第一部 総論──基本権ドグマーティクの展開
第1章 基本法下のドイツ国法学における基本権ドグマーティクの展開
A.70年間の基本権の展開にかかる物語と仮説
Ⅰ.始まりの物語
Ⅱ.国法学における思考方法・作業方法に対する評価
Ⅲ.本稿のアプローチ
B.基本権の展開の諸要素
Ⅰ.基本法下の基本権理解の成立
Ⅱ.基本権をめぐる相対立する立場の形成
Ⅲ.基本権ドグマーティクの理論体系の構築
Ⅳ.平等の考え方における変容
Ⅴ.ヨーロッパ法圏における基本権
C.回顧
第2章 基本権の構造と理解──基本権留保というドグマーティク上の道具立てへの入門も兼ねて
A.概略
B.自由権の諸要素と構造
Ⅰ.基本権の保障
Ⅱ.基本権留保
C.立法者に対する基本権拘束と保障に特有の基準
第3章 基本権の内容形成──基本権の内容形成のドグマーティクの基礎と基本的特質:特に契約自由を考慮して
A.はじめに
B.基本権の内容形成という現象
Ⅰ.基本権理論
Ⅱ.基本権解釈
Ⅲ.基本権作用
Ⅳ.基本権の保障
C.基本権の内容形成の基本的特質
Ⅰ.適用領域
Ⅱ.基本権の内容形成を行う国家権力に対する憲法上の拘束
D.結論
第二部 各論──法創造と活動の諸形式──
第1章 比例原則──法における法内在的イノベーションの実例
A.テーマへの導入と構想上の基本理解
Ⅰ.概念および発現形態
Ⅱ.収斂と拡大(拡散)
B.法における法内在的イノベーションとしての比例性原理
Ⅰ.立法者の基本権拘束という難題と比例性原理の端緒
Ⅱ.イノベーティブな基準形成
Ⅲ.運用可能な枠組の探究
Ⅳ.定着
第2章 一貫した立法の義務──州営の宝くじからの民間業者による仲介の排除とその連邦憲法裁判所による審査を例として
A. 民主的な立憲国家における合理的な立法
Ⅰ.伝統的に抑制されてきた合理性の審査
Ⅱ.合理性の審査の根本的な変化
B.民間業者による州営宝くじの仲介に関する法
Ⅰ.法の枠組みの内容と改正
Ⅱ.仲介の禁止に対する憲法裁判所の判断
C.憲法上の一貫性の要請
Ⅰ.「体系に適合した」法律を定める義務の伝統的な拒否
Ⅱ.憲法上の一貫性の要請の新たな方向付けと発展
Ⅲ.憲法上の基礎
Ⅳ.憲法上の一貫性の要請の輪郭付与
D.一貫性の義務と仲介の禁止
Ⅰ.賭博に関する州際協定の基本決定の一貫性を欠く実施
Ⅱ.販路の比較
Ⅲ.比例性を欠くインターネット上の仲介の禁止
E.憲法裁判所の審査の錯綜
第3章 専門裁判所の裁判官の法創造に対する憲法的限界
A.問題設定の複雑性
Ⅰ.裁判官の法創造という現象
Ⅱ.裁判官の法創造に対する正統化の必要と様々な正統化の源泉
B.構想の基礎
C.裁判官の法創造に対する憲法的拘束
D.専門裁判所の裁判官の法的営みに対する法律の根拠の必要性
Ⅰ.法律の留保を通じた裁判の拘束
Ⅱ.裁判権の正統化
E.おわりに
第4章 対公衆情報提供──保障国家の行動様式の発現形態と諸機能、その憲法上の枠組み
A.導入
B.対公衆情報提供の概念
C.情報提供による制御
Ⅰ.情報提供の性質
Ⅱ.国家による情報提供活動の効果と目標
Ⅲ.情報提供活動による制御の非精密性
Ⅳ.対公衆情報提供の不可欠性
D.国家による対公衆情報提供に関する憲法上の枠組み
Ⅰ.連邦国家の権限秩序における対公衆情報提供
Ⅱ.対公衆情報提供の防御権による手懐け
Ⅲ.対公衆情報提供に関する連邦憲法裁判所の新判例9
Ⅳ.対公衆情報提供の法についてなされた憲法ドグマーティクに基づく再調律の帰結
E.ヨーロッパ共同体法と加盟国における対公衆情報提供
F.行政の行為形式としての対公衆情報提供
第5章 資本市場の規整──規整行政法の構想とドグマーティクに関する一考察
A.はじめに
Ⅰ.本章の問題関心
Ⅱ.規整の概念
B.資本市場法の基本的枠組み
Ⅰ.資本市場法の対象と資本市場の特殊性
Ⅱ.資本市場法の指導理念
Ⅲ.資本市場法の拘束力を持つ目標
Ⅳ.資本市場法の構造的特徴
C.資本市場の規整の礎石
Ⅰ.統制秩序
Ⅱ.開示・説明秩序
Ⅲ.規整行政法の基本型としての資本市場の規整
D.展望:資本市場の規整の指導原理としての信頼
第6章 民間法という法の探究
A.民間法という現象への接近
Ⅰ.民間のルールとひな型の現象形式と特徴
Ⅱ.民間法とその諸機能
Ⅲ.挑戦
B.民主的な立憲国家における民間法
C.民間法の正統性 357
Ⅰ.正統性の問題と諸戦略
Ⅱ.正統化のジレンマ
D.民間法に関する研究の議論状況
解題──全体への解題(柴田尭史)
解題──基本権解釈論の観点から(毛利透)
解題──憲法原理・統治機構論の観点から(柴田尭史・高田篤)