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北東北・北海道で出土する古代須恵器のうち、陸奥国江刺郡に開窯された100基を越える瀬谷子窯跡群では、9世紀中葉以降、壺甕類に特化した大量生産を開始する。この事象は前代の横手盆地の窯跡群に通じ、後続の五所川原窯にも引き継がれる。いったい、この現象は何を語っているのか！　須恵器の実態（未報告の瀬谷子窯跡の土器実測図を含む図版180点以上）から謎多き北東北・北海道の古代史に迫る。

はじめに（八重樫忠郎）

　　Ⅰ　討論　古代蝦夷と須恵器
　参加者：佐藤敏幸（東北学院大学博物館）／八重樫忠郎（世界遺産ガイダンスセンター）
　堀　裕（東北大学）／ 及川真紀・高橋千晶（奥州市教育委員会）
　　Ⅱ　陸奥北部
古代江刺郡瀬谷子窯跡群…………及川真紀・高橋千晶（奥州市教委）・佐藤良和（奥州市埋文）
古代和我郡の須恵器生産…………君島武史（北上市教育委員会）
　　Ⅲ　出羽北部
秋田県の須恵器窯跡と器種組成…島田祐悦（横手市教育委員会）
横手市の須恵器窯跡………………藤原正大（横手市教育委員会）
　　Ⅳ　北東北・北海道
青森県東部平安時代須恵器の流通…宇部則保（八戸市教育委員会）
五所川原須恵器窯の動向と地域社会…岩井浩人（青山学院大学）
北海道の須恵器……………………鈴木琢也（北海道博物館）
須恵器は商品か……………………工藤清泰（東北中世考古学会）

あとがき（佐藤敏幸）

編：八重樫忠郎
八重樫忠郎（やえがし ただお）
1961年生まれ、平泉世界遺産ガイダンスセンター長
［主な著書］
『平泉の考古学』（高志書院）、『北のつわものの都 平泉』（新泉社）、『中世武士と土器』（編著・高志書院）

編：佐藤敏幸
佐藤敏幸（さとう としゆき）
1963年生まれ、東北学院大学博物館業務委託職員学芸員・同大文学部非常勤講師
［主な論文］
「東北地方における7～8世紀の東海産須恵器の流通」（『北杜―辻秀人先生還暦記念論集』）、「東北の城柵官衙と土器」（『奈良文化財研究所研究報告』第15冊）、「東北における古代城柵の造営過程」（『東北学院大学東北文化研究所紀要』第53号）