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雪の屋久島

他著:新井 靖雄
他著:山口 峯生
他著:清水 武司

紙版

内容紹介

■数千年の縄文樹叢、億万年の山と岩のすがた。南の島の山巓に雪が降りたち、見たこともない自然世界の実在が露わとなる。■山岳写真家・新井靖雄が15年にわたり、たった一人で挑んだ、厳寒の屋久島。■その荘厳の風光と形姿を、モノクロ写真/ダブルトーン印刷でみごとに定着させた写真集。
●山口峯生氏「序にかえて」より
「本写真集は、著者が時には過酷な自然環境に身を置いて自己をみつめ、五感を研ぎすまし、循環し変化する屋久島の自然との一体化を意識し、自然の光と影を巧みに活かした白黒写真特有の心にしみる幽玄な景観、 宇宙に広がる屋久島の自然を活写した作品で構成されており、著者が自然と真摯に向き合った証かつ結晶であり、屋久島の自然を愛し、敬う気持ちを象徴していると思います。」
●清水武司氏文より
「新井さんは、今まで発表されている屋久島の写真は屋久杉等で知られ標高でいうと低い半分が殆どで、九州以南で最高峰の山があり、頂上には雪も降り人を寄せ付けない厳冬期の屋久島の山々を撮影して発表したい、谷川岳や北アルプスで習得したロッククライミングや厳冬期の登山の経験を生かして雪の屋久島を定年後の仕事として撮影したいと話しました。十代からの付き合いで頑固で言い出したら曲げない性格を知っておりましたので出来る限りのお手伝いはすると話した事を記憶しております。」
「写真家全般に言えることですが、ここぞとおもう瞬間は我を忘れ被写体のみに集中してしまいます。新井さんはこの一瞬をとらえるべく十数年厳冬期の屋久島に通い続け命を懸けて撮影した事が、フィルムを通してひしひしと感じられました。その写真は、辛うじてプリントできるフィルムから今回発表されております。2百数十枚の写真の中から新井さんが写真集に掲載する作品を70点ほど厳選致しました。モノクロの階調を巧みなテクニックで表現したそれぞれの写真は驚嘆いたします。新井先輩が定年後の全てを掛けて撮影した雪の屋 久島が、世界遺産屋久島の新たな視点として評価されると信じております。」
●島尾伸三氏文より
「自然を実存と言い換えても良いとするなら、撮影者の意識が実存と真っ向から対峙するが故に、この写真集は南島の屋久島がいかに奇妙な自然を山頂部に戴いているかの知見を与えてくれるだけでなく、撮影者の目を借りて、この写真集を見るものの精神を代理体験を越えた形而上の時空へ彷徨わせます。」
「モノを見つめることが撮影者の第一義であるとするなら、対象が精神世界であろうと社会的風景であれ、たとえ大自然であっても、撮影後の画像の再加工やデフォルメ(変形や歪曲)を良しとしない、写真集『雪に屋久島』 のようなストレートフォトグラフィーなら尚更に、実存と対峙する強い精神力を必要とするはずです。撮影意図という欲望に歯向かうことなく応えてくれる対象であるならまだしも、空、海、山、川、野生する生物群などヒトの意思の及ばぬ実存は、撮影者がどう画策しようと、手に負えるものではなさそうだからです。それらはむしろ時空を超えてヒトを翻弄してきた地球上の実存そのものだからです。」

目次

〈表1〉雪の大岩壁・永田岳 〈表4〉エビのシッポ
〈文〉
序文にかえて 山口峯生(元秩父宮付宮務官・日本山岳会会員) 2-3
新井靖雄のネイチャーフォトについて 島尾伸三(写真家・写真評論) 5-6
新井靖雄さん 清水武司(埼玉県立近代美術館ファムス会長・秩父山岳連盟会長) 54-55
雪の屋久島 撮影あれこれ 新井靖雄 84-95
収録写真ノオト 新井靖雄 106-109
お世話になった方々 112

〈写真構成〉
 扉  1
1章 7-37
2章 39-53
3章 57-62
終章 97-105

著者略歴

他著:新井 靖雄
昭和21(1946)年11月1日、秩父生まれ。山岳写真家の清水武甲に師事する。山岳写真を撮り続け、『奥秩父の四季』(2002年刊)、『奥秩父・ダムで移転した人々』(2007年刊)などの写真集を刊行。現在、秩父山岳連盟副会長。
他著:山口 峯生
元秩父宮付宮務官・日本山岳会会員
他著:清水 武司
埼玉県立近代美術館ファムス会長・秩父山岳連盟会長

ISBN:9784862090829
出版社:言叢社
判型:A4変
ページ数:112ページ
価格:3800円(本体)
発行年月日:2020年11月
発売日:2020年11月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:AJC