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原発は滅びゆく恐竜である

水戸巌著作・講演集

著:水戸 巌

紙版

内容紹介

 原子核物理学者・水戸巌は、世界中が原子力発電の夢に酔っていた時代に、いち早く専門家として原子力発電の危険性を力説し、建設反対運動の現場に寄り添い、地域を駆け巡って反対を説き、反原発運動の黎明期を切り開き、その生涯をかけて闘いぬいた。
 原発推進派や御用学者たちの冷笑と中傷の中で、水戸巌は破局的事故が起きる可能性について理路整然と指摘し、周辺で生じる被害についても警告を発し続けた。彼の分析の正しさは、チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故で悲劇として、本人がもっとも望まない形で、ものの見事に実証された。
 本書は、彼の論文・講演・裁判関連の文章を集め構成したものである。その文章の端々から、フクシマ以後の放射能汚染による人体への致命的影響が驚くべきリアルさで迫ってくる。
(2014.3)

目次

まえがき 小出裕章

Ⅰ 反原発入門
17の質問にこたえる 原子力発電はどうしてダメなのか
原発はいらない

Ⅱ スリーマイル島とチェルノブイリの原発事故から何を学ぶか
働かない安全装置! スリーマイル島事故と日本の原発
TMI原発事故とBWR
チェルノブイリ原発事故の汚染規模
チェルノブイリで一体何が起こったのか
チェルノブイリ事故の衝撃 日本の原発も危険である
もし東海原発が暴走したら……

Ⅲ 原子力──その闘いのための論理
原子力発電所──この巨大なる潜在的危険性
原子力におけるエネルギーの諸問題
原子力発電は永久の負債だ
原発は原水爆時代と工業文明礼讃時代の終末を飾る恐竜である
原子力──その闘いのための論理
原子力船むつの「物理の次元」と「社会心理の次元」

Ⅳ 東海原発裁判講演記録
原発はこんなに危険だ
原発の事故解析と災害評価
チェルノブイリ原発事故と東海

あとがき 後藤政志

水戸巌に捧ぐ(1) 最も謙虚で、最も勇敢な人 武谷三男
水戸巌に捧ぐ(2) 水戸さんと私 久米三四郎
水戸巌に捧ぐ(3) 最後の思い出 高木仁三郎
水戸巌に捧ぐ(4) 水戸さんと学術会議闘争 菅井益郎
水戸巌に捧ぐ(5) オリオンは闘う 小泉好延
水戸巌に捧ぐ(6) 水戸さん、わたしは本当に悲しいよ 中山千夏
水戸巌に捧ぐ(7) 水戸様 追悼します 槌田 敦

特別寄稿
「原発は滅びゆく恐竜である」発刊に寄せて
─水戸巌と息子たち─ 水戸喜世子

著者略歴

著:水戸 巌
1933年3月、神奈川県横浜市鶴見区に生まれる。1951年、東京大学理科一類に入学、大学院での原子核乾板を解析して宇宙線の起源を考察する研究が学位論文。1960年、結婚。甲南大学に就職。エマルジョンチェンバーによる研究を継続。いっぽう甲南大学労働組合の活動と、神戸べ兵連の設立にかかわる。1967年、東大原子核研究所の宇宙線部門に移る。70年代に入り、原発に反対する地域住民運動の要請を受けて、一人で現地に入りはじめる。1974年、芝浦工業大学電気工学科に移ったのを契機に、放射能測定装置・ゲルマニウム半導体ガンマ線スペクトルメーターを設置し、原発立地地域の松葉を採取して放射能漏れを監視し、原発事故を予見する活動を始めた。チェルノブイリ原発事故でもいち早く、この装置が放射能の飛来をキャッチした。1986年12月30日か31日、最愛の息子二人と共に北アルプス最北端の剱岳北方稜線で遭難。53歳。

ISBN:9784846114039
出版社:緑風出版
判型:A5
ページ数:328ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2014年03月
発売日:2014年03月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THY