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本書は、「同盟／ドイツ緑の党」の「ベルリン新綱領」の全文訳。世界各国に共通する21世紀のためのモデルプランが、体系的に環境、社会、経済の各分野に展開されている。政権参加の経験を踏まえ、20年ぶりに改訂されたもので、理解しやすく平易に書かれた、緑の未来のための政策集。

序文

序　論
１　私たちの価値基準
エコロジーとは持続可能性のことである
自己決定は自由を実現する
公正はさらに前進する
民主主義こそが基本である
私たちの価値指向の表現─人権と非暴力
２　変わりゆく社会への挑戦課題
３　私たちはどこから来たか─私たちは誰か
４　二〇二〇年のための十二カ条

第１章　エコロジー時代に向けて
１　私たちの環境政策の基本方針
エコロジーと公正
エコロジーと自己決定
エコロジーと民主主義
２　行動原則としての持続可能な発展
３　資源消費の節減と効率性革命
４　エコロジーと生活様式
５　新エネルギー─化石燃料・原子力の時代からソーラーの未来へ
【キープロジェクト】ソーラー時代
６　都市および地方における持続可能な発展について
７　環境に優しい交通の形成
【キープロジェクト】エコロジカルに移動する
８　自然および景観保護
９　動物たちにも権利が必要
10　環境および開発のためのグローバルな視点

第２章　エコロジカルで公正な市場経済に向けて
１　私たちの経済政策の基本方針
【キープロジェクト】 ドイツ全土の将来
２　市場経済と統制政策
【キープロジェクト】消費者に対する透明性
３　エコロジカルな財政改革
４　消費者保護
５　知識経済
６　地域経済
【キープロジェクト】新しい農業
７　持続可能な財政政策
８　国際経済政策

第３章　開かれた社会政策に向けて
１　私たちの社会政策の基本方針
２　人間間の平等─貧困を克服する
【キープロジェクト】基礎所得保障（ベーシック・インカム）
３　市民間の平等─パートナーとしての福祉国家─市民参加
４　アクセスの平等─労働市場への橋渡し
５　子どもへの平等─すべての人に、より高い「生活の質」を！
二十一世紀の第一世代のための子どもにやさしい社会
子どもにとって重要な問題
未来のための教育改革
子どもへの配慮を、ごく日常的に
世代間の平等─社会的・エコロジー的に持続可能であること
子どもの平等な処遇を
【キープロジェクト】子どもの目線にあった政策
６　青少年への平等─明日のための政策
７　両性の平等─男女同権の下での生活
８　保障の平等─社会保障制度を改革する
９　患者への平等─未来のための健康促進政策
10　障害者への平等─違っていて当たり前である
11　高齢者への平等─高齢における積極的な社会参加
12　介護の安全保障

第４章　知識社会に向けて
１　知識社会における私たちの政策の基本方針
知識社会における自己決定
知識社会における公正
知識社会の持続可能性
知識社会における民主主義
２　知識社会における教育
新しい教育改革
全日制学校
線引きに対抗する教育政策
能力目標と評価づけ
幼稚園の教育的任務
移民社会における教育政策
生涯教育へのアクセス
知識社会における大学
継続教育と資格評価
知識社会における教育への財政支援
３　知識社会における科学と研究
４　知識社会における情報
【キープロジェクト】市民権としての知る権利
５　文化
文化と自己決定
文化と民主主義
国の任務としての文化の育成
文化財としてのスポーツ
都市の文化─地方における文化
文化遺産
ヨーロッパの文化─世界の文化遺産

第５章　民主主義の再生に向けて
１　私たちの市民権政策および民主的参加政策の基本方針
民主主義と公正
民主主義と自己決定
民主主義と持続可能性
民主主義および法治国家に向けての新たな挑戦課題
挑戦課題としてのグローバリゼーション
挑戦課題としてのメディア社会
挑戦課題としての情報科学技術
挑戦課題としての腐敗
挑戦課題としての国際テロリズム
２　国家と社会
３　多様性のある政党
レズビアンとホモセクシュアルを社会の中心に
障害者と健常者を同等の地位に
【キープロジェクト】移民社会
４　自由権および市民権の政党
５　民主主義の第四支柱としてのメディア
６　科学技術の発展と情報の自己決定
７　民主的行政機構への改革
８　参政権の強化
９　連邦制と地方自治
10　社会および経済における共同決定という新しい手段

第６章　男女に公正な社会に向けて
１　私たちのジェンダー政策の基本方針
ジェンダー関係における公正
ジェンダー関係における自己決定
ジェンダー関係における民主主義
２　男女平等政策における挑戦課題
３　ジェンダー間の非暴力
４　中絶、生殖医療、身体不可侵
５　ジェンダー政策における新しい方向
【キープロジェクト】女性を権力の座に
６　女性の権利を国際的に

第７章　ヨーロッパ統合と一つの世界に向けて
１　私たちの外交政策の基本方針
２　グローバル社会への責任
グローバリゼーションと公正
グローバリゼーションと持続可能性
グローバリゼーションと民主主義
グローバリゼーションと平和
３　統合─自己制御─多国間協力
４　民主的な統合ヨーロッパに向けて
【キープロジェクト】市民のためのヨーロッパ
５　ヨーロッパの拡大─重要課題
６　社会的・エコロジー的なヨーロッパ
７　紛争の回避、国際間の法秩序、軍縮
８　国連改革と国連の強化
９　人権
10　南北政策
【キープロジェクト】公正な国際貿易と国際基準

訳者による解説

監：今本　秀爾
国際政治ジャーナリスト、執筆・翻訳業。早稲田大学大学院博士課程（哲学専攻）、東京大学大学院国際社会科学研究科（相関社会科学専攻）を経て、日本学術振興会特別研究員（倫理学PD）修了。欧州の「政治的エコロジー」思想や環境運動の研究を契機に2001年グローバル・グリーンズ世界大会（キャンベラ）に参加。その後は日本の海外緑の党との渉外窓口担当として活躍。2004年より持続可能な社会政策を構築するための有志による政策ネットワーク「エコロ・ジャパン」を立ち上げ、代表を務める。
日本における「世界の緑の党」研究に関する第一人者として、海外50カ国以上、数百名に及ぶ緑の党の政治家やスタッフ、活動家への取材や交流活動を通して、世界の政治的エコロジー運動の現状をメディアやセミナーにて紹介している。
主著『リベラル・パワー　日本病理社会・再生の条件』（郁朋社刊）など著書、論文、翻訳等多数。