕をもつ，10．相手に関心を向ける。このシンプルな10項目を認知症ケアに取り入れることで，周辺症状が軽減し，それにともなってスタッフの負担が大きく減るなど，現場に多大な変革が起こります。また本書では認知症の方がイキイキ元気に日々を過ごすことを後押しするアクティビティ・ケアについても詳述。これからもイキイキ認知症介護に従事していきたいあなたへ，レッツ・カンフォータブル・ケア！

本書を手にとっていただいたみなさまへ
　認知症を取り巻く諸問題―わが国における認知症問題の歴史を振り返る
　介護を取り巻く行政上の問題
　介護現場の問題

第1章　認知症を正しく知ろう
　認知症ってどんな病気？
　認知症を知るために脳機能についても把握しよう
　この章のおわりに

深掘り1　家族へのケアを深掘り
　カンフォータブル・ケアと家族支援
　認知症家族の心理には5つの段階がある
　家族の感情表出の特徴
　認知症の方の介護をされているご家族へのメッセージ

第2章　カンフォータブル・ケア
　どうして認知症の方に快刺激が有効なのでしょうか?
　快刺激・不快刺激の意味は脳機能からみるとよくわかる
　これがカンフォータブル・ケアの10個の技術だ
　五感のもつそれぞれの機能
　常に笑顔で対応する
　常に敬語を使う
　相手と目線を合わせる
　相手にやさしく触れる
　相手をほめる
　こちらから謝る態度を見せる
　演じる要素をもつ
　相手に関心を向ける
　カンフォータブル・ケアの成果とは

深掘り2　管理者の役割を深掘り
　「型」ではあるがマニュアルではない
　「天然素材」的な人から学ぶ
　管理者の役割とは

第3章　アクティビティ・ケア
　不活性に効くアクティビティ・ケア
　レクリエーションを用いたアクティビティ・ケア
　日常生活介護をアクティビティ・ケアの視点から見直す
　食事のアクティビティ・ケア
　排泄のアクティビティ・ケア
　入浴のアクティビティ・ケア
　移動のアクティビティ・ケア
　コミュニケーションのアクティビティ・ケア
　アクティビティ・ケアを用いたコミュニケーションのポイント

深掘り3　食事と排泄―食べて出すことを深掘り
　「食べて出すこと」考えてみよう
　排便コントロールの誤り
　「強制的に出す」から「自然に出る」ケアへの見直し
　排便できる環境を整える
　食べることをよりよく支えるヒント
　脳機能と腸の関係

第4章　介護と虐待
　高齢者虐待防止法をご存じでしょうか
　虐待とはどのような行為でしょうか
　「誰かが見ている」という認識を
　介護施設で虐待が起こりやすい要因
　虐待の種に気をつけよう
　虐待についてすべての介護者に私からメッセージ

深掘り4　ケアの拒否を深掘り
　認知症ケアにおいて拒否は「起こるもの」と考える
　ミスケアは焦りか生まれる

人とかかわるお仕事をする仲間として―おわりにかえて

著：南　敦司
南 敦司　　Atsushi Minami
1997（平成9）年，看護師免許取得。
一般財団法人仁明会病院（兵庫県西宮市）で精神科看護を研鑽する。
2008（平成20）年より認知症病棟師長として認知症看護の専門性と質の向上に取り組む。
2014（平成26）年，医療法人北仁会旭山病院（北海道札幌市）の認知症病棟師長に就任。
現在は，病院のみならず介護施設や地域において，カンフォータブル・ケアの普及を中心に認知症ケアの質の向上に寄与する活動を展開中。