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現代日本刀の生成

著:青木 啓将

紙版

内容紹介

現在、本格的「日本刀愛好者」「日本刀=刀剣女子」ブームのなか、若い研究者の存在感覚に注目したい。日本刀の「存在価値」は、その内部に立ち入った者にしか明かされない。美濃・関地域は、日本刀・伝統作刀の代表的な地域。この関の「刀の世界」に初めて立ち入り、長年にわたる体験的調査に基づいて、現代日本刀の製作過程、生産と流通、その価値と意味の生成、それらをめぐる社会関係を描きだした。早世した著者の、畢生の博士論文。

目次

〈主な目次〉
●序章 日本の鍛冶研究/文化人類学と「物質性」の問題系/「物質性」を手がかりとして/本論文の構成/5. 調査地および、調査方法とその概要
●1章・日本刀事始め日本刀とは /日本刀に歴史的に付与されてきた意味 /名刀とは
●2章・日本刀の受容の近現代史明治期から昭和初期/軍刀生産期の日本刀業界/戦後以降の日本刀業界
●3章・日本刀の生産と流通関地域の日本刀製作者たちと日本刀の流通体制 /2. 刀匠たちの担う製作過程/3. 研師の仕事
●4章・日本刀の鑑賞「勉強会」とは/「みのせき勉強会」/実際の入札鑑定/より上位の参加者になるために/刀の鑑賞における分類の作法
●5章・鑑賞美の規則「刀の出来」の優劣の判断において依拠される刀の物理的状態/見巧者たちの求める古刀の鑑賞美/個々人における見え方の相違
●6章・実用性に対する認識と「科学」との出会いより優れた実用性を備えた日本刀の作風/明治期以降の軍刀生産における刀の優れた実用性に関する見解/切れ味の定量化/刀の実用性と鑑賞美/刀の物理的な状態との連関
●7章・日本刀を想う刀に対する神聖視/個々に付与される刀に対する想い
●8章・日本刀を創る古名刀を再現するための製作技法の探求/新たな作風の開拓/日本刀の普及に向けて
●終章・結論と今後の課題「刀の世界」のウチとソト/物質性を捉えるために/物質性から感性へ●資料編
あとがき(佐々木重洋)・青木啓将さんのこと(余語琢磨)・謝辞(青木栄兒)

著者略歴

著:青木 啓将
1979年岐阜生まれ。名古屋大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程後期課程満期退学をへて、名古屋大学大学院文学研究科博士研究員。早稲田大学人間科学学術院助手。早稲田大学、自治医科大学、和洋女子大学、埼玉大学、上尾中央看護専門学校、さいたま看護専門学校などで非常勤講師を勤める。2017年逝去(享年三八歳)。

ISBN:9784862090737
出版社:言叢社
判型:A5
ページ数:456ページ
定価:6400円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AFT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:AKP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:WFP