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名医の追放

滋賀医科大病院事件の記録

著:黒薮 哲哉

紙版

内容紹介

 高度な技量を要する前立腺癌の小線源治療で名高い名医がいて、全国から患者が押し寄せる滋賀医科大病院。泌尿器科のボス医師らが〈手術未経験〉を患者に隠し、治療を企んだ。その暴挙を告発・阻止し、患者を救った名医が今、病院を追われようとしている。カルテ不正閲覧、QOL調査票の偽造……次々浮上する卑劣な追放工作。
 患者の命より病院幹部のメンツを優先する〝黒い巨塔〟の闇に迫る!

目次

プロローグ 生体実験と医療倫理
1章 岡本メソッドの誕生
 摘出手術に抵抗感
 「あなた、話を聞いているのか」
 岡本医師の外来へたどり着いたが
 小線源治療とは何か
 元祖のネルソン・ストーン教授
 岡本メソッドの高い評価 
2章 小線源治療の二つの窓口
 高島市民病院と泌尿器科の結託プレー
 塩田学長の葛藤
 岡本医師に対するパワハラ
 組織の中の兵隊たち
 病院ぐるみで患者を泌尿器科へ誘導
 「一号患者」の執刀は放射線医により阻止
 「論文も出せていないのに、偉そうなことを言うな」
 組織への埋没と忠誠を拒否
 塩田学長の決断 
3章 謎の二週間になにが起きたのか
 小線源治療は適用外だった
 寄付講座の継続がペンディングに
 浮上した岡本医師の雇用問題
 患者の人権と予約停止事件
 次回の診療予約が取れない
 北海道から来院した患者の怒り
4章 カルテ不正閲覧事件とピラミッド型組織
 朝日新聞のスクープ
 滋賀医科大小線源患者会
 成田医師が代筆した告知
 患者一〇〇〇人分のカルテを不正閲覧
 QOL調査票の不正運用
 医療技術開発者が背負った宿命
 消えないカルテの閲覧歴
5章 名医を追放するための論理
 実態のない泌尿器科による小線源治療
 「超高リスク」の癌ゆえに待機患者に
 被膜外浸潤がある前立腺癌患者
 大津地裁が待機患者を救済
 人命よりも学術研究を優先する論理
 大学病院が決定に異議申立
 抗告異議審でも岡本医師が勝訴
6章 岡本医師追放への執念
 岡本メソッドの手術枠を縮小
 待機患者に突きつけられた踏み絵
 国立がん研究センターのプレスリリースを悪用
 患者背景が異なるデータを比較
 ホルモン療法期間の大きな違い
 岡本論文では悪性度の高い癌が対象
 大学病院の見解は比較の「条件を揃えるのは不可能」
7章 戦後の「繁栄」、医学部の闇
 「大丈夫、わたしが必ず直してあげるから」
 癌患者の心のケアー
 日本の医学界の体質問題
 「ことなかれ主義」の官僚と国会議員
 滋賀医科大病院の事件はなかった事なのか
 志半ばで退任した心臓血管外科医
 職場を追われた志村福子医師
 医学部に蘇った戦争犯罪人
 岡本医師の追放
エピローグ 事件と患者達のその後
 「三泊四日」の手術
 「自分の人生計画を練り直してみたい」
 前立腺 癌にまつわる家族歴
 仮処分決定後も継続されているスタンディング
 「妻と一緒に船で日本を一周したい」
 母親に癌を隠し続ける日々
大学病院の光と影
あとがき
資 料

著者略歴

著:黒薮 哲哉
フリージャーナリスト。1958年兵庫県生まれ。1992年、『説教ゲーム』(改題:「バイクに乗ったコロンブス」)でノンフィクション朝日ジャーナル大賞「旅・異文化」テーマ賞を受賞。1998年、『ある新聞奨学生の死』で週刊金曜日ルポルタージュ大賞「報告文学賞」を受賞。
著書に、『ぼくは負けない』(民衆社)、『バイクに乗ったコロンブス』(現代企画室)、『経営の暴走』(リム出版新社)、『新聞があぶない』(花伝社)。『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島社新書)、『電磁波に苦しむ人々』(花伝社)など多数。

ISBN:9784846119188
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:208ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MBN