俳優の演技術
映画監督が教える脚本の読み方・役の作り方
著:冨樫森
内容紹介
俳優・表現者に必要な脚本の読み解き方、役作りに必要な技術と考え方、長く活躍していくための心構えを、現役の映画監督・冨樫森が、徹底指南!錚々たる名監督のもとで経験を積み、98 年のデビュー以降、数々の映画賞を受賞してきた映画監督・冨樫森の初めての単行本にして、演技術の決定版です。演技術に関する本は国内でも多数刊行されていますが、現役の映画監督が、現場経験をもとに指南する本は多くありません。本書は、具体的な作品の脚本、台詞を細かく分析し、「役をどう捉えるか」、すべて「実例」をもとに「技術(ハウツー)」としてまとめられているため、実践的です。現場経験の有無に関わらず、俳優志望者や指導者、映画制作者が「現場で本当に役立つ」1冊です。
目次
第1章 脚本を読みとる ●俳優とは ●演技とは脚本の捉え方のこと ●脚本の読解力を鍛える ●脚本は映画の設計図 ●1冊の脚本ができるまで ●脚本の呼び方 ●「いい演技」とは何か? ●まずは読んで見て、感じたことを大切にする ●脚本を「読み取る」ための4つのヒント 1 3行ストーリー ・主人公とは誰か? ・映画の話型(語り口) 2 「外的葛藤」と「内的葛藤」 ・内的葛藤をきちんと読みとる 3 核になる美しさ・素晴らしさ 4 スルーライン ●俳優にとって、「脚本の核心をつかむ」ということ 実践例3の回答例コラム:映画はなぜ、暗闇で見るのか?第2章 役へのアプローチ ●役の「核心」と「実質」について ●自力で「役をつかむ」大切さ ●役の「核心」を掴むための7つの方法 1 キャラを箇条書きし、一言で言い切る 2 調べる ・具体的に資料にあたる ・取材する 3 歴書を作る・スケッチする ・「育ち」 ・「トラウマ」 ・「思い出」 4 役になって呟いてみる ・相手役の方から考える 5 役の人物の目的・願望を掴む 6 5番手6番手の役の場合、役割から考える ・役割のあるシーンだけ読んでみる 7 形状を思い浮かべる ●相米慎二監督ならではの演出 ●役を身体に染み込ませる「体験」をする ●役を身体に染み込ませる5つの方法 1 役の人物が経験した感情を体験する:想像する ・体験できるときは体験する ・体験できないときは、限界まで「想像」する 2 自分の経験を使って、感情を想像し、体験する ・役の人が愛している人・ものを愛する 3 人物の内面をモノローグ化する 4 動作の反復と、五感の記億を使う 5 エチュードする ●絶対に「体験できない役」のとき ●実践!! 実際に役の核心をつかんでみよう 実践例1:一言で言い切る 実践例2:履歴書を作る・スケッチ(素描)する 実践例3:「体験」する ●俳優にとって「役の核心をつかむ」ということ第3章 場面(シーン)ごとに役を捉える ●なぜ「場面」ごとにアプローチする必要があるのか? ●場面ごとに役の人物の目的を考える ●伝えるべき「場面のポイント」をつかむ 具体例1:成瀬巳喜男監督『乱れる』 具体例2:小津安二郎監督『麦秋』 具体例3:小津安二郎監督『東京物語』 ●感情のレベルを定める ●調子(トーン)を定める ●面白い映画の「泣ける場面」を思い出してみる ●空気や状況が変わる「転換点」をつかむ ●「感情の折れ線グラフ」を書いてみる ●「退屈な演技」と思われないために ●ツボをつかむ 具体例1:内田吐夢監督『飢餓海峡』 具体例2:相米慎二監督『魚影の群れ』 具体例3:相米慎二監督『あ、春』 具体例4:豊田四郎監督『夫婦善哉』 ●感情が先にはない ●役を生きる ●「表現するな、存在しろ」コラム:映画「おしん」の話第4章 台詞・動作を考える ●実は何を言いたいのか?「サブテキスト」をつかむ ●「一つの台詞に一つのサブテキスト」とは限らない ●「ひとつの台詞にひとつのサブテキスト」とは限らない ●会話全体のサブテキスト ●相手の台詞のニュアンスを読み取る ●相手か、自分か、それは誰に言う台詞なのか?を見極める ●表情や溢れる感情に変化を持たせる ●どの台詞を受けて、その台詞があるのか? ●省略されている重要なト書きを考える ●作品に込められている膨大なバックグラウンド第5章 実際に演技をするために ●現場手前・準備段階でやること ●台詞の覚え方1:まず「棒読み」。言い方を決めない ●台詞の覚え方2:「感情の流れ」から捉える ●台詞の覚え方3:とにかく負荷をかける ●いざ、本番。緊張との付き合い方 ●ものづくりとは ●演技プランを一度捨てる ●演技で「説明」してはいけない ●常に一回目であることを忘れない ●監督の「大胆にやって下さい!」の意味 ●相手と会話する ●本来の自分を隠さない ●自分の「本当の感情」を使う ●表面的な「声の出し方」は演技ではない ●要求されている感情を持てる「実質」 ●形が必要なときもある ●もし自分がその状況だったら……と考える ●「普通に生きている感覚」を忘れないこと ●台詞の言い方と注意点 ・悲しい台詞を悲しく言わない ・低めのストレートを投げる ●撮影時の注意点まとめ ・リハーサル1回目の臨み方 ・カットバックのときに気を抜かない ・テンションを本番まで保つ ・自意識との付き合い方コラム:原節子さんのこと第6章 日常の訓練方法 ●魅力とは ●俳優としての魅力について ●日々の実践1 演技漬けになれる環境に身を置く ●日々の実践2 考えを文字にする・言葉にする ●日々の実践3 作品と自分に徹底的に向き合ってみる ●日々の実践4 よくある7つのクセを直す ●日々の実践5 自分の方法を編む ●日々の実践6 映画を見る ●役者として生きる情熱はあるか ・情熱 ・役の実質を持つ ・秘密の三原則
ISBN:9784845916467
。出版社:フィルムアート社
。判型:4-6
。ページ数:272ページ
。価格:2000円(本体)
。発行年月日:2017年12月
。発売日:2017年12月25日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF。