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科学の女性差別とたたかう

脳科学から人類の進化史まで

著:アンジェラ・サイニー
訳:東郷えりか

紙版

内容紹介

「“女脳”は論理的ではなく感情的」「子育ては母親の仕事」「人類の繁栄は男のおかげ」……。科学の世界においても、女性に対する偏見は歴史的に根強く存在してきた。こうした既成概念に、気鋭の科学ジャーナリストが真っ向から挑む!神経科学、心理学、医学、人類学、進化生物学などのさまざまな分野を駆け巡り、19世紀から現代までの科学史や最新の研究成果を徹底検証し、まったく新しい女性像を明らかにする。自由で平等な社会を目指すための、新時代の科学ルポルタージュ。「自分の脳や体、お互いの関係についての私たちの考え方は、科学者によってまとめあげられたものだ。そしてもちろん、私たちは科学者が客観的な事実を与えてくれるのだと信用している。科学者が提供するのは偏見にとらわれない話なのだと信じている[……]。だが、こと女性に関しては、この物語のじつに多くが間違っているのだ」(本書「まえがき」より)

目次

【内容目次】まえがき1 男と比べての女の劣等性「地球上の生命の歴史が、雌の重要性を語る証拠の連鎖を途切れることなく示しているのは、私には明らかに思われた」/「妊娠中の雌馬の尿からの金探し」2 女性は病気になりやすいが、男性のほうが早く死ぬ「ほぼどの年齢においても、女性は男性に比べて生存能力が高いと思われる」/「男女いずれかを研究するほうが、はるかに安上がりだ」3 出生時の違い「多くの研究結果は決して再現されず、それらはおそらく間違っている」/「データから自分たちの意見を切り離すのは難しい」4 女性の脳に不足している五オンス「男のほうが見たり実行したりするのに苦労しない」/「特定の使命を帯びているのだと思う」/「科学は政治的空白で活動するわけではない」/「脳を二つ見れば、それぞれに異なっている」5 女性の仕事「人間における協力的養育がますます重要になってくる」/「人間では男性の関与の仕方に大幅な可塑性が見られる」/「人類の半数を締めだす理論は偏っている」/「女で狩人であるということは、本人が選べる問題」6 選り好みはするが貞淑ではない「性差別主義に聞こえることが、学説を禁ずる正当な理由にはならない」/「雌が複数の相手と交尾するのは、ごくごく一般的なこと」/「すべてが申し分のないふりをしつづけることはできない」7 なぜ男が優位なのか「身持ちのいい娘は夜の九時にほっつき歩きはしない」/「私がまず気づいたことの一つは、雌が雄を攻撃していることだった」8 不死身の年配女性たち「エストロゲンの欠乏した女性」/「まさに発電機のような年配のご婦人たち」/「男は、老いも若きも、若い女を好む」あとがき/謝辞/訳者あとがき/参考文献/索引

著者略歴

著:アンジェラ・サイニー
アンジェラ・サイニー(Angela Saini)イギリスの科学ジャーナリスト。オックスフォード大学で工学の修士号、およびキングス・カレッジ・ロンドンで科学と安全保障の修士号を取得。『ニュー・サイエンティスト』『ガーディアン』『タイムズ』『サイエンス』『セル』『ワイアード』『ウォールペーパー』『ヴォーグ』『GQ』 などの有名メディアに寄稿。また、BBCラジオで科学番組にも出演するなど多方面で活躍している。著書に『Geek Nation: How Indian Science is Taking Over the World』など。本書の原書である『Inferior: How Science Got Women Wrong-and the New Research That's Rewriting the Story』は高い評価を得ており、英国物理学会『Physics World』誌で2017年のブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。
訳:東郷えりか
東郷えりか(とうごう・えりか)翻訳家。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。訳書に、シアン・バイロック『なぜ本番でしくじるのか――プレッシャーに強い人と弱い人』、シンシア・バーネット『雨の自然誌』、ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』(以上、河出書房新社)、デイヴィッド・W・アンソニー『馬・車輪・言語――文明はどこで誕生したのか』(筑摩書房)、アマルティア・セン『アイデンティティと暴力――運命は幻想である』(大門毅監訳、勁草書房)など多数。

ISBN:9784861827495
出版社:作品社
ページ数:328ページ
価格:2400円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS