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イギリス法史入門 第5版 第Ⅰ部 〔総論〕

著:サー・ジョン・ベイカー
訳:深尾 裕造

紙版

内容紹介

私法史中心であった従来の法史教科書の枠組を維持しつつ、マグナ・カルタ800周年記念を通して活性化した憲制史研究とクック手稿の編纂の成果を基礎に公法史分野へと大きく拡充。

目次

第5版序文/第4版日本語訳への序文/訳者はしがき/邦訳のための凡例/略語表
1 1066年以前の法と慣習
 共同体的裁判
  訴訟手続と証明方法/古きイングランドの集会
 共同体的権威から人格的権威へ
 読書推奨文献
2 イングランドのコモン・ロー
 地方国王裁判官と巡回国王裁判官
  裁判委任状
 中央国王裁判官
  両中央裁判所/ナイサイ・プライアス令状とアサイズ巡回陪審裁判制度
 地方裁判への影響
  地方レヴェルでの治安維持/地方民事裁判
 コモン・ロー外の司法
  慣習/仲裁
 イングランドのコモン・ローが及ぶ範囲
  海洋/ノルマン法と海峡諸島/ウェールズとコモン・ロー/アイルランドとコモン・ロー/スコットランド法
 読書推奨文献
3 コモン・ロー上位裁判所
 マグナ・カルタと民間訴訟
  中世王座裁判所の変化する役割/挑戦をうけるコモン・ロー裁判所
 王座裁判所の復活
  訴状手続/王座裁判所における実体法上の改革/民訴裁判所による反動
 財務府訴訟部
 裁判所の統一と廃止
 読書推奨文献
4 訴訟方式
 訴訟を開始すること
 訴訟開始令状の諸類型
  下知令状/不正の告発/トレスパス〔侵害訴訟〕令状/特殊主張侵害訴訟
 裁判所令状
  中間手続令状/終局手続令状
 訴訟方式の終焉
 読書推奨文献
 表A 訴訟開始令状の主要な型
5 陪審と訴答
 「証明Proof」から「審理Trial」へ
  陪審の勃興/陪審審理
 中世の訴答と法律問題の議論
  争点に達する/口頭の「試行的Tentative」訴答/裁判官、陪審、そして中世法学の発展
 法制度の変容
  中央大法廷での異議申立
 コモン・ロー制度の衰退
  ラテン語と法廷書体/二重訴答/全面的否認訴答と特別棄却訴答
 コモン・ロー制度の終焉
  変化する裁判所の役割
 読書推奨文献
6 大法官裁判所とエクイティ
 大法官府
  國璽/大法官府書記/ラテン語部門/英語部門/コモン・ローの弊害/初期の大法官裁判所訴訟手続/1400–1600年の大法官裁判所の業務
 コモン・ローとエクイティ
  大法官裁判所とコモン・ロー裁判所/ルールに従うエクイティ
 大法官裁判所の弊害
 改革と廃止
 読書推奨文献
7 評議会系裁判所
 星室裁判所
 請願裁判所
 地方評議会とエクイティ裁判所
 海軍裁判所と陸軍裁判所
  軍察長官及び軍務伯裁判所/海事高等裁判所
 読書推奨文献
8 教会裁判所
 教会法とコモン・ロー
 ローマ教会との断絶の影響
 19世紀改革
 読書推奨文献
9 司法審査制度
 誤審令状
  誤審法廷
 上訴制度の発展
  法律問題に関する司法部への相談/枢密院/大法官裁判所での再審/控訴院と貴族院
 大権令状
  禁止令状/権原開示令状/身柄提出令状/職務執行令状/移送令状/権利確認と司法審査申請
 行政法
 読書推奨文献
10 法律専門職
 専門裁判官団と専門弁護士団の起源
  サージャント・アット・ロー/アプレンティス・アット・ロー/法曹の宿舎
 新たな法律専門職
  サージャント身分の衰退/勅選法廷弁護士
 裁判官
 ローマ法法廷弁護士
 大学法学教育
 読書推奨文献
11 法学文献
 『グランヴィル』と『ブラクトン』
 法律文例集
 判例報告集
  法廷年報/後期法廷年報/印刷術の出現/人名付判例集/法要録
 法学論文
  ルネサンス期/サー・エドワード・クック/サー・マスュー・ヘイル/サー・ウィリアム・ブラックストン/ブラックストンからメイトランドへ
 読書推奨文献
12 法創造
 コモン・ロー
  判例法と先例/法的擬制
 エクイティと法の変化
 立法
  判決としての議会制定法/制定法と裁判所/従位立法
 法改革運動
  内戦と空位期/19世紀/法典化
 読書推奨文献
付録Ⅰ 令状 見本(翻訳)
 訴訟開始令状
  A:「直接下知[朕は汝に命ず]PRAECIPIMUS TIBI」方式令状
  B:「間接下知 PRAECIPE」方式令状
  C:(小)アサイズ訴訟令状
  D:「理由開示」方式令状
 裁判所令状
 大権令状
 召喚令状(1832年)
付録Ⅱ 訴訟記録登録 見本(翻訳)
 〔トレスパス〕侵害訴訟
  ベルハウス対クレヴァリング(1341年)
 未決囚釈放裁判訴訟手続
  ノリッジ市における王座裁判所監獄未決囚釈放裁判(1342年)
制定法索引/判例索引/イングランド国王在位表(1066年以降)/原語索引

著者略歴

著:サー・ジョン・ベイカー
ケンブリッジ大学ダウニング英法講座名誉教授、聖キャサリン学寮名誉会員、グレイズ・イン、インナ・テンプル法曹院のバリスタ兼名誉評議員
勅選法廷弁護士、両法博士で英国学士院会員
訳:深尾 裕造
1949年大阪府に生まれる
1978年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学
1995年島根大学法文学部教授
1999年関西学院大学法学部教授
2018年同退職
現在関西学院大学島国と海洋文化研究センター 客員研究員
主要著作『イングランド法学の形成と展開─コモン・ロー法学史試論』(関西学院大学出版会、2017)、『マグナ・カルタの800年─マグナ・カルタ神話論を越えて』(関西学院大学出版会、2019)、「19世紀後半イングランド法曹養成制度の展開とその帰結─セルボーン卿総合法科学校設立法案に関連して」『法と政治』55(2004)、「G・ジェイコブとイギリス法学史の二つの流れ─『各人が自分自身の弁護士』の成立をめぐって」中村浩爾・桐山孝信・山本健慈編『社会変革と社会科学─時代と対峙する思想と実践』(昭和堂、2017)所収、「独占事件(1602)─その文脈を解きほぐす」『法と政治』69(2018)、「『愛の日』の行方─『権利のための闘争』を如何に読むか」『法と政治』71(2020)等

ISBN:9784862833709
出版社:関西学院大学出版会
判型:A5
ページ数:624ページ
定価:9600円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LAZ