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捏造されるエコテロリスト

著:ジョン・ソレンソン
訳:井上太一

紙版

内容紹介

本書は米国、英国やカナダにおける国家と企業による市民運動・社会運動の弾圧、とりわけ、環境保護運動や動物擁護運動を「エコテロリズム」なる汚名を着せて迫害するという近年の現象について、批判的見地から考察した書である。世界各国の実例によって明らかにされる活動家弾圧の実態からは、搾取と抑圧の上に成り立つ現代社会が市民の管理統制へと向かうさまを窺い知ることができ、慄然とさせられるものがある。
同時に、本書はその抑圧の背景に存在する企業や国家の代理人たちの犯罪を明らかにし、暴力と破壊のネットワーク、巨大企業が牛耳る行政・立法・司法・警察・産業複合体の全体像に迫る。

目次

謝辞

第1章 幻想の世界
 恐怖の操作/テロリズムとは何か/つくられた脅威
 種差別主義/幻想の構築/動物産業複合体
 資本主義に対抗する動物の権利/「印象的な映像」
 エコ狩り、アカ狩り/モノ扱いか思いやりか/気候変動 
第2章 実在するテロリズム
 思いやりの言論/不誠実/業界教祖/素朴な庶民
 制度化された暴力を擁護する/「動物福祉」
 腐ったリンゴ/標準業務/人間例外主義 
第3章 テロリズム事業者
 テロリズム産業/「エコテロリズム」/業界の拡大
 テロリズム産業は「テロ」を必要とする/エコテロリズムを売り込む
 動物の権利テロ/ロビー団体と宣伝者/包囲網内の産業
 AETAのロビー活動/テロリストの構築 
第4章 暴力の捏造
 思いやりを打ち砕く/暴力の枠組み/動物福祉団体を過激派に
 過激派の創出/「ただの狂気」/つくられた関係性
 暴力的な活動家?/暴力の標的となる活動家たち/非暴力
 警察の反応 
第5章 活動家をテロリストに
 市民活動の監視/COINTELPROの遺産/カナダにおける
 「任務の泥沼化」/イデオロギーに駆られた取り締まり
 「我が国における今日最大のテロ脅威」/思想警察/監視と弾圧
 エコ狩り/スパイ活動──イギリス編
 スパイ活動──ニュージーランド/オーストラリア編/企業のスパイ
 囮工作/路上の煽動者/組織的事業創出/厳刑化
 テロリストは至るところに/動物関連企業テロリズム 
第6章 恐怖の政治学
 恐怖の利用/看過される右翼の暴力──ヨーロッパ編
 看過される右翼の暴力──アメリカ編/白人至上主義者
 限定された標的/放牧地戦争 
第7章 猿轡
 潜入調査/虐待調査の犯罪指定/「食品安全」/構造的暴力の暴露
 「生きるに値しない命」/サディズムと構造的暴力/虐待と殺害の擁護
 「活動家は我々にいささかの知識を与えてくれるのかもしれない」
 抑圧の交差性と人間労働者の搾取/矛盾思考と危機管理広報
 カナダにおける調査/「信頼の確立」/ALECと猿轡
 弁護できないものを弁護する/「食品スキャンダル」
第8章 カナダにおけるエコテロリズムの捏造
 警戒/タールサンドと環境破壊/漏洩/不可避の災害
 環境保護の過激派とテロリスト/エコテロリズムと国家安全保障
 民主主義の侮辱/気候変動の否定/魔女狩り/スパイ宮からの眺望
 カナダにおける恐怖の文化/エコテロリストのカナダ企業/宣伝戦略
 法案C

略称一覧/参照/索引/訳者あとがき
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Ⅰ エコロジーの本
エコロジーを考える
自然破壊と公害を考える
開発と環境破壊
ごみ問題を考える
原発とエネルギーを考える
電磁波問題を考える
生命操作とバイオハザードを考える
食べ物の安全を考える
[世界の環境問題]
[ドキュメント日本の公害]
Ⅱ 社会問題の本
クルマ社会と交通を考える
人権を守る
アイヌ差別を問う
多様な性を考える
「障害者」と生きる
教育を考える
現代社会と宗教
働き方を考える
[国際労働問題叢書]
暮らしのトラブル
健康と医療を考える
Ⅲ 現代の政治と社会の本
現代世界を読む
現代思想
現代日本を読む
Ⅳ 戦争と平和の本
天皇制と戦争責任を問う
[ドキュメント昭和天皇]
戦争と平和を考える
[日本軍性奴隷制を裁く]

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著者略歴

著:ジョン・ソレンソン
カナダ・ブロック大学社会学教授。批判的動物研究、グローバリゼーション、反人種差別を講義。エリトリア、エチオピア、スーダン、パキスタンでフィールド調査を行ない、マニトバ大学災害研究部、ヨーク大学難民研究センター、エリトリア共済協会との提携活動に従事する。著書にImagining Ethiopia: Struggles for History and Identity in the Horn of Africa(1993)、Disaster and Development in the Horn of Africa(1995)、Ghosts and Shadows: Construction of Identity and Community in an African Diaspora(2001、Atsuko Matsuokaとの共著)があるほか、編著・寄稿論文多数。
訳:井上太一
翻訳家。おもな関心領域は動植物倫理、環境倫理。既訳書にアントニー・J・ノチェッラ二世ほか編『動物と戦争』(新評論、2015年)、ダニエル・インホフ編『動物工場』(緑風出版、2016年)、デビッド・A・ナイバート『動物・人間・暴虐史』(新評論、2016年)、テッド・ジェノウェイズ『屠殺』(緑風出版、2016年)、シェリー・F・コーブ『菜食への疑問に答える13章』(新評論、2017年)があるほか、寄稿論文に“Oceans Filled with Agony: Fish Oppression Driven by Capitalist Commodification” in David A. Nibert ed., Animal Oppression and Capitalism(Praeger Press, 2017年刊行予定)がある。

ISBN:9784846117115
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:468ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2017年07月
発売日:2017年07月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQ